一般講演

JackIn: 一人称視点と体外離脱視点を融合した人間-人間オーグメンテーションの枠組み (028)
(1) JackIn: 一人称視点と体外離脱視点を融合した人間-人間オーグメンテーションの枠組み

本論文では,JackInと呼ぶ,人間が他の人間の環境に没入し,その状況や体験を共有したり共同作業を行ったりする際のインタラクションの枠組みを提案する.このようなインタフェースは,現場の作業を遠隔地の専門家が支援したり,現地での体験を他の利用者に伝送する,遠隔から作業者を誘導する,などの応用に適用できる.Bodyと呼ぶ,実環境にいる利用者の一人称映像を遠隔地の利用者(Ghost)が観測し状況を共有する.さらに,Ghostが自由な視点位置で環境を観測することを可能にするために,一人称映像のシーケンスからSLAMに基づいて空間をモデリングし,擬似的にGhostの視点外から状況を観測することを可能にする「体外離脱視点」を提供する.これにより,GhostはBodyに追従しながらも独立な視点で環境を観測することができ,一人称映像特有のモーションシックネス問題も解決することができる.また,GhostがBodyを効果的に支援できるように,Bodyの視野外にある事物をポインティングするための視覚化技法を提案する.本論文ではこの発想に基づくシステムを試作し,JackInインタフェースの有効性を利用者実験によって確認した.

笠原 俊一(ソニー),暦本 純一(東大/ソニーCSL)
暗記学習のための替え歌自動生成システム (047)
(2) 暗記学習のための替え歌自動生成システム

情報処理技術が進展し,さまざまな学習支援システムが開発されている.特に,学習者の暗記を支援するための一般的な手法としては,元の文字列を他の意味のある文字列に置き換える語呂合わせがよく用いられ,その語呂合わせを自動で生成するシステムが存在する.しかしこれらのシステムには文字数や暗記対象に制限があり,汎用的に暗記学習に使えるとはいえない.一方で,暗記学習のために替え歌を用いるという手法は,語呂合わせと同様に広く知れ渡っている手法であるが,替え歌を生成する一般的な手法は筆者らの知る限り確立されておらず,学習者が暗記したい項目に対し自由に替え歌を生成することができないという問題がある.したがって本研究では暗記学習のための替え歌自動生成システムの構築を目的とする.提案手法では,学習者自身の知っている楽曲からなる楽曲データベースに対し,学習者が暗記したい項目を入力すると,楽曲データベース中のいくつかの曲の歌詞に暗記したい項目が割り当てられて替え歌として出力される.本研究では,この割り当てに楽曲のリズムと暗記項目のモーラ数を用いる手法を提案した.従来手法として学習支援なしで単語の羅列を暗記する場合とを比較した評価実験の結果より,提案手法の方が単語とその順番を正確に暗記できる傾向があることが示された.

伊藤 悠真(神戸大),寺田 努(神戸大/JST),塚本 昌彦(神戸大)
移動型カメラによるヘアセルフカット支援システム (049)
(3) 移動型カメラによるヘアセルフカット支援システム

自分の髪を自分自身で散髪することは難しい.伸びた髪を散髪する場合には美容室や理容室,床屋といった専門家のいる場所へ行くのが一般的である.しかし,髪質も顔も趣味も異なる専門家に各個人が抱く髪型の悩みや理想のイメージを伝えることはうまくいかないこともある.こういったことに対する不満や,その他の好奇心や目的によって自分で散髪したいという欲求,動機が生じることがある.しかし,本研究でヘアセルフカットと呼ぶこの行為を実行するためには,技術面や環境面においていくつかの課題が存在する.本研究では,ヘアセルフカットを現状の道具や環境でおこなった場合に課題となる「目では見えない範囲の映像の取得」に重点を置き,自分の目では見えない範囲をカメラで撮影し,その映像を見ながらヘアセルフカットを行うシステムを提案する.評価実験により提案システムの有効性を確認した.

双見 京介(神戸大),寺田 努(神戸大/JST),塚本 昌彦(神戸大)
ビデオ会議に身体接触を付加した遠隔握手によるソーシャルテレプレゼンスの強化 (015)
(4) ビデオ会議に身体接触を付加した遠隔握手によるソーシャルテレプレゼンスの強化

ビデオ会議システムでは,対面でのインタラクションと異なり身体接触が起こらない.本研究では,ビデオ映像に遠隔地間での擬似的な身体接触を加えることで,ソーシャルテレプレゼンスの向上を試みた.我々は,初対面で最も広く用いられる身体接触として握手に着目し,握手の感覚を再現できるロボットハンドを開発した.このロボットハンドでビデオ会議システムでのソーシャルテレプレゼンスを強化する上で,双方向で遠隔握手を行う必要があるのか,遠隔地で握手が行われていることを映像で提示する必要があるのか,これら2つの疑問が生じる.まず,これらの疑問を解決するために,遠隔握手の最も効果的なデザインを検証した.その結果,遠隔地の身体接触を提示せずに双方向で遠隔握手を行うデザインが最も効果的であることがわかった.次に,遠隔握手がソーシャルテレプレゼンスを強化するか検証するため,最も効果的であったデザインと通常のビデオ会議システムを比較する実験を行った.その結果,遠隔握手を行うことで,映像のみの場合よりもソーシャルテレプレゼンスが強化されること,さらに,ロボットハンドを用いた擬似的な握手であっても相手に親近感を与えられることがわかった.

和田 侑也(阪大),田中 一晶(阪大/JST),中西 英之(阪大)
人は車内においてどのような会話をするのか: 「タイムリー」な情報流通のための一考察 (004)
(5) 人は車内においてどのような会話をするのか: 「タイムリー」な情報流通のための一考察

本研究は、自動車に乗って移動する際の車内会話を記録・提示することで、人と街の間に埋め込まれたタイムリーな知識を流通させることを目的とする。自動車に乗り合わせた人同士は、走行中の場所やその近辺について様々な会話をする。そのような会話は、その場限りの一過的のものではあるが、人がその時・その場にいることによって生起されることが多く、その場所や季節、時間帯と強く結びついたタイムリーな情報が含まれる。これらは運転者に有用な気づきをもたらすのみならず、街に関する知識ベースの構築を助け、街に関するニーズや機会の理解とそれを応用したシステムへの展開が期待される。本論文では、車内会話のようなタイムリーな情報の流通システムを実現するための基礎研究として、およそ10ヶ月に渡り車内会話を収集し、分析・分類したのでその結果を報告する。

松村 耕平,角 康之(はこだて未来大)
TransformTable: 人の空間配置を動的に変化させる自律変形デジタルテーブル (055)
(6) TransformTable: 人の空間配置を動的に変化させる自律変形デジタルテーブル

テーブルの形を物理的に変形可能なインタラクティブデジタルテーブルTransformTableを提案する.TransformTableはホストコンピュータからの無線コマンドに従ってその形状を各種モータにより機械的に変形させる.これにより,動的に変化するグループインタラクションに対しても,快適かつ適切な空間を維持したり,創り出すことが可能になる.また,テーブルの形は周囲の場の印象や質に変化を与えることから,テーブルの自律変形によって,その場やインタラクションを誘導することも可能である.さらに,スクリーン(作業面)を表示する視覚的なデジタルコンテンツの形に応じた適切な形にすることができるため,コンテンツの形に沿ったグループインタラクション空間を構築することも可能である.そのプロトタイプとして,本研究では,テーブルの形を代表的な3つの形(正方形,円形,長方形)に変形することが可能なテーブルを設計し,実装した.さらに,予備実験により,テーブルの自律変形が複数人会話中の快適性やインタラクションに影響を与えることを明らかにした.

