情報処理学会 インタラクション2024

音楽制作において，作業ごとに処理やフォーマットが異なり，環境が分離し，ある作業の音楽情報が別作業では扱いづらい問題がある．後から情報の抽出・追加を行うことでこの問題に対処する方式では不完全で手間がかかるため効率が悪い．そのため音楽プログラミング言語やDAWのプロジェクトファイルなどで，各作業が有益な情報を次の作業に受け渡せるようにする取り組みがある．しかし現状は，特殊な記法，構文，意味論となっており，汎用的な用途には向いていない．本論文では，従来方式と比較しつつ，圏論や集合，有向グラフなどの数学的な表現に基づいたプロジェクトファイルを提案する．その利点としては，外部記述による可読性や再利用性が向上，類似データの関係性の記述が行える．加えて，データ構造をシンプルに保つことで拡張性に富み，共同作業やバージョン管理のしやすさにも繋がっている．