情報処理学会 インタラクション2024

文献情報

タイトル
自己効力感の獲得による不快音の認知的マスキング
著者
  • 椎久 翔太(静岡大)
  • 竹内 勇剛(静岡大)
アブストラクト
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日常に溢れる不快音に対して, 私たちは不快に感じる音環境を遮断するといった対応をする. 音環境を遮断するという選択は, 人間が不快音に対して干渉することができないという無力感も要因の一つとしてあげられるはずである. しかしながら音環境を遮断するということは, 音の取捨選択の幅を狭めてしまう. 本研究では音環境を遮断するのではなく, 不快音を音楽の一部とみなすことで実質的に不快音が気にならなくなることを目指す.被験者が不快音が存在する音環境に自ら介入し,その音環境はコントロール可能であるということを認知し,不快音の不快度を軽減する効果を期待する.不快音が自身の操作可能な音環境の一部であると感じることができれば, 不快音が気にならない音環境ができると考えられる.本稿では不快音のリズムを基に生成した音楽を流し, 音楽の調整が可能であることから, 音環境への干渉が可能であるという認知を軸として不快音を認知的にマスキングする実験について述べる.実験の結果,音環境への積極的な介入によって得られる音響効果のフィードバックが不快音の認知を変化させることで不快感を軽減し,タスクのパフォーマンスが向上した.外的フィードバックよりも実際の行動が不快感の軽減につながることが示され,能動的な行動によって不快感を軽減する可能性が示唆された.

雑誌名
インタラクション2024論文集
© 2024 情報処理学会
論文ID
1P-90
ページ
594-599
発行日
2024年2月28日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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