高嶋 和毅,会田 直浩,横山 ひとみ,北村 喜文(東北大)
サッケード追尾可能な視線計測カメラの開発とそれを用いるインタラクションの可能性 (014)
(7) サッケード追尾可能な視線計測カメラの開発とそれを用いるインタラクションの可能性

視線計測はユーザインタフェースや心理状態の分析などインタラクション分野での幅広い応用が期待されている.サッケードと呼ばれる高速な眼球運動は,従来の視線計測システムではリアルタイムでの追尾が不可能であるものの,新しいインタラクションへの応用が期待されている.本稿では,サッケードを含む眼球運動を500[fps]以上の高フレームレート,かつリアルタイム(低レイテンシ)で計測・追尾が可能な視線計測システムの開発について,高速カメラとFPGAを用いた実動作検証システムと専用イメージセンサの設計のそれぞれについて述べる.またそれを用いて「サッケードが行き着く先」を先回りで予測する手法について検討した結果について述べ,さらにそのリアルタイムのサッケード予測を用いるインタラクションの可能性について考察する.

川上 隼斗,笹田 裕太,五十嵐 覚,秋田 純一(金沢大)
解像度制御を用いた視線誘導 (043)
(8) 解像度制御を用いた視線誘導

近年,メディアや情報端末の発達により広告やwebページを通してたくさんの情報が発信され,人々はそれらを受け取っている.しかし,ユーザーはすべての情報を受け取れるわけではなく,受け取れる情報量にも限界があり,情報の取捨選択している.そのため,情報を効率よくユーザーに伝える必要があり,視線誘導を用いることでそれが可能となる.視線を特定の領域に誘導するための手法は様々あげられるが,ほとんどのものは視線を誘導させられていることに気づくことができ,そのため誘導先の情報に対して悪い印象を抱いてしまうといったという報告がされている.本研究では,そういった問題を解決するために,動的に解像度制御を行うことで気づかれることなく視線の特定の領域に誘導させることを目的とする.そのために,画像の解像度を領域ごとに制御し,高解像度領域と低解像度領域を作ることによって視線を誘導させる.さらに動的に解像度制御を行うことによって誘導させていることに気づかれないようにした.本研究では,解像度制御によって視線が誘導されるか調べるための実験と人がblurに気づくときの閾値を調べるための実験を行い,気づかれない視線誘導が実現可能であることを示した.

畑 元,小池 英樹(電通大),佐藤 洋一(東大)
解像度を維持しつつ自然なBullet Timeを実現する射影変換の検討 (041)
(9) 解像度を維持しつつ自然なBullet Timeを実現する射影変換の検討

被写体を中心に等間隔に並べた多視点カメラからの映像のうち、同時刻のフレームを順に切り替えるとBullet Timeと呼ばれるカメラワークをもった映像表現となる。この時、各カメラを被写体の一点が画像の中心となるように設置しなければ不自然な映像となってしまうため、各フレームを射影変換で補正する方法がある。しかし、この射影変換は元のフレームを変形するため、そのままでは空白部分ができてしまう。これを回避するには変換後の画像を拡大すればよいが、過度な拡大をすると画像が劣化してしまう。本稿では、この拡大をなるべく抑えつつ、Bullet Timeカメラワークとして自然な射影変換の方法を提案し、その効果を評価実験により検証した結果を報告する。

坂本 竜基,陳 鼎(ヤフー)
家電製品の操作圧力計測によるユーザビリティ評価の支援に関する研究 (031)
(10) 家電製品の操作圧力計測によるユーザビリティ評価の支援に関する研究

コンピュータ化されたハイテク家電製品のユーザビリティテスティングはますます重要になっている.ビデオや音声の記録データは,ユーザの自信の無い操作の様子が記録されるため,ユーザビリティの問題を見つける有効な情報となっている.しかし,こうしたビデオ・音声データの分析にかかるコストは大きい.そこで本論文では,実験結果に基づいて,家電製品の操作圧力を計測することによって,ユーザビリティの分析の効率を向上させられる可能性があることを示す.本研究の結果,圧力データからユーザの心的負荷を推測することができることが示唆された.また,圧力波形から,ためらいや誤操作を検出することができることを示した.

葛岡 英明(筑波大/RISTEX),村上 舜,冨士原 照久(筑波大),山下 直美(NTT/RISTEX),エチェニーケ アンディ(NTT),原田 悦子(筑波大/RISTEX)
装着デバイス間の直接通信によるウェアラブルコンピューティングの信頼性確保 (052)
(11) 装着デバイス間の直接通信によるウェアラブルコンピューティングの信頼性確保

ウェアラブルコンピューティングを医療や航空などの分野で用いる場合,物理的なデバイス故障やシステムハングアップによる情報提示の中断が深刻な問題を引き起こす可能性がある.そこで本研究では,ハングアップ等のトラブル時に入出力デバイスをバイパスすることで情報提示を継続する枠組みを提案する.提案方式は,認知度が高くなるように情報変換を行う機構を備えるため,トラブル時でも途切れなく情報提示を継続できる.


寺田 努(神戸大/JST),柳沢 豊(神戸大/NTT),岸野 泰恵(NTT),塚本 昌彦(神戸大),須山 敬之(NTT)
効率のよい計測のためのナビゲーションを実現する領域制限に基づく3Dインタラクティブモデリング (025)
(12) 効率のよい計測のためのナビゲーションを実現する領域制限に基づく3Dインタラクティブモデリング

近年,家庭用ゲーム機や3Dプリンタへの入力として,広く3Dモデルが扱われ始めている.そのため,一般のユーザに向けた3Dモデリングの需要が高まってきたと言える.従来のハンドヘルド型の3Dモデリングシステムでは,ユーザはディスプレイに表示された対象のモデリングの生成状況を何度も確認しながら,未計測箇所を見つけ出して計測し,ユーザ自身が満足した時点でモデリングを完了としていた.このようにユーザが行わなければならない操作が多いため,負担が大きいという問題がある.そこで本稿では,領域制限に基づく3Dインタラクティブモデリングシステムを提案する.領域を制限することにより,未計測領域を推定するアルゴリズムを実装でき,そのアルゴリズムを用いることで最適な計測位置へのナビゲーションを行え,モデリングの完了も自動的に判断できる.そして,領域制限を用いた際,モデリングに所要する時間やユーザへの心理的な負荷を調査するため実験を行った.その結果,モデリングを開始する前に領域制限を行なうだけで,素早く簡単に,少ない心理的負荷でモデリングを実現できることが判った.

上羽 優貴,酒田 信親,西田 正吾(阪大)
複合商業施設での複数人によるタイムスロット考慮型プランニングを実現するデジタルサイネージシステム (011)
(13) 複合商業施設での複数人によるタイムスロット考慮型プランニングを実現するデジタルサイネージシステム

我々は複合商業施設に複数人で来訪した客がタイムライン上に希望の店舗やイベントを割り付けてプランニングできるデジタルサイネージシステムを提案する.提案システムは大画面マルチタッチパネル上にタイムラインと店舗やイベントのリストを表示し,ユーザは表示されたリストから所望の項目をタイムスロットに割り付けてプランニングができる.これによってグループ内での意見調整が促進され,時間を有効に活用でき,買い物をより楽しめると期待される.本稿では,提案システムと,店舗選択のみでタイムラインを用いないシステムを実際の複合商業施設に設置して比較評価した結果を報告する.2人組20組の計40人の参加者による実験の結果,提案システムがプランニングへの満足度及びその後の巡回行動の満足度を高めることが確認された.

中島 康祐,伊藤 雄一(阪大),遠藤 隆介(ゼネラルリソース),岸野 文郎(関西学院大)
Ficon: 立体映像表示が可能なタンジブルデバイスの提案 (019)
(14) Ficon: 立体映像表示が可能なタンジブルデバイスの提案

我々はテーブルトップシステム上で使用する,光ファイバを用いた映像提示が可能な操作デバイス"Ficon"を提案した.Ficonは表面の形状加工を施すことで,立体的な映像表現が可能になる.我々はCGと立体形状を持つFiconを組み合わせ,実体を持つ立体映像を表現するタッチディスプレイとしてFiconを実装した.Ficonは一般的な立体視差を使った3Dディスプレイと異なり,映像に触れて操作することに違和感がない.これに加えて,今回はFiconへのペンポインティング操作とFiconの固有ID識別をするシステムを実装し,複数の立体映像提示デバイスを使ったインタラクションの幅を広げた.本稿では,Ficonの構造と固有ID識別とペンポインティング操作を両立するシステムの実装について記述した後,Ficonの立体映像表現について触れ,アプリケーションを示す.

