情報処理学会 インタラクション2024

本研究は，ビデオ会議における非母語話者（NNS）のための発話支援ツールを開発・分析した．異なる言語圏の人々がお互いに協力して問題を解決したり，プロジェクトを進めたりする時において，英語を共通言語として使用する場合が多いが，NNSは英語でのコミュニケーションに不安を感じることが多い．本研究では，OpenAI社のChatGPT-4という大規模言語モデルの能力を活用し，NNSが入力したキーワードと会話の文脈に基づいて発話文の提案を生成するツールを実装した．次に93人の参加者を対象に実験を行い，NNSの発話パフォーマンスと認知負荷に与える影響，およびNNSのコミュニケーション時の不安度を評価した．結果として，NNSはツール使用による自信の向上や話の論理性の改善を感じることができたが，ツールの複雑さによって認知負荷が増加し，会話に集中したり注意を払えなかったりしたことが指摘された．