地図の民主化が紡ぐデジタルツインの未来
古橋大地
青山学院大学 地球社会共生学部 教授
講演概要
OpenStreetMapの始まりは、2004年にロンドン大の大学院生であった Steve Coast 氏がたった一人で始めたプロジェクトでした。その後、オープンなデジタル地図データの公開に消極的だった欧州を中心に、世界中で延べ800万人以上の人々が参画し、セマンティックな世界地図データベースを更新し続けました。2022年2月現在、74億以上の地点データと、8億以上のライン・ポリゴン形状データ、それらに紐付けられた属性データがオープンデータとして公開され、社会基盤として様々な企業や行政に活用されています。この世界最大級の市民参加型オープンデータ普及活動に2008年から現在まで関わってきた立場から、オープンな地図データの重要性と、その先に立ちはだかるデジタルツイン実現に向けて、国土交通省PLATEAUや東京都デジタルツインといった次世代の三次元都市地図のオープン化と併せて、現状の課題と展望をご紹介します。
略歴
青山学院大学 地球社会共生学部 教授、マップコンシェルジュ株式会社 代表取締役社長、NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパン理事長、東京大学空間情報科学研究センター 協力研究員、オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン/OSGeo財団日本支部所属。東京大学大学院新領域創成科学研究科修了(環境学修士)。専門は森林リモートセンシング。地理空間情報の利活用を軸に、Googleジオサービス、オープンソースGIS(FOSS4G)、オープンデータ(OpenStreetMap)の技術コンサルティングや教育指導を行なっている。ここ数年は「一億総伊能化」をキーワードにみんなで世界地図をつくるOpenStreetMapに熱を上げ、GPS、パノラマデバイス(GigaPan)、無人航空機(UAV/Drone)を駆使して、地図を作るためにフィールドを駆け巡っている。