高田 悠太(明治大),中林 隆介(明治大/DNP情報システム),福地 健太郎(明治大)
PUCs: 静電容量方式マルチタッチパネルにおけるユーザの接触を必要としないウィジェット検出手法 (002)
(15) PUCs: 静電容量方式マルチタッチパネルにおけるユーザの接触を必要としないウィジェット検出手法

本稿では,ユーザが触れていない間でも静電容量式マルチタッチパネルによって継続的に位置検出が可能な物理的ウィジェットとしてPUCsを提案する.市販されている静電容量方式のマルチタッチパネルを使ったデバイスはパッシブな物体の接触はタッチとして検出しないように実装されている.我々は静電容量方式のタッチ検出技術を踏まえ,パッシブかつ,ユーザの接触なしで検出可能なウィジェットの構成について検討する.実装したPUCsを17種類の市販されているマルチタッチデバイスの上で評価し,提案手法が様々なデバイスに適用可能であることを確認した.

中島 康祐,伊藤 雄一(阪大),Simon Voelker(RWTH),Christian Thoresen,Kjell Ivar Øvergård(HBV),Jan Borchers(RWTH)
フレーム可動型両手多指力覚提示装置のフレーム制御に関する提案 (042)
(16) フレーム可動型両手多指力覚提示装置のフレーム制御に関する提案

本論文では技巧的操作が可能な両手多指ワイヤ駆動型力覚提示装置SPIDAR-10の回転式フレームを最適に制御する手法を提案する.SPIDAR-10は両手10本の指を使ってVR世界にある仮想物体を操作することが出来る.左右の手に対して1つずつの円筒形フレームに片手の指5本分のワイヤ20本が張られる.そのため,両手を用いた複雑な操作を行う際にフレーム内のワイヤの干渉が問題となってしまう.干渉が起こると,操作者が違和感を覚えるだけでなく,指の位置姿勢推定の精度にも大きく影響するため,ワイヤの干渉低減が必須となる.

丸山 直紀,劉 蘭海,田上 想馬,赤羽 克仁,佐藤 誠(東工大)

インタラクティブ発表(1)

拡張現実感のユーザ別情報提示に基づく不完全情報ゲームのオプションのリデザイン (007)
(A0-0) 拡張現実感のユーザ別情報提示に基づく不完全情報ゲームのオプションのリデザイン

本研究では,ゲームの進行につれて,プレイヤーに情報が徐々に開示されていく不完全情報ゲームにおいて,情報の開示を制御できるオプション(選択肢)をプレイヤーに与えるようにリデザインすることによって,より豊かなエクスペリエンスを提供する.不完全情報ゲームの一例として,神経衰弱ゲームを取り上げ,そのプロセスをリデザインし,ユーザスタディによって有効性を確認した.


明神 聖子,島田 伸敬(立命館大)
-黒杖- 位置推定と仮想点字ブロックを用いて視覚障害者を歩行支援する電子白杖 (021)
(A0-1) -黒杖- 位置推定と仮想点字ブロックを用いて視覚障害者を歩行支援する電子白杖

本論文は,ユーザ(視覚障害者)が行きたい施設や部屋までの安全な経路上に「仮想点字ブロック」を設定し,誘導を促す電子白杖について述べる.視覚障害者にとって,点字ブロックが設置されていない場所へ行くことは困難となる.そこで,Webカメラ・無線LANのアクセスポイント・赤外線センサーを用いてユーザの位置と目的地までの安全な経路を特定し,点字ブロックと同じ感触を提示するソレノイドの機構を組み込んだ電子白杖でユーザはあたかも従来の白杖を使っているかのように誘導する手法を提案する.

古川 裕士,濱川 礼(中京大)
StackBlock: 積み重ね形状構築を可能とするブロック型デバイス (023)
(A0-2) StackBlock: 積み重ね形状構築を可能とするブロック型デバイス

子供の積み木遊び方を計測・理解することが可能なブロック型UI“StackBlock”を提案し,検討を進めている.本稿では,子供の積み木遊びの観察に基づき,積み重ねによる3次元の構築形状をブロックデバイスが認識することができる手法について述べる.StackBlockの表面には赤外線LEDとフォトトランジスタを敷き詰めており,ブロックを積み重ねると,向かい合うLEDとフォトトランジスタが赤外線通信し,ブロックIDや面ID,接触領域情報などをブロック間で交換する.これによりカメラなどの追加のセンサを用いることなく,ブロックにより構築された3次元形状を認識できる.また,従来のブロック型UIと違い,接続や分離に強い力が不要となり,接続の向きの自由度も高くなる.本稿では,StackBlockのための赤外線を用いた積み重ね認識手法における形状認識の精度とリアルタイム性について検討する.

安藤 正宏(阪大),細井 俊輝(東北大),中島 康祐(阪大),高嶋 和毅(東北大),伊藤 雄一(阪大),足立 智昭(宮城学院女子大),尾上 孝雄(阪大),北村 喜文(東北大)
SenseChairを用いた眠気検出に関する検討 (026)
(A0-3) SenseChairを用いた眠気検出に関する検討

オフィスワーク環境でユーザに意識させることなくセンシングするために椅子に着目し,オフィスチェア型デバイスSenseChairを実装するとともに,これを用いた眠気取得手法について検討する.SenseChairは,座面下に4つの圧力センサを備え,非装着・非侵襲に座面の重心位置と重量を取得でき,ユーザの作業を阻害しないセンシングが可能である.本稿では着座中に睡眠したユーザから取得したデータに基づき,覚醒と睡眠の2状態を識別する手法について検討し識別可能性を評価した結果,参加者内で76.9%の平均識別率を得た.また,睡眠に入るまでの眠気を5段階で識別することについても検討し,参加者内で53.4%の平均識別率を得たほか,眠気の客観評定の系列とシステムによる眠気識別結果の系列との順位相関係数が平均0.75となり,SenseChairによる眠気検出の可能性を示した.

宮崎 陽平(阪大),池田 和章(阪大/ブリヂストン),中島 康祐,伊藤 雄一,尾上 孝雄(阪大)
痙性斜頸患者に対するKinectを用いた姿勢評価システム (033)
(A0-4) 痙性斜頸患者に対するKinectを用いた姿勢評価システム

運動障害疾患の一つとして知られる痙性斜頸の症状評価には、現在Tsui ScoreやTWSTRSなどいくつか評価方法が存在する。これらは医師の目視により行われているため、評価者によって基準が異なり、評価者が同一でないデータ同士を比較することが難しいという問題がある。痙性斜頸のように現在確たる治療法がなく今後も新しい治療法開発が必要とされる疾患においてはより再現性の高い、客観性の高い症状評価手法を確立する必要がある。そこで本研究はリアルタイムに3次元計測が可能なKinectを用いて、斜頸疾患に対し正確で再現性のある姿勢評価を実現することを目的とする。本稿で製作したシステムは患者の顔認識、顔の角度の計測、表示を行い、Tsui ScaleやTWSTRSへ適用させることが出来る。頭部の回転に対して医師の目視との精度の比較を行ったところ、本システムは不得意な回転軸がなく、十分な計測精度を持つことが確認された。

中村 拓人,西村 奈令大,旭 雄士,大山 彦光§,佐藤 未知,梶本 裕之電通大,富山大,§順天堂大,JSPS,JST)
TouchContext: タッチ操作の挙動分析に基づく人のコンテキスト認識 (048)
(A0-5) TouchContext: タッチ操作の挙動分析に基づく人のコンテキスト認識

スマートフォンを用いたコンテキスト認識では,加速度センサやGPSを用いた研究が数多く報告されているが,本研究はそうしたセンサの1つとして,スマートフォン上での「タッチ操作の挙動」を利用することを提案し,その値を取得・分析するためのAnalayzerの開発に関して報告する.さらに,開発したシステムを用いて分析を行い,タッチ操作の挙動が人のコンテキスト認識へ適用できる可能性について議論する.


