メッセージ

大会委員長よりメッセージ

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情報処理学会インタラクションシンポジウムは、1997年から毎年開催されており、今回が22回目の開催となります。ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会、グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会、ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会、エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会、デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会の5研究会が主催で、ユーザインタフェース、CSCW (Computer Supported Cooperative Work)、可視化、入出力デバイス、仮想/拡張現実、ユビキタス/ウェアラブルコンピューティング、ソフトウェア工学といった計算機科学、さらには認知科学、社会科学、文化人類学、メディア論、アートといった人文科学の研究者および実務者が一堂に会し、文字通りインタラクションに関わる最新の技術や情報についてインタラクティブに議論する場を提供してきました。

本シンポジウムは、招待講演、厳正なる査読を経て選ばれる一般講演発表(オーラル発表)、実機の展示デモンストレーションを行うインタラクティブ発表(デモ)、および発表者と参加者との議論を目的としたインタラクティブ発表(ポスター)から構成されます。今回の会場は、2003年から2010年まで開催していた学術総合センターに戻ります。東京駅からのアクセスも良く、多くの方々にインタラクション研究の最前線を体験していただければと思います。また、3日目の最終日(3月7日)をACMの国際会議であるIUI2018 (International Conference on Intelligent User Interfaces)と合同開催することとしました。具体的には、スタンフォード大学James Landay教授による招待講演、およびインタラクティブ発表(デモ/ポスター)を合同で行い、両会議の参加者が自由に議論できるようにします。国内にいながら、海外のインタラクション研究者と議論する良い機会になると期待しています。

インタラクション2018の開催にあたり、会場の学術総合センター、国立情報学研究所をはじめ、多くの協賛学会並びに企業様のご協力をいただいております。この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、実行委員会・プログラム委員会の委員の皆様には、ボランティアの域を超えて一丸となって準備にご尽力いただき、心から感謝申し上げます。しかしながら、インタラクションシンポジウムの更なる発展のためには、発表者、参加者の皆様一人ひとりのご協力が不可欠です。委員だけでなく、参加者全員で素晴らしいインタラクション2018を実現したいと思いますので、ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

インタラクション2018 大会委員長 大内一成(東芝)

インタラクション2018 プログラム編成にあたって

sakamoto私がはじめて参加した学会が2004年3月に一橋講堂で開催されたインタラクションでした。私は当時学部の4年生で、初めての学会参加にとても緊張していたことを憶えています。このインタラクション2004が私のはじめての対外的な口頭発表の機会でした。あれからもう14年も経ちました。私の発表はMIT Media labのHenry Lieberman教授の招待講演の直後で、会場がほぼ満席でした。この時の発表が上手くいったかどうかはほぼ記憶にありませんが、これが私のアカデミアでの原体験であり、また現在にいたる活動の全ての始まりだったと思っています。

その後、インタラクションは2011年以降一橋講堂を離れ、東京都内の会場を移動しながら開催されてきました。今年のインタラクションが8年ぶりに一橋講堂に戻ってきて、また同時に私がプログラム委員長としてこの会議に貢献させて頂く機会が巡ってきたことに運命を感じるとともに、このような機会を頂いたことに多くの皆様に感謝を申し上げる次第です。

このメッセージでは、今回インタラクション2018のプログラム編成の概要についてご説明させて頂きます。査読方針などについても詳しく説明させて頂こうと思いますが、少し長いので、プロシーディングスに収録させて頂きました。こちらからご覧ください。

今年のプログラム編成の特徴

まずはインタラクション2018のプログラムの概要を示します。

(1)口頭発表

採録論文数 20件
インタラクション特集号からの招待 2件
合計 22件

(2)インタラクティブ発表(デモ)

プレミアム発表 37件
一般発表 151件
口頭発表からのデモ 10件
合計 198件

(3)インタラクティブ発表(ポスター)

プレミアム発表 6件
一般発表 27件
合計 33件

上記のように、昨年からの変更点としては、

1) 口頭発表プログラムに、2008年からインタラクションシンポジウムと連動して実施されている情報処理学会論文誌「インタラクションの理解および基盤・応用技術」特集号からの論文を招待、

2) ポスター発表の復活という試みを行いました。さらに、今年は最終日3日目をコラボデーと名付け、the 23rd International Conference on Intelligent User Interfaces (IUI2018)と共同でインタラクティブ発表とKeynote addressを実施します。

プログラム委員会について

今年も昨年までのプログラム委員会を引き継ぎ、メタ査読者として複数の論文を俯瞰するチーフプログラム委員(17名)と、個々の論文の詳細な査読を担当するプログラム委員(75名)からプログラム委員会を構成しました。

http://www.interaction-ipsj.org/2018/program_committee/

一般講演(口頭)発表論文の選定においては、各チーフプログラム委員はプログラム委員からの査読結果を踏まえ、オンラインで議論を行い採否判定案を作成します。その上で、チーフプログラム委員が集まって採否判定会議を2017年12月5日~6日にかけて八ヶ岳ロイヤルホテルにおいて開催し、十分な議論を経て一般講演発表の採択論文を決定しました。また、ベストペーパー賞についても採否判定会議の最後に決定いたしました。

一般講演(口頭)発表について

一般講演発表には45本の投稿があり、前述したプログラム委員会の厳密な査読と議論を経て、20本を採択しました。査読においては、例年通り1論文につきプログラム委員(査読者)4名、チーフプログラム委員(メタ査読者)1名の合計5名を割り当てました。一部のボーダーライン上の論文にはShepherdingを行い、チーフプログラム委員が論文の改善を個別に確認した上で採録しました。 Shepherdingを通して、新規性は高いが発展途上の論文を積極的に採択し、インタラクションコミュニティの活性化に配慮しました。

インタラクティブ発表について

インタラクティブ発表では、厳密な査読は行いませんが、特に優れた発表である「プレミアム発表」や、研究や論文の質に著しい問題のある問題論文を発見するために、全チーフプログラム委員/プログラム委員がスクリーニングを行いました。インタラクティブ発表では1論文につき4人のチーフプログラム委員/プログラム委員を割り当てました。その結果、233本の投稿から、43本をプレミアム発表、178本を一般発表として採択しました。また、一般講演発表から10件がデモ発表に参加します。プレミアム発表は、プログラム委員会選出のインタラクティブ発表賞の候補となり、発表当日にチーフプログラム委員団の巡回審査を経て受賞が決定します。デモ発表、ポスター発表をあわせて発表件数が231件(内、デモ発表188件、口頭発表からのデモ発表10件、ポスター発表33件)となり、昨年に引き続き,過去最大規模の発表件数となり,インタラクションコミュニティの盛況を象徴しているように思われます

Keynoteについて

インタラクション2018の最終日3日目はコラボデーと名付け、the 23rd International Conference on Intelligent User Interfaces (IUI2018)と共同でKeynote addressを実施します。Keynote speakerとしてStanford UniversityのJames A. Landay教授に「From On Body to Out of Body User Experience」と題してご講演頂きます。

最後に

私個人としては、約2年にもわたる仕事がついに終わることで少しほっとした気分であるとともに、これらの試みが上手く機能していれば良いと願うばかりです。是非良い点も悪い点もフィードバックを頂けますと幸いです。明確に失敗だと思われるものについてはスパッとやめて頂くのが良いと思いますし、良いものは是非とも残して頂ければと思っています。

最後になりますが、プログラム編成のためには数多くのプログラム委員のみなさま、チーフプログラム委員のみなさまのご協力が必要となります。今年に関しましても92名の委員のみなさまに大変な作業をお願いし、この結果として素晴らしいプログラムが完成したと思っています。また、ご投稿頂いた著者のみなさまがいて、はじめて学会のプログラム編成が可能となるものだと思っています。関係いたしますすべてのみなさまに感謝申し上げて、プログラム委員長からのメッセージとさせて頂きます。

インタラクション2018 プログラム委員長 坂本 大介 (北海道大学)