情報処理学会 インタラクション2024

近年，現実世界では不可能なことをシミュレートできるVRの性質を活用し，人間の認知や能力を変容させることを目指した研究が進んできている．我々は，業務の現場において必要とされる身体スキルを容易に獲得できるようにするため，VRにおいてより高い自己操作感を保ったまま業務スキルをトレーニングできるシステムの実現を検討している．今回，業務上の身体スキルの一部である視覚に関し，ユーザの頭部の動きに応じてVR空間の回転を制御するヘッドリダイレクションに着目し，ヘッドリダイレクションが，異常箇所の点検業務等の，実際の業務と同様の間違い探しタスクにおいて，自己操作感を保持したまま被験者の視線を間違い箇所へ誘導できるかについて検証した．その結果，ヘッドリダイレクションによる視覚の誘導効果を確認でき，初めて実際の業務のトレーニングにおける実用性の一端を明らかにできたので報告する．