平部 裕子,荒川 豊,安本 慶一(奈良先端大)
Kinectを用いた簡易3Dアニメーション制作システムの提案 (062)
(A0-6) Kinectを用いた簡易3Dアニメーション制作システムの提案

映画等のような高品質な3次元アニメーション制作に用いられる機器は,高価であるばかりではなく利用に専門的な技能を要し,導入コストが高い.一方,教育や観光産業等の分野では,小規模な団体および個人がアニメーションを制作したいという需要が増加しており,簡単かつ安価なコンテンツ制作・編集システムが求められている.そこで,本研究ではKinectを用いた3次元アニメーション制作システムを提案する.本システムを実現する方法として,各モーション間の関連性を自動的に構造化する手法,および,モーション間のつなぎ目を滑らかに表示するための3次元形状補間手法を新たに提案する.また,制作した3次元アニメーションをタブレットデバイスを用いてインタラクティブに操作・閲覧することのできる既存のシステムと統合することで,制作から閲覧までを行なえる一貫したシステムを実現する.

古川 真行,赤木 康宏(鹿児島大),河合 由起子(京産大),川崎 洋(鹿児島大)
ファイル内の付箋情報が見える作業効率化ファイルマネージャ (067)
(A0-7) ファイル内の付箋情報が見える作業効率化ファイルマネージャ

現実世界での書類整理で使われる付箋の効率的な利用方法は,コメントを記入した付箋を書類からはみ出すようにして該当ページに貼り付けることである.付箋が目印となるので,書類を開かずに外から見ただけで重要情報がどこにあるのかわかる.既存のドキュメント作成ソフトウェアでは,ファイル内に付箋を付ける機能はあるが,付箋を見るためにはファイルを開かなければならない.本研究では,ファイルを開かなくてもファイル内に付けられた付箋をユーザに見せられるファイルマネージャを開発する.これにより,コンピュータ上でのドキュメント作成作業効率を高めることを狙う.

小澤 怜,大瀧 保広,新堀 道信,鎌田 賢(茨城大)
業務の周期性に着目して関連日誌を提示する業務日誌システム (068)
(A0-8) 業務の周期性に着目して関連日誌を提示する業務日誌システム

業務日誌を情報システムで管理することによって,業務効率の向上が図られている.キーワードによる検索もできるので,必要な情報をすぐに見つけ出せる.検索が役に立つためには,ユーザ自身が今必要な情報が何であるかを意識していなければならない.ユーザに対して,本人が気づいていない有用な情報も提示できれば,さらなる効率化につながる.例えば,ユーザがその時に行っている業務や近々起こりそうな業務に関連する過去の日誌を自動的に提示できれば,さらに業務を効率化できる.本研究では,業務の周期性を過去の日誌の内容から判断して関連日誌をユーザに提示する業務日誌システムを開発する.

吉田 悠人,新堀 道信,鎌田 賢(茨城大)
交通事故低減のための運転者状態共有システム (080)
(A0-9) 交通事故低減のための運転者状態共有システム

我々は運転者の状態を他者と相互に共有することで交通事故を低減することを目指して必要な技術開発を行っている.これまでの運転支援システムのほとんどは周囲状況や運転者の状態を運転者本人に提示して危険運転の防止を図るものであり,その効果は運転者本人の能力・認知状態に依存している.本研究では,検出された運転者の状態を運転者本人に伝えるだけでなく周囲の他車両の運転者,歩行者とも共有することにより,早期の危険予測を可能とし事故回避につなげることを目指す.提案アプローチの社会的受容性の評価を含む検討状況について報告する.

内海 章,多田 昌裕,山本 直樹,乗冨 修蔵(ATR),松尾 典義,鳥居 武史(富士重工業),志堂寺 和則(九大)
センサー入力とCGの連携を体験する演習教材 (070)
(A1-0) センサー入力とCGの連携を体験する演習教材

インタラクションの技術を学ぶためには,物理世界の情報とコンピュータ内部の情報の連携を実際に体験することが重要である.従来のキーボードやマウスはハードウエアとソフトウエアとの接点がOSなどで抽象化されているため,入力デバイスにより物理世界の情報を読み取っている感覚が十分に得られない問題がある.本研究では,入力のためのハードウエアをよりシンプルなマイコン上のセンサーとし,その出力先にコンピュータグラフィックス(CG)のビジュアルアートに対応づけることで,より直接的にデバイス入力とCGの連携を感じることができる教材を提供するものとした.

渡辺 柚佳子,樫村 健人,吉田 裕幸,矢野 雄也,住谷 拓馬,河合 広至,菅谷 みどり(芝浦工大)
ユーザの不覚筋動を利用した意思決定支援システム (071)
(A1-1) ユーザの不覚筋動を利用した意思決定支援システム

友人や恋人といった親しい人からの「どっちがいいと思う?」という類の相談は,こちらにとってはどうでもいい内容でも無下にはできない.そんなときに代わりに相手になってくれる意思決定支援システムとして,本研究では,こっくりさんやダウジングの原理の一つと考えられている不覚筋動(本人が気づかない筋肉の作用)を使った占い型相談システムを提案する.本システムの特徴は,相談者の「相談している」という気持ちを損なわず(生体センサを使わない),且つ,相談者の本当の気持ちをある程度察する(相談者自身が気付かずにシステムを操作している)ことができることである.

前田 真梨子,尾関 基行,岡 夏樹(京都工繊大)
マグネイル: 爪装着型磁石を用いたインタラクション (072)
(A1-2) マグネイル: 爪装着型磁石を用いたインタラクション

マグネイルは,ユーザの指先にネイルアートとして装着した磁石である.ユーザがマグネイルを装着し,スマートフォンなどを操作する際,機器に標準搭載されている磁気センサにより,指の位置や向きを検出することができる.本稿では,マグネイルを試作し,装着した指の方向を検出する手法を開発した.さらに,これを利用して直感的なモード切り替えを実現したアプリケーションを実装した.


門村 亜珠沙,椎尾 一郎(お茶の水女子大)
布地サンプルとARを用いた触れる衣服カタログ (114)
(A1-3) 布地サンプルとARを用いた触れる衣服カタログ

衣服の通信販売は便利である一方で、実物を手に取ることができないために素材の質感が確認できないという問題点が挙げられる。本研究は、衣服の通信販売におけるこの問題を解決するため、ARアプリと布地サンプルカタログを用いたシステムを提案する。また、実地調査を行い、商品の質感を確認するために必要な布地サンプル数を明らかにした。本システムを利用することにより、ユーザは実物を触っているかのように商品の質感を確認することができ、通信販売を利用する際の不安や失敗を軽減することができると考えられる。

小谷野 さとみ,椎尾 一郎(お茶の水女子大)
Do-seiさん: 「やっておいたよ」メッセージの書き置きによる架空エージェントの存在感演出 (074)
(A1-4) Do-seiさん: 「やっておいたよ」メッセージの書き置きによる架空エージェントの存在感演出

コミュニケーションロボットやペットロボット,家電の擬人化など,寂しい一人暮らしを応援するエージェントの研究が種々行われているが,エージェントに本物らしい存在感を与えることは難しく,コストもかかる.そこで本研究では,エージェントの姿をユーザに見せず,その``痕跡''だけを残して存在感を演出する「Do-seiさんプロジェクト」を進めている.本稿では,ユーザが自分でタイマー設定した家電の自動処理を(実際には存在しない)Do-seiさんがやっておいたことにして,「やっておいたよ」という書き置きを部屋に残しておくシステムを提案する.これはスマホアプリやEメールによる完了通知を``書き置き''に替えただけであるが,それだけの演出で,自分がいない間に誰かが存在したことをユーザに感じてもらう効果を狙う.

