情報処理学会 インタラクション2024

文献情報

タイトル
VRゴーグルと大画面スクリーン映像観察時の輻輳角の比較
著者
  • 名手 久貴(東京工芸大)
  • 高村 環(東京工芸大)
アブストラクト
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本研究では,VRゴーグルと大画面スクリーンに投影された映像観察時の観察者の視線のなす角である輻輳角を測定した.提示した映像には,線遠近法による奥行感を知覚しやすい映像を用いた(図3).VRゴーグルに提示した映像には,被験者の近傍もしくは遠方に静止する球体を表示した映像,接近運動および後退運動する球体を表示した映像,球体が遠方から接近し,観察者の手前で後退する映像,観察者の後方まで球体が移動したのち運動方向を反転させる運動の6種を設けた(図5,表1).大画面スクリーンには観察者の後方で運動方向を反転させる場合を除いた5種の映像を設けた.被験者の課題は表示された球体を注視する事であった.結果,VRゴーグルにおいて対象が近傍に静止した時の輻輳角は遠方に静止した時の輻輳角よりも有意に大きかった(p<.05).一方,大画面スクリーンではそのような違いは見られなかった.この結果は,VRゴーグル,大画面スクリーンという表示方式の違いにより輻輳角が変動する場合と変動が確認されない場合が存在することを示していた.VRゴーグルでは,輻輳角が遠近法の情報に誘導されているので,VRゴーグルに表示された2次元像は,三次元的な空間として知覚される程度が高い表示像であったことが考えられた.このことは,輻輳角の変動が表示像を空間として知覚される程度を示している可能性があった.

雑誌名
インタラクション2024論文集
© 2024 情報処理学会
論文ID
1P-91
ページ
600-603
発行日
2024年2月28日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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