情報処理学会 インタラクション2021

文献情報

タイトル
ウェアラブルセンサを用いた動作計測実験における機器装着バイアスの検証
著者
  • 河村 知輝(神戸大)
  • 土田 修平(神戸大)
  • 寺田 努(神戸大)
  • 塚本 昌彦(神戸大)
アブストラクト
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他人から注目を浴びると普段以上の成果を出そうとする心理効果をホーソン効果と呼ぶ.ホーソン効果は人の行動に良い影響を与える効果として主に挙げられている.例えば,医療の現場において他人から見られているといった状況から手指の消毒回数が増え,衛生施行状況が改善されたり,集中的に患者を治療すると症状が改善されたりする.しかし,この効果はウェアラブルセンサを用いた動作計測実験においては大きな問題を引き起こしている可能性がある.具体的には,センサの装着自体が,実験者の「装着部位を動かして欲しい」といった期待を表し,それが被験者の動きに影響している可能性がある.もし,センサ装着位置の身体部位は大げさに動かしてしまう,などの影響が現れていれば,ウェアラブルセンサを用いてこれまで行われてきたあらゆる評価実験の信頼性に疑問が生じることになる.そこで本研究では,同じ動作をセンサ装着部位を変えながら行わせる実験をすることで,センサを装着すること自体が被験者のジェスチャ軌跡に与える影響を評価する.本稿では,センサの取り付け位置を左右の手首に限定し,複数のジェスチャを行った被験者の映像を解析した.結果,センサ装着部位の違いによって動作が変化することから,これまで実施されてきたセンサ装着によるスキル評価や行動認識の成果はホーソン効果を含む機器装着バイアスの影響を含んでおり,そのまま信頼できないのではないかという重要な知見が得られた.

雑誌名
インタラクション2021論文集
© 情報処理学会 2021
論文ID
INT21003
ページ
21-30
発行日
2021年3月1日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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