髙島 愛理,尾関 基行,村山 加奈子,岡 夏樹(京都工繊大)
2色での入力・表示可能なマトリクスLEDブロックを用いたタンジブルなプログラミング教材 (088)
(A1-5) 2色での入力・表示可能なマトリクスLEDブロックを用いたタンジブルなプログラミング教材

近年,プログラミング教育の必要性が注目されており,プログラミングを学ぶことで得られる経験や考え方の,IT業界に限らず社会全般における有用性が認識されつつある.プログラミングの入門過程においては,分かりやすさを重視したプログラミング言語が必要であり,多くの研究と実践がある.本稿では,著者らがこれまで開発してきた2色の入力と表示が可能なマトリクスLEDを用いたブロック型デバイスbLED Tileを用い,ブロック毎に可視光によって定義可能な命令と変数を持ち,それらのブロックを組み合わせることでプログラムを組む,命令と数値を動的に書き換え可能な,タンジブルなプログラミング言語システムTilesについて述べる.

川崎 基輝,Nguyen Tran Huu Nguyen,秋田 純一(金沢大)
RicketyBench: がたつきで人の存在を提示するベンチの開発 (208)
(A2-0) RicketyBench: がたつきで人の存在を提示するベンチの開発

ビデオチャットにおいて対話相手と同一空間にいる感覚の欠如を解決するために,ミラーディスプレイシステムが提案されている.しかし,ミラーディスプレイシステムは遠隔地の対話相手が隣にいる様子を視覚的に再現するものであり使用者は物理的に相手の存在を感じることはできない.本研究では,対話相手の身体動作による物理的な作用を遠隔地で再現できるベンチを開発した.このベンチは,遠隔地の対話相手が隣に座った際の座面の傾斜を使用者に提示するものである.これを従来のミラーディスプレイと併せて使用することで対話相手の存在を視覚的・物理的に感じることができ,ソーシャルテレプレゼンスの向上が期待される.

加藤 良治(阪大),田中 一晶(阪大/JST),中西 英之(阪大)
ゲルのせん断変形を用いたタッチパネルにおける水平方向力入力 (076)
(A2-1) ゲルのせん断変形を用いたタッチパネルにおける水平方向力入力

現在多くのタッチパネルでは入力の検出に静電容量方式が用いられており,指の座標や接触面積の計測が可能である一方で,指の力の測定は接触面積による垂直方向のみ実現されている.そこで本研究ではゲル層を設ける簡易な手法で水平方向の力を測定し,タッチパネルへの水平方向の力入力を実現する.具体的にはゲルの水平方向のバネ定数と指の座標変化の情報から,水平方向の力を得る.本研究では提案手法により実現される水平方向の力入力を活用し,非電源かつ簡易な実装で画面全体のジョイスティック化や画面内のやわらかい物体のよりリアルな造形などへの応用を目的とする.

中井 優理子,工藤 慎也,岡崎 龍太(電通大),梶本 裕之(電通大/JST),栗林 英範(ニコン)
デジタルカメラによる復号が可能な潜像技術: 一様な画像への誤差拡散法による埋め込み (090)
(A2-2) デジタルカメラによる復号が可能な潜像技術: 一様な画像への誤差拡散法による埋め込み

我々は市販のデジタルカメラの液晶モニタへの表示処理を利用した復号が可能な潜像技術,チェッカパターンキャリアスクリーン画像を提案している.デジタルカメラを用いた復号において,コントラストの良い復号結果を得るためには,キャリアスクリーン画像を低解像度で出力する必要がある.しかしながら,キャリアスクリーン画像を低解像度で出力する場合,秘密画像の露見が問題となるため潜在化処理が必須となる.特に有効な潜在化手法として誤差拡散法による自然画像への埋め込みを提案している.本稿では,一様な画素値を持つ画像への埋め込みにおける潜在化効果について調査したので報告する.

生源寺 類(静岡大)
Arduinoとセンサーを教材としたHCIデバイス製作演習の実践 (082)
(A2-3) Arduinoとセンサーを教材としたHCIデバイス製作演習の実践

人と人工物の多様なインタラクションを学ぶためには,多様な入力情報を実際に試し,その経験をもとに新しいインタラクションを検討することが重要である.しかし,情報系学科では,十分なハードウエアの専門教育がなされていない事も多く,標準デバイスのみでインタラクションの実習を行うことで発想が制限される問題がある.本研究では, Arduinoをベースとした演習により,初学者が多様な入力情報を用いたHCIデバイス開発に取り組むものとした.論文では,授業の概要と成果について紹介する.

菅谷 みどり(芝浦工大)
Android端末上で動作する状態遷移図に基づく対話型アニメーション作成環境 (083)
(A2-4) Android端末上で動作する状態遷移図に基づく対話型アニメーション作成環境

対話型アニメーションは,ユーザからの入力に応じて内部状態を変化させ,表示内容を変えるアニメーションであり,コンピュータゲームもその一種である.状態遷移図を用いてアニメーションの動作を表現できることに着目して,Islayと呼ばれる対話型アニメーションの作成ツールが開発され,ユーザがGUIエディタで状態遷移図を描くことにより,対話型アニメーションを簡単に作成できるようになっている.本研究では,タブレット端末の特徴であるマルチタッチ操作の利点を生かすように,Android端末上で動作する対話型アニメーション作成環境の開発を行う.

周 而晶(茨城大),岡本 秀輔(成蹊大),新堀 道信,鎌田 賢,米倉 達広(茨城大)
振動ファントムセンセーションを利用した仮想物体への接触感提示 (084)
(A2-5) 振動ファントムセンセーションを利用した仮想物体への接触感提示

我々は,日頃使い慣れた道具のメタファを導入した道具型デバイスを提案し,複合現実(Mixed Reality ; MR)空間での立体造形や立体物への描画に利用するシステムを提案してきた.MR空間中の仮想物体は,直接触れることができないため,道具型デバイスには仮想物体への接触感を提示する機構が必要である.本研究では,既開発の道具型デバイスのうち,筆・ナイフ型デバイスに共通する「仮想物体の表面をなぞる」という操作に着目し,振動ファントムセンセーションを利用した簡便な力覚提示機構を提案・実装したので報告する.

西岡 大樹,戸田 梓,大槻 麻衣,柴田 史久,木村 朝子(立命館大)
認知リハビリテーション支援のためのコミュニケーションロボットとのインタラクションによるマインド推定 (087)
(A2-6) 認知リハビリテーション支援のためのコミュニケーションロボットとのインタラクションによるマインド推定

本研究では,生活行動認知リハビリテーション支援のためのコミュニケーションロボットのマインド推定を行うシステムを提案する.「やる気がある」,「やる気がない」といった気持ちや心を,自分で書いたメモリーノートとエージェントとの会話の結果から生成した対話文を用いて現在のマインドを推定する.実験として,エージェントとの会話時に,共感がある場合とない場合とを比較してどちらのほうがマインドを引き出せるかを検証する.また,CGキャラクターとリアルロボットとを比較し,リアルロボットを用いて会話を行うことによってより正確にマインドを引き出せることを検証する.

足立 奈生,佐野 睦夫,高 潔,森 郷士(大阪工大)
人間とロボットの情動インタラクションにおける適応的引き込み制御と学習 (089)
(A3-0) 人間とロボットの情動インタラクションにおける適応的引き込み制御と学習

本研究では、コミュニケーションロボットの動きの大きさ、パターン、タイミングなどパラメータの変化や、模倣、揺らぎを与えた模倣を行うことで共感や同調を引き起こさせ、引き込み制御を行う。引き込み制御において強化学習を行った場合と行わなかった場合にどちらがより効率的に引き込み制御を行えるかを検証する



森 郷士,佐野 睦夫,足立 奈生,高 潔(大阪工大)
スマートフォンをエンドエフェクターに用いる力覚インタフェースの開発 (091)
(A3-1) スマートフォンをエンドエフェクターに用いる力覚インタフェースの開発

従来の力覚インタフェースは,VR空間における力覚が発生する箇所(以下,力覚ポインター)の見た目と力覚がユーザに対して作用する効果器(以下,エンドエフェクター)との位置が離れており,バーチャルリアリティ(VR)体験としては臨場感が欠ける一面があった.この問題を解決し,さらには力覚インタフェースの普及を目的として,我々は力覚ポインターを表示するスマートフォンをエンドエフェクターとして用いる力覚インタフェースを開発した.VR体験の主観評価実験を行い,本インタフェースが既存の手法よりもユーザに臨場感を与えられることを確認した.

