情報処理学会 インタラクション2024

小型軽量な腕時計型慣性運動センサデバイスによりエレクトリックギターにおける利き手側の演奏運動をリアルタイムにて計測・可視化する情報処理システムを製作した．ギター弦を下方へと連続して弾く高速単音ダウンピッキング奏法について，演奏運動をスムーズさと力強さを表現する運動パラメータを奏者にフィードバックすることで，身体の痛みといった演奏阻害要因の解消を試みた．ここで，演奏のスムーズさを反映するパラメータとしては手首ひねり軸まわりの回転角速度と，これを時間二階微分した角躍度について，それぞれの絶対値を一定時間積算した値の比を用いることで，身体状況の変化を反映した数値が得られることが分かった．一方，力強さについては手首ひねり軸まわりの角躍度の二乗平均平方根値を用いることで，演奏のスムーズさとの両立という視点からの情報を演奏者にフィードバックしている．そして，演奏初心者であっても視認が容易となる画面表示デザインについて，グラフや数値による無機的な表現と，アバター等を用いた感性的な表現とを比較する運動診断システムを製作し，様々な技量レベルにある奏者による比較実験を実施した．