情報処理学会 インタラクション2014

インタラクション2014 プログラム編成にあたって

インタラクション2014 プログラム委員長 水口 充 (京産大)

プログラム委員長写真

当初より「Cross Culturalなインタラクションの場」を目指していたこの会議ですが,共催研究会も増え,扱う分野がかなり広がったと感じています.その中で様々な触発やコラボレーションが産まれ,ますます多彩な発表が行われています.このように規模が大きくなり多様な興味や期待を持つ参加者が集う会議として,最大満足を提供できているか,という点が私は気になっていました.

一般講演発表は初回よりシングルトラックを堅持してきています.元来の目的である異分野交流の観点からも価値のある知見を共有し様々な観点から議論する意義は高いので,これに関しては異論はあまり聞かれませんし,私も問題はないと考えています.一方で,現在のように聴衆の興味が幅広く多様化している状況では,何が共有すべき知見であるか,についてはよく考える必要があるでしょう.過去のプログラム委員会でも採否のボーダーラインになった論文について「聴衆が聞きたいだろうか」などの表現で議論されることがよくありましたが,査読方針としては明示されてこなかったと思います.

そこで,投稿される方に「是非ともご自身の研究がインタラクションに関係する分野においてどう貢献できるのかを明らかにしてください」とのメッセージを発信し,幅広い分野を想定してアピールして頂くようお願いしました.査読者の割り当てに関しては,査読者指名制度を引き続き採用する一方,異なる分野を専門とされる査読者にもお願いし,多様な視点から評価をしました.

一般講演発表には53件の投稿があり,1件あたり4名の査読者を割り当てました.また,これとは別に,若干名のプログラム委員には多くの論文を横断的・相対的に評価する査読をお願いしました.採否判定会議では査読者によるスコアと判定理由を吟味し,6件をロング採録,10件をショート採録としました.ロングとショートの種別は当初は予定していなかったのですが,内容全般に関する知見を共有し議論したいものと,研究の中核に絞り込んで議論したいものがあり,会議として減り張りをつけるのが良いだろうと結論づけて急遽設定させて頂きました.例年に比べると採択件数が若干少なくなりましたが,ボーダーラインとなる論文の数が多く,これらすべてを採択とすると発表時間が十分に取れないという問題がありましたので,今年はクオリティ重視で絞ることにさせて頂きました.インタラクションという会議がクオリティに重きを置くか,あるいは広く発表を受け入れるかは,参加者も含めた議論が必要と思います.

インタラクティブ発表については,これまでも方針に揺らぎがありました.主な要因は空間と時間の制約です.会場の制約で発表件数には限りがありますし,もし会場が十分に広くても体験して議論を行える時間には限りがあります.現在の会場 (日本科学未来館) では空間の制約は緩和されましたが,時間の制約は解消されているとは言えません.

インタラクティブ発表が発表側にも人気が高い一因として,研究の初期段階でも気軽に発表できフィードバックが得られることが挙げられます.この観点ではできるだけ広く受け入れることが望ましいでしょう.一方で,玉石混淆となってしまう傾向があることは否めません.参加者からすると原石を発見する楽しみもあるかもしれませんが,発表側の主張したいことがまとまっておらず議論が成立しないようでは発表側・参加者側双方にとって詮無いことでしょう.

そこで,限られた時空間を有効に活用するために,プログラム委員会で推薦する発表によるプレミアム発表枠を復活させました.プレミアム発表には,発表時に目印を付けて讃える,これまですべての発表を対象としていたマッドネス (30秒紹介) をプレミアム発表のみにして時間を長めにする,優先的に一般公開の対象とする,などの優遇措置を採ることにしました.

インタラクティブ発表には一般講演からのスライド分を含めて150件の投稿がありました.プログラム委員会でスコア付けを行い,43件をプレミアム発表としました.この原稿を執筆している時点ではまだ効果を確認するべくもないのですが,発表者へのモチベーション付けや参加者が議論する上での参考になることを願っています.

最後に,論文を投稿して頂いた皆様,査読をお引き受け頂いたプログラム委員の皆様,会議の運営にご尽力頂いた運営委員の皆様,そして特に,投稿システムを管理し夜遅くの問い合わせにも対応頂いた三浦先生 (九工大) に感謝いたします.


インタラクション2014 プログラム委員会

プログラム委員長
水口 充(京産大)
プログラム副委員長
木村 朝子(立命館大)
プログラム委員
秋田 純一(金沢大)
綾塚 祐二(電通国際情報サービス)
五十嵐 健夫(東大)
五十嵐 悠紀(筑波大/JSPS)
市村 哲(東京工科大)
伊藤 貴之(お茶の水女子大)
伊藤 雄一(阪大)
井上 亮文(東京工科大)
井上 創造(九工大)
井上 智雄(筑波大)
今井 倫太(慶大)
井村 誠孝(阪大)
上杉 繁(早大)
内海 章(ATR)
江渡 浩一郎(産総研)
大内 一成(東芝)
大島 千佳(JSPS/佐賀大)
大槻 麻衣(立命館大)
大平 雅雄(和歌山大)
岡田 昌也(静岡大)
岡本 昌之(東芝)
小野 哲雄(北大)
梶本 裕之(電通大)
加藤 直樹(東京学芸大)
加藤 博一(奈良先端大)
金井 秀明(北陸先端大)
金谷 一朗(阪大)
河口 信夫(名大)
北村 喜文(東北大)
木原 民雄(昭和女子大)
清川 清(阪大)
串山 久美子(首都大)
楠 房子(多摩美大)
葛岡 英明(筑波大)
粂 照宣(富士通研)
倉本 到(京都工繊大)
神武 直彦(慶大)
河野 恭之(関西学院大)
小林 孝浩(情報科学芸術大)
小松 孝徳(明治大)
後藤 真孝(産総研)
坂上 秀和(NEC)
酒田 信親(阪大)
坂本 大介(東大)
澤田 秀之(香川大)
志築 文太郎(筑波大)
柴田 博仁(富士ゼロックス)
新西 誠人(リコー)
鈴木 健嗣(筑波大)
角 康之(はこだて未来大)
竹内 勇剛(静岡大)
竹川 佳成(はこだて未来大)
垂水 浩幸(香川大)
塚田 晃司(和歌山大)
塚田 浩二(はこだて未来大)
辻田 眸(東大)
寺田 和憲(岐阜大)
寺田 努(神戸大/JST)
戸田 真志(熊本大)
苗村 健(東大)
中西 英之(阪大)
中野 倫靖(産総研)
中村 聡史(明大)
西村 拓一(産総研)
西本 一志(北陸先端大)
野間 春生(立命館大)
橋本 直(明大)
長谷川 晶一(東工大)
土方 嘉徳(阪大)
平井 重行(京産大)
平林 真実(情報科学芸術大)
福地 健太郎(明治大)
福本 雅朗(マイクロソフトリサーチ)
藤波 香織(東京農工大)
細部 博史(法政大)
松下 光範(関西大)
的場 ひろし(静岡文芸大)
三浦 元喜(九工大)
三谷 純(筑波大)
美馬 義亮(はこだて未来大)
宮下 芳明(明治大/JST)
迎山 和司(はこだて未来大)
望月 茂徳(立命館大)
森脇 裕之(多摩美大)
山下 淳(筑波大)
湯浅 将英(湘南工科大)
暦本 純一(東大/ソニーCSL)
脇田 玲(慶大)
渡邊 恵太(明治大)