村石 辰徳(東工大),川喜田 裕之(東工大/NHK),大久保 貴博,田島 寛之,赤羽 克仁,佐藤 誠(東工大)
深度センサを用いたユーザの向きの変化に頑健なジェスチャ認識 (079)
(A3-2) 深度センサを用いたユーザの向きの変化に頑健なジェスチャ認識

深度センサを用いた徒手によるジェスチャ認識は,デバイスを保持または装着する煩雑さがなく,仮想空間でのインタラクションや家電操作インタフェースとして有用である.しかし,一般に深度センサは正対しての使用を想定しており,それ以外の角度では認識率が低下する傾向がある.センサ正面とユーザの向きの角度に応じて座標変換を行う手法も提案されているが,角度によっては認識率が大きく低下するという課題が残る.そこで本稿では,Dynamic Time Warping法によるジェスチャ認識において,角度に応じた個別のジェスチャテンプレートを登録することで認識率を向上させる手法を提案する.様々な角度でのジェスチャ認識実験を行い,提案手法が認識率の向上に有効であることを確認した.

都竹 尚紀,梅澤 猛,大澤 範高(千葉大)
Pressivo: 旋律の演奏表情を考慮した自動伴奏生成システム (096)
(A3-3) Pressivo: 旋律の演奏表情を考慮した自動伴奏生成システム

本稿では,ユーザが演奏表情を伴う旋律をコンピュータに入力すると,相応しい伴奏を自動生成し曲として出力するシステムを提案する.従来の自動伴奏生成システムは,ユーザが,曲のジャンルや雰囲気などを選択肢の中からイメージしながら選択する必要や,複雑なパラメータ調整の必要があり素人には扱い難いことなどが問題であった.本研究では,楽譜上同一の旋律であっても演奏方法により雰囲気が変化する点に着目し,演奏表情を伴った旋律に対し最も相応しい伴奏の生成を目指す.曲は音楽的同時性と音楽的連続性が自然となるよう作成されることが望ましい.和音は,確立されている音楽理論を基に決定をする.しかしリズムの決定においては,理論がほとんど確立されていない.そこで,言語モデルにより楽曲からリズムのパターンの同時性と連続性を学習し,リズム決定を行うことを検討する.

宮田 佳奈,酒向 慎司,北村 正(名工大)
音楽ライブ会場におけるリズム教示インタフェースの提案 (097)
(A3-4) 音楽ライブ会場におけるリズム教示インタフェースの提案

音楽ライブ会場では観客が発光するスティックを手で振ることで,ステージ上の演奏者との一体感を強めるインタラクションが存在するが,誤ったリズムで振っているケースが散見される.そこで本研究ではスティックの振り方を運動センサにて解析しつつ,正しいリズムでの振りを振動や光にて教示するインタフェースを提案する.実験の結果,被験者(観客)の手首に装着した角速度センサにより,振動や衝撃に対しロバストなリズム検出を行うことができた.また,振動によるリズム教示では,視覚的な教示に比べて正しいリズムでの振りを誘導しやすいことが分かった.

ホーソーン ルーク,吉井 貴映,新田 英雅,浅野 剛司,田辺 晃弘,平山 貴之,木田 純平,松下 宗一郎(東京工科大)
手の運動技巧を鍛えるウェアラブルコンピュータ (098)
(A3-5) 手の運動技巧を鍛えるウェアラブルコンピュータ

腕時計型のウェアラブルコンピュータは日常生活で利用した場合の違和感が小さく,習熟に時間を要するような手運動の計測や,これに伴うコンピュータインタラクションをいつでもどこでも気軽に行える可能性がある.そこで,本研究ではゼロ点安定度の高い3軸角速度センサーを用い,ゼロ点交差時を時間原点とした積算演算を行うことで,ボーリングの投球動作における利き手の運動特徴をリアルタイムにて計測するシステムの検討を行った.

山口 凌雅,岡村 拓弥,甲田 陽平,榎土 惟大,西村 祐哉,横田 裕貴,加賀谷 友章,渡邉 宏優,引地 正太郎,松下 宗一郎(東京工科大)
身体の止まり方を調べるコンピュータ (099)
(A3-6) 身体の止まり方を調べるコンピュータ

どのような姿勢であっても人は完全に静止していることはできない.また,静止する際の姿勢や,静止に入る前の運動履歴,さらには様々な精神的な要因によっても身体の止まり方に違いが生じてくる.本研究では,利用者の身体に装着した高感度な6軸モーションセンサーの信号より計算される運動パラメータを用いることで,身体の止まり方をリアルタイムで表現するインタフェースの検討を行ったところ,他人に見られているという精神的なプレッシャーによって誘起される微細な身体運動を検出することができた.

金谷 美優,武政 憲治,加賀美 嘉樹,佐々木 亮平,平井 弘一,岩瀬 大祐,長岡 大地,出嶌 創士,松下 宗一郎(東京工科大)
漫才のネタ発想支援システム (102)
(A3-7) 漫才のネタ発想支援システム

数多くいる漫才師にとってネタ作りは大事なことであるが,毎日ネタを考えるのは困難である.また,ネタに限らず,アイデアを求められる機会は多い.近年,数多くの発想支援システムが提案されているが,PCやスマートフォン上で実装されており,キーボード入力やフリック操作が求められる.慣れていないユーザには,操作が困難である.本研究では,手書き特化型のタブレッド端末に漫才の要素を組み込ませたSCAMPERノートを導入し,手書き操作が可能な発想支援システムを制作した.これは将来的に,漫才師の特徴に合わせたネタの発想支援を目指すものである.この発想支援の実現に向け,本システムを用いた試験実験を実施し,有用性に関する基礎的検証を行った.

木下 誠,宮田 一乘(北陸先端大)
モザイク画像の認知に関する考察とそれに基づいたグラフィックデザイン支援プログラムの開発 (112)
(A3-8) モザイク画像の認知に関する考察とそれに基づいたグラフィックデザイン支援プログラムの開発

本研究では,人間の視覚の特性や認知心理学の調査から,モザイクアートとして描かれた対象を認知出来る仕組みを考察した上で,グラフィックデザインへの応用の可能性を探る.同時に,ユーザがそれぞれの好みによって自由に創作活動に利用し,表現の幅を広げられるようなデザイン支援プログラムの提案・開発を行う.



多々良 友理,笠原 信一,安藤 大地(首都大)
タブレットPCの前背面カメラを活用したARによる会話特徴量の可視化 (075)
(A3-9) タブレットPCの前背面カメラを活用したARによる会話特徴量の可視化

現代においてコミュニケーションの機会が増加し重要なものとなっているが,人により発話の多寡があり発話の少ない人からの情報が提供されない場面が考えられ,会話ロボットによる介入など,それを補助する様々な方法が模索されている.我々は,多人数会話におけるコミュニケーションについて,タブレットPCの前面および背面の2台のカメラを用いて,発話の対象者や発話の頻度などの会話の特徴量を取得する.そして,ARを利用して,カメラによる実世界の映像の中に会話特徴量を可視化表示するシステムを実装する.さらに,情報をそれぞれの人向けに調整したうえで提示できるというARの特性を活用し,各参与者の状況に応じた情報を提示することで支援を行い,コミュニケーションの活性化を目指す.

安達 寛之,明神 聖子,島田 伸敬(立命館大)
1枚の画像から簡単にパラパラ漫画を生成する「かんぱら」システムの提案 (115)
(A4-0) 1枚の画像から簡単にパラパラ漫画を生成する「かんぱら」システムの提案

近年普及し始めた電子書籍は,利便性に長けている一方,紙の書籍ならではの面白さを失ってきているように感じる.紙の書籍の面白さの一つとして,紙の端にパラパラ漫画を描いて楽しむことがある.そこで,このパラパラ漫画を電子書籍においても実現し,電子書籍の楽しみのひとつにしたいと考えた.しかし,紙と違ってコンピューターで絵を描くことは難しい.そのため,簡単にパラパラ漫画を作成できる「かんぱら」システムを構築した.本稿では,「かんぱら」システムを使ったパラパラ漫画の作成方法と作成条件について述べる.

橋本 真琴,小川 克彦(慶大)
Kotoli: テンプレートカメラを用いた構造化データ作成支援システム (116)
(A4-1) Kotoli: テンプレートカメラを用いた構造化データ作成支援システム

本研究では,構造化データ作成を支援するカメラアプリケーションKotoliを提案する.Kotoliは,被写体の指定や撮影アングルなどの指示を記述したテンプレート上で写真を撮影することで構造化データを作成する.また,このテンプレート同士を組み合わせることで,データ同士の関係を表現することもできる.このようなテンプレートを用いた撮影によってユーザはほとんど負担なく構造化データを作成することができる.


後藤 孝行(NII),濱崎 雅弘(産総研),武田 英明(NII)
異なるリズムを用いた既存メロディの再構成によるメロディ作成の試み (137)
(A4-2) 異なるリズムを用いた既存メロディの再構成によるメロディ作成の試み

音楽制作では,いかによいメロディを作り出すかで悩むことがある.特にアイディアの枯渇によって,似たようなメロディしか出てこなくなることもあり,発想の転換を望みたくなることも多い.著者は,その解決を目指した一つの試みとして,既存のメロディを再生しながら,そのメロディとは異なるリズムをリアルタイムで入力することによって,そのリズムで区切られた音区間の音長と音区間内の音高とを組み合わせて,新しいメロディを作成する試みを行った.

伊藤 直樹(インターメディアプランニング)
認知リハビリテーションのための調理中の注意行動評価と振り返り支援 (122)
(A4-3) 認知リハビリテーションのための調理中の注意行動評価と振り返り支援

我々は,認知症患者や高次脳機能障がい者に対して,日常行動全体を認知リハビリテーション対象とし,障がい者の自立を促進するための在宅における遠隔認知リハビリテーションの実現に取り組んでいる.本研究では,遠隔認知リハビリテーションを実現するために,リハビリの効果が高いとされる調理に着目する.調理は複数のタスクがあり注意を向けるべき場所が時間とともに変化する.そこで,調理時における人間の視線や行動に着目し,リハビリの効果が高いとされる調理時における注意行動の評価を行い,その結果を振り返り支援に適用することにより,認知リハビリテーションを効果的にすすめる方式を提案する.

大井 翔,佐野 睦夫,西口 敏司,宮脇 健三郎,杉谷 正成(大阪工大)
クライアント-イラストレータ間の協同での画風創造支援 (130)
(A4-4) クライアント-イラストレータ間の協同での画風創造支援

イラストを依頼するクライアントの多くはコンセプトを言葉によって表現する.その言葉からイラストレータが想像した画風のイメージをその場ですぐにクライアントと共有・調整することができれば,清書して提案する工程を省くことができる.しかし,イラストレータが言葉やスケッチで簡易的に表現しても,クライアントに同じ画風の完成形を想像させることは困難である.そこで,本研究ではイラストが依頼された場において,画風の創造・共有までを協同でおこなう手法を提案する.

山田 彩加,長谷部 礼,西本 一志(北陸先端大)
SoundShare: アドホックな情報共有のためのグルーピングの手法 (139)
(A4-5) SoundShare: アドホックな情報共有のためのグルーピングの手法

本研究では,接点の少ない人同士で一時的に形成されるグループ内で情報共有を行うために,音を利用したグルーピング手法を提案する.高周波数の矩形波を流し,それらを受信したAndroidデバイス間で共通のグループIDを生成し,同じグループIDを所有している物同士で情報共有を行う.また,本研究では,応用例として写真共有を目的としたアプリケーションを構築した.


依田 みなみ,羽田 久一(東京工科大)
JackIn: 一人称視点と体外離脱視点を融合した人間-人間オーグメンテーションの枠組み (028)
(A4-6) JackIn: 一人称視点と体外離脱視点を融合した人間-人間オーグメンテーションの枠組み

本論文では,JackInと呼ぶ,人間が他の人間の環境に没入し,その状況や体験を共有したり共同作業を行ったりする際のインタラクションの枠組みを提案する.このようなインタフェースは,現場の作業を遠隔地の専門家が支援したり,現地での体験を他の利用者に伝送する,遠隔から作業者を誘導する,などの応用に適用できる.Bodyと呼ぶ,実環境にいる利用者の一人称映像を遠隔地の利用者(Ghost)が観測し状況を共有する.さらに,Ghostが自由な視点位置で環境を観測することを可能にするために,一人称映像のシーケンスからSLAMに基づいて空間をモデリングし,擬似的にGhostの視点外から状況を観測することを可能にする「体外離脱視点」を提供する.これにより,GhostはBodyに追従しながらも独立な視点で環境を観測することができ,一人称映像特有のモーションシックネス問題も解決することができる.また,GhostがBodyを効果的に支援できるように,Bodyの視野外にある事物をポインティングするための視覚化技法を提案する.本論文ではこの発想に基づくシステムを試作し,JackInインタフェースの有効性を利用者実験によって確認した.

笠原 俊一(ソニー),暦本 純一(東大/ソニーCSL)
被写体追従視聴のための視点推薦型多視点映像視聴システム (085)
(A4-7) 被写体追従視聴のための視点推薦型多視点映像視聴システム

多視点映像とは,複数台のカメラを使用し異なる視点からあるシーンを同時に撮影した映像のことである.本研究では,多視点映像の視聴において,視聴者が自身の嗜好に即して視点選択を行いながら映像を視聴するための多視点映像視聴システムを提案する.本システムは,Webによる多視点映像配信を想定し,ストリーミングによる映像視聴方式を採用した.また,直感的なインタフェースとして,俯瞰画像上に設置したカメラアイコンの選択による視点切り替えとデプスカメラにより測定した視聴者の頭部位置情報に基づく視点切り替えを実現した.さらに,視点選択の負担を軽減するための機能として,個人の視聴嗜好に基づき視点推薦する方法と構図などを考慮した一般的な知識に基づき視点推薦する方法の2つを提案する.

冨安 史陽,村松 祐希,飯田 涼太郎,Wang Xueting(名大),米澤 朋子(関西大),平山 高嗣,間瀬 健二(名大)
LEISURE STYLIST: マルチデバイス連携webフレームワークを用いたドライブサポートアプリケーション (069)
(A4-8) LEISURE STYLIST: マルチデバイス連携webフレームワークを用いたドライブサポートアプリケーション

我々は,HTML5に対応したマルチデバイス対応webアプリケーションフレームワークを提案している.本フレームワークにより,通常は一つのwebブラウザ上で実行されるwebアプリケーションの各機能を,webサーバ-クライアント間で動作する中間サーバで分割し,複数のデバイスにまたがって連携動作させることができる.本稿では,本フレームワークの概要について述べた上で,上記フレームワークを用いて構築したドライブサポートwebアプリケーションを紹介する.本アプリケーションは,ドライブの計画時から外出時に撮影した写真の共有まで,ユーザの移動に伴ってシーンが変わっても,各デバイスから操作した状態や設定を引き継ぎながら,ユーザのドライブをサポートするアプリケーションである.

槙 優一,藤村 滋,船越 要,宮原 伸二,山田 智広(NTT)
bwTrackr: 脳波による映像記憶と再利用 (123)
(A4-9) bwTrackr: 脳波による映像記憶と再利用

人が過去に記録した映像を振り返る際に,思い起こしているものやその時の精神状態から記録をたぐることはできないだろうか.本稿では,映像と脳波を重畳して記録し,思い起こしを行う際の脳波と比較しながら振り返りを支援する仕組みを提案する.思い起こしという脳内活動で生じる生体情報としての脳波を,映像とともに記録された脳波と比較しつつ,記録の中で同じ精神状態を持っていた時を探る.


小杉 晋央,湯通堂 悠生,越水 重臣(産業技大)
ついってりあ -離れた場所にいる人々とのコミュニケーションを促進するシステムの開発- (142)
(A5-0) ついってりあ -離れた場所にいる人々とのコミュニケーションを促進するシステムの開発-

離れた場所の現在の情報を探す方法としては,情報を持っている人へ直接連絡する,web検索や掲示板,SNSの利用などが考えられる.しかしこれらの方法には,どの人が情報を持っているかわからない,自分の求める情報がweb上にあるかわからないなどの問題点がある.さらに落とし物などの個人的な情報だとweb検索による膨大な情報の中から見つけられる可能性は限りなく低くなる.本稿では,これらの問題点を考慮し、対象とする場所を指定してつぶやくことで,今その場所にいる人々につぶやきを投げかけることのできるTwitterクライアントソフトウェアを提案する.指定した場所に今いるユーザに限定してツイートを表示させることで,検索する時間や手間を省くだけでなく,その情報の信頼性,正確性も増すと考えられる上に,本来なら連絡を取れず情報を得られない人々からも回答を得られる可能性が高くなる.この質問へのやり取りは回答者の善意によって成り立つため、ユーザ全体に暖かいコミュニケーションが拡がっていくことが期待される.

堀 恵利加,加藤 直樹(東京学芸大)
タブレット端末間の情報共有において日常的動作を活用することの効果の検証 (143)
(A5-1) タブレット端末間の情報共有において日常的動作を活用することの効果の検証

スマートフォンやタブレット端末といった高性能端末が急速に普及している.また,これまで紙媒体として扱われてきた書籍や書類が電子データとして扱われるようになってきている.これらのことから,ユーザにとって利用しやすい端末間での情報共有方法が求められてくるようになっている.これまでに,直感的にモノをつまみ上げて渡す動作や,モノを投げ渡す動作といった日常的に人が行っている動作を情報共有システムに活用した方法が数多く提案されている.しかし,これらの研究の多くでは,システムを利用したユーザやグループの活動に対しての効果の検証が十分に行われていない.そこで本研究では,日常的な動作の一つとして,資料を配布するような手渡し動作を活用した情報共有システムが,ユーザやグループの活動に対してどのような効果を与えるのかを検証する.

今本 恕,伊藤 直人,高田 秀志(立命館大)
協調Web検索におけるグループ内アウェアネス向上のための検索過程のリアルタイム共有 (144)
(A5-2) 協調Web検索におけるグループ内アウェアネス向上のための検索過程のリアルタイム共有

近年,情報端末が急速に普及しており,学校や企業で同じ目的を持った者同士がグループを作ってWeb検索を行う機会が増えている.グループでWeb検索を行う協調検索において,ユーザが関心を持ったコンテンツや検索プロセスをグループ内のユーザ間で共有することは協調検索の質を向上させることにおいて重要である.本研究では,協調検索におけるグループ内アウェアネスに着目し,可視化した検索過程情報をリアルタイムに共有する機能を導入することで,協調検索の質の向上を目指す.

塩見 和則,櫻打 彬夫,高田 秀志(立命館大)
加速度センサーを使用した自転車の挙動認識 (146)
(A5-3) 加速度センサーを使用した自転車の挙動認識

近年、エコや健康意識等の高まりにより、通勤通学において、自転車の利用者が増加傾向にある。しかし自転車専用道路の整備が十分ではなく、サイクリングをするのに不自由な環境と言える。自転車にはバックミラーやサイドミラーが装着されておらず、後方から接近する車両に気付き辛いため、路上駐車などの障害物を避ける際の自転車の運転者の負担は大きく、また事故などの危険性を含んでいる。この様な課題を解決するために自転車の運転者が追い抜き等の動作する際、後方から車両が接近していることを自転車の運転手に知らせることができるシステムが必要だと考えられる。本稿ではこのシステムの基礎研究として、スマートフォンに内蔵された加速度センサーを使用して、自転車運転中の加速度データを使用した機械学習を行い、自転車の挙動認識を行う。

後藤 秀信,三浦 元喜(九工大)
腕時計型デバイスを用いたコミュニケーション (149)
(A6-0) 腕時計型デバイスを用いたコミュニケーション

近年、腕時計型・メガネ型・ブレスレット型などのウェアラブル端末が流行している。本稿では、ウェアラブル端末のうち腕時計型のデバイスに注目し、それにおけるコミュニケーションについて述べる。従来のスマートフォンやタブレット等のデバイスと比較して腕時計型デバイスは、常に身に付けており、目に入りやすいというメリットと、画面が小さいというデメリットを持つ。したがって、スマートフォン等で使用しているSNSやメッセージをそのまま適用させても、腕時計型デバイスの特徴を十分に活用できない可能性がある。そこで、色・光・音・振動・絵・擬音語などを活用したアプローチを用いて、デメリットを克服してメリットを活かすようなコミュニケーション手法を提案し、そのプロトタイプシステムを実装した。

謝 湘平(筑波大),神場 知成(NECビッグローブ/筑波大),田中 二郎(筑波大)
腕時計型端末におけるズーム・スクロールを用いたタッチ入力 (209)
(A6-1) 腕時計型端末におけるズーム・スクロールを用いたタッチ入力

タッチパネルを搭載した腕時計型端末は携帯性と操作性に優れるが,ディスプレイサイズの制約が強いため,表示する情報量を増やすと操作が困難になるという問題がある.そこで本研究では,ズームとスクロールを併用することで狭い領域で効率的な操作を実現するタッチ入力法を提案する.スクロールの変位量に応じた自動ズームにより,一度の操作でズームとスクロールの両方を行う.提案手法を用いたアプリケーションをタブレット端末上に実装したところ,28mm × 28mmの入力領域で良好な文字入力操作が可能であることが確認できた.

原 清貴,梅澤 猛,大澤 範高(千葉大)
つながりX-HairStyles: 直感的なヘアスタイル発見支援システム (218)
(A6-2) つながりX-HairStyles: 直感的なヘアスタイル発見支援システム

本研究は,好みのヘアスタイルについて言語的なクエリや明確なイメージを持っていないユーザが直感的なインタラクションのみで好みのヘアスタイルを発見できるシステムを開発した.インターネット上のヘアサロンサイトでヘアスタイルを検索する際の従来の検索システムだと,キーワード主体のものがほとんどで上に述べたようなユーザが使いづらいという問題があった.そこでこの問題に対処するために我々は,ユーザの“直感による選択”を非言語的クエリと捉え,ユーザが選んだヘアスタイルを入力として,それらの関連を調べ,そしてユーザにわかりやすく提示することで,ユーザのヘアスタイルに関する理解を促すシステムを開発した.これにより,ヘアスタイルに詳しくないユーザでも自分好みのヘアスタイルについて言語的に理解しながら,目的のヘアスタイルを見つけることができる.

ダワースレン エンクバト(筑波大),岩淵 志学,益子 宗(楽天),田中 二郎(筑波大)
大画面を利用した講義における直感的なポインティング手法の提案と評価 (073)
(A6-3) 大画面を利用した講義における直感的なポインティング手法の提案と評価

教育分野において,大画面を利用したプレゼンテーションが広く行われている.本研究では直観的に大画面をポインティング可能なRemote Touch Pointingを提案する.一般的に用いられている指示棒,レーザーポインタ,マウスとの比較実験を行った結果,Remote Touch Pointingは聴講者にとってポインティング動作が直感的に理解でき,ポインティング位置の把握が容易であることがわかった.しかし発表者にとってはポインティング位置に少量のぶれが生じるため,操作が難しい点が今後の課題として挙げられる.

渡辺 恵太,中道 上(福山大),山田 俊哉(NTT-IT),尾関 孝史(福山大)

インタラクティブ発表(2)

JewelryCircuit: 汎用パーツを用いたインタラクティブ・アクセサリ (127)
(B0-0) JewelryCircuit: 汎用パーツを用いたインタラクティブ・アクセサリ

近年,電子工作と手芸を融合させたものづくりを支援する多くの研究/製品が登場しつつある.しかし,裁縫以外の手芸分野についてはまだ事例が少ない.我々は手芸の中でもアクセサリ作りに着目し,一般的なアクセサリパーツそのものを電子部品として活用することで外観を阻害せずにインタラクティブに動作するアクセサリを構築できる手法「JewelryCircuit」を提案する.本論文では,特に一般的なアクセサリチェーンに着目し,その電気的な特性を調査して,導線や張力センサ,ねじりセンサとしての