メッセージ

実行委員長メッセージ 三武 裕玄(明治大学)

インタラクション2025にようこそ!
本シンポジウムは1997年にスタートし、今年で29回目を迎えます。毎年、多彩な研究や技術、そして実践的なアイデアが集まるこの場を、今年も無事に開催できることを嬉しく思います。次回はいよいよ30回目という大きな節目を迎えるので、本年の議論や出会いが、来年のさらなる盛り上がりにつながることを期待しています。

インタラクションは、登壇発表も見どころ満載ですが、なにより毎日入れ替わりで数多くのデモ発表が行われることが最大の特徴だと思います。デモ発表は「体験してこそ価値がわかる」ものであり、発表タイトルや論文から予想した体験と、実際に会場でデモに触れてみたときの感触が大きく違っていたとき、実物に触れることのできるデモ展示の重要性をあらためて思い知ります。

今回は特に多くのデモ投稿をいただき、会場の混雑を考慮してやむなく上限を設けさせていただきましたが、それでもデモ発表だけで170件以上、登壇・ポスター発表を合わせると300件近い発表があり、大変にぎやかです。ぜひ足を運んで発表者の方に質問したり、直接体験したりしながら、「生のインタラクション」を思い切り楽しんでください。

本シンポジウムは例年、さまざまな企業の方のご協力もあって運営しております。今年度はゴールドスポンサー2社・シルバースポンサー7社をはじめ、多くの企業のみなさまにご協賛いただきました。おかげさまで、学生や若手の方々が参加しやすい環境を続けることができています。ご支援いただいた企業の皆さまには、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

また、このシンポジウムの準備および開催には、多くの方々の多大な尽力をいただきました。実行委員やプログラム委員はもちろん、当日お手伝いくださるスタッフ、そして積極的に参加・発表してくださるみなさんのおかげで、無事に開催できています。ここでの体験やディスカッションが、研究や技術開発、実社会でのイノベーションにつながっていくと信じています。

それでは、会期中さまざまな発表や交流を思う存分楽しんでいただき、驚きや刺激をたくさん持ち帰っていただければ嬉しいです。みなさんにとって、有意義で思い出に残る時間となりますように。

プログラム委員長メッセージ 伊藤 雄一(青山学院大学)

例年同様、今回のインタラクションの募集カテゴリは、登壇発表、インタラクティブ発表(デモ)、インタラクティブ発表(ポスター)でした。特に査読においては、投稿が発表される現場が「シンポジウム」であることがベースにあり、参加者同士の議論が活発化したり、共有されるべきアイデアが含まれているものを最優先で採択するという方針で検討を進めました。

■プログラム委員会について

今年もこれまでのプログラム委員会の構成を引き継ぎました。メタ査読者として複数の論文を俯瞰するチーフプログラム委員(22名)と、個々の論文の詳細な査読を担当するプログラム委員(70名)、委員長、副委員長を含めた94名からなるプログラム委員会が審査にあたりました。

■登壇発表について

各チーフプログラム委員は、プログラム委員からの査読結果を踏まえ、オンラインで議論を行い、採否判定案を作成しました。その上で、チーフプログラム委員の採否判定会議を2024年12月10日~11日にかけて対面にて開催し、十分な議論を経て、登壇発表の採択論文を決定しました。なお、インタラクション2025では、1投稿につきチーフプログラム委員1名、プログラム委員4名を割り当てました。

登壇発表には前年より1件多く、過去最多となる47件の投稿があり、そのうち23件を採択しました(採択率49%)。一部の投稿についてはShepherdingを行い、チーフプログラム委員が投稿の改善を個別に確認した上で採録しました。Shepherdingを通して、新規性は高いものの、改善の余地があった投稿も積極的に採択し、インタラクション研究のコミュニティにおいて共有すべき有益な知見を提供できるよう配慮いたしました。

最優秀論文賞ならびに優秀論文賞については、一定の査読スコア以上の投稿11件を選抜し、それを22名のチーフプログラム委員に3件ずつコンフリクトに配慮しながら割り振り、順位を付けてもらいその平均順位の上位から選ぶことで決定しました。

また、2025年2月に発刊された情報処理学会「インタラクションの理解および基盤・応用技術」特集号から論文2件を招待して、登壇発表内で発表いただきます。

プログラム編成に当たっては、昨今のLLMの進化を有意義に活用し、セッション名や割り当ては人間(私)とAIのコラボレーションとなっております。参加者にとって印象深いセッション名および編成になったのではないかなと考えております。

■インタラクティブ発表について

今年度、インタラクティブ発表については、応募枠を予め設定しておりましたが、投稿締め切り3日前の時点で応募枠が満員となり、新たな投稿ができなくなっていたという問題を鑑み、締切を延長する形で全ての投稿を受け入れ、プログラム委員会によってスコアリングを行い、会場のスペースの許す限り上位から採択するという試みを実施しました。スコアリングは「新規性」「有用性」「信頼性」「対話喚起性」の軸で評価し、特に「新規性」と「対話喚起性」は他の2つに比べて2倍の配点としました。また、1つの投稿あたり5名のチーフプログラム委員/プログラム委員を割り当てました。

インタラクティブ発表には275件の投稿があり、スコア上位の45件と登壇発表のデモ7件をプレミアム発表、198件を一般発表として採択しました。プレミアム発表はプログラム委員会選出のインタラクティブ発表賞の候補となり、発表当日にチーフプログラム委員団の巡回審査を経て受賞が決定します。

インタラクティブ発表(デモ)とインタラクティブ発表(ポスター)のスクリーニングの結果の詳細は次の通りです。

インタラクティブ発表(デモ):
投稿:203件,プレミアム採択:34件(19.6%),一般採択:139件,ポスターとして採択:20件,不採択:10件

インタラクティブ発表(ポスター):
投稿:72件,プレミアム採択:11件(15.7%),一般採択:59件,不採択:2件

会場の制約(そもそもの広さ、参加者の安全性)の問題から、全てを採択というのは難しい結果となりました。来年度以降の運営をどうするかは、今後プログラム委員会とステアリングコミッティーで議論いたします。

■特別講演について
特別講演として襟川陽一さま(株式会社コーエーテクモホールディングス代表取締役社長)をお招きしてご講演いただきます。襟川さまは、「シブサワ・コウ」として40年以上に渡ってゲーム開発に携わってこられ、「信長の野望」「三國志」を始めとする数々の名作を送り出してこられました。ご講演では、会社の発展をけん引してきた経営方針やゲームのプロデューサーとして取り組んでいること、ゲーム開発において大切にしていることなどをお話しいただきます

■おわりに

インタラクションは昨年のインタラクション2024で5年ぶりにコロナ禍からの完全復活(制限がないという意味で)を遂げました。そして、インタラクション2025では、その流れを引き継ぐと同時に、登壇発表ならびにインタラクティブ発表の選考過程において、特に「対話喚起性」を重視し、シンポジウムに参加することが参加者のこれからの研究活動に大きな刺激になるよう配慮いたしました。ご投稿をいただいた著者のみなさま、本当にありがとうございます。是非とも参加されるみなさんにとってインタラクション2025が有意義かつ楽しいものになりますことを祈念しております。さらにその流れのままに是非ともインタラクション2026で、登壇発表・インタラクティブ発表いただきますよう、よろしくお願いいたします。

最後になりますが、プログラム編成を支えてくださったチーフプログラム委員・プログラム委員のみなさま、そして大会長をはじめとする実行委員のみなさまに心より感謝を申し上げます。