メッセージ

大会委員長メッセージ

インタラクション2022 大会委員長
木村 朝子(立命館大学)

 インタラクション2022は、当初、学術総合センター/一橋講堂会場での開催を目指して準備を進めてまいりましたが、コロナ感染が拡大する中、対面で集まることは困難と判断し、残念ですが今年も完全オンラインでの開催といたしました。
 今年のインタラクションは過去2年間のオンライン開催の経験を踏まえ、以下のようなスタイルで実施いたします。交流イベントは全く新しい試みですので、皆様奮ってご参加ください!
★すべての発表(基調講演、登壇発表、インタラクティブ発表)はZoom上で実施
★質疑にはScrapboxを利用
★昨年好評だったインタラクティブ発表の【全発表中継】は今年も実施!
(ただし、会議参加者のメリットを鑑みてYoutubeでの一般公開は1ヶ月後)
★さらに、今年は新たな交流イベントとして、2日目の夕方に「もっと知りたいインタラクション!~未知との遭遇~」を開催!!

 1997年に始まった情報処理学会インタラクションシンポジウムは今回で26回目の開催となります。ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会、グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会、ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会、エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会、デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会の5研究会が主催で、ユーザインタフェース、CSCW、可視化、入出力デバイス、VR/拡張現実、ユビキタス/ウェアラブルコンピューティング、エンタテインメントデザイン、コンテンツ制作、ソフトウェア工学といった計算機科学、さらには認知科学、社会科学、文化人類学、メディア論、アート、デザインといった人文学の研究者および実務者が一堂に会し、文字通りインタラクションに関わる最新の技術や知見についてインタラクティブに議論する場を提供してきました。
 本シンポジウムは、基調講演、厳正なる査読を経て選ばれる登壇発表(オーラル発表)、実機の展示デモンストレーションを行うインタラクティブ発表(デモ)、および発表者と参加者との議論を目的としたインタラクティブ発表(ポスター)から構成されます。インタラクティブ発表は特に本シンポジウムの特徴となっており、論文では得られない直接体験とインタラクティブな情報交換―会場に来て研究成果を見て・触れて・ディスカッションをする大きな意義のあるものです。登壇発表、インタラクティブ発表、表彰式などの様子は、後日YouTubeにて公開いたしますので、残念ながら当日参加できなかった方や後で再度視聴したい方は是非こちらもご活用ください。
 最後になりましたが、インタラクション2022の開催にあたり、多くの協賛学会並びに企業様のご協力をいただいております。この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、実行委員会・プログラム委員会の委員の皆様には、ボランティアの域を超えて一丸となって準備にご尽力いただき、心から感謝申し上げます。しかしながら、インタラクションシンポジウムの更なる発展のためには、発表者、参加者の皆様一人ひとりのご協力が不可欠です。委員だけでなく、参加者全員で素晴らしいインタラクション2022を実現したいと思いますので、ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。


プログラム委員長メッセージ

インタラクション2022 プログラム委員長
宮田 章裕(日本大学)

今回のインタラクションでは、前回に続き、登壇発表、インタラクティブ発表(デモ)、インタラクティブ発表(ポスター)という3つのカテゴリで発表を募集しました。また、本シンポジウムが、なるべく多くのアイディアやテーマを参加者同士で共有、議論する機会となるように努めました。

■プログラム委員会について
今年もこれまでのプログラム委員会の構成を引き継ぎました。メタ査読者として複数の論文を俯瞰するチーフプログラム委員(20名)と、個々の論文の詳細な査読を担当するプログラム委員(74名)、委員長、副委員長を含めた96名からなるプログラム委員会が審査にあたりました。

■登壇発表について
各チーフプログラム委員は、プログラム委員からの査読結果を踏まえ、オンラインで議論を行い、採否判定案を作成します。その上で、チーフプログラム委員の採否判定会議を2021年12月7日~8日にかけて開催し、十分な議論を経て、登壇発表の採択論文を決定しました。なお、インタラクション2022では、1論文につきチーフプログラム委員1名、プログラム委員4名を割り当てました。

登壇発表には35本の投稿があり、14本を採択しました。一部のボーダーライン上の論文にはShepherdingを行い、チーフプログラム委員が論文の改善を個別に確認した上で採録しました。Shepherdingを通して、新規性は高いものの発展途上の論文も積極的に採択し、インタラクションコミュニティの活性化に配慮しました。

また、2022年2月15日発刊の情報処理学会「インタラクションの理解および基盤・応用技術」特集号から、評価の高かった論文1件を招待して、登壇発表内で発表いただきます。

■インタラクティブ発表について
インタラクティブ発表では、例年厳密な査読は行いませんが、特に優れた発表である「プレミアム発表」の選定と、研究や論文の質に著しい問題のある論文を発見するために、チーフプログラム委員/プログラム委員を1論文につき5名割り当て、スクリーニングを行いました。その結果、173本の投稿から、37本をプレミアム発表、136本を一般発表として採択しました。プレミアム発表は、プログラム委員会選出のインタラクティブ発表賞の候補となり、発表当日にチーフプログラム委員団の巡回審査を経て受賞が決定します。

インタラクティブ発表(デモ)とインタラクティブ発表(ポスター)のスクリーニングの結果の詳細は次の通りです。

インタラクティブ発表(デモ):投稿119件、プレミアム採録28件、一般採録91件
インタラクティブ発表(ポスター):投稿54件、プレミアム採録9件、一般採録45件

■基調講演
今年の基調講演には、OpenStreetMapや三次元都市地図の取り組みで有名な古橋大地先生をお招きし、「地図の民主化が紡ぐデジタルツインの未来」というタイトルでご講演いただきます。オープンな地図データの重要性や、デジタルツイン実現への課題・展望をご紹介いただきます。

■おわりに
私が初めてインタラクションに参加したのはインタラクション2010でした。当時、企業の若手研究者だった私は、一橋記念講堂の壇上で少し緊張しながらも、大変光栄な気持ちで発表をさせていただいたことを覚えています。それから12年後、まさか自分がプログラム委員長としてインタラクションに携わるとは想像もしていませんでした。偉大な先人達が大切に育て上げてきたインタラクションに、ほんの少しでも貢献できていたらと願うばかりです。最後になりますが、プログラム委員会を支えてくださったチーフプログラム委員・プログラム委員、そしてなにより多くのご投稿をいただいた著者のみなさまに心より感謝を申し上げます。