情報処理学会 インタラクション2024

微表情とは，感情の抑制を試みているにも関わらず無意識的に表出する表情であり，人の本心を認識する手段として有用である．微表情は，発生時間が短く強度が低いといった特徴から，肉眼での認識が困難である．そのため，画像認識を用いた表情分析や，筋電図や脳波信号などの生体情報を用いた検出が行われている．筋電図を用いた検出では，既存の微表情検出に用いられる表情や主観的な感情評価の他に，生体情報を用いることで客観的な検出が可能である．しかし，測定に必要な電極の数が多いことや有線のデバイスを用いていることから，被験者の動きが制限される．そのため，ユーザビリティに配慮したデバイス，システムの設計が重要である．本稿では，ウェアラブルな微表情検出を行う筋電システムの構築を目指すために，筋電図分析の基礎検討を行う．実生活に近い環境で微表情の検出を行うには，ユーザーの負担にならないデバイスが必要である．そこで，筋電図の計測に必要な電極数が少ないウェアラブルデバイスを用いて微表情の検出を行い，その評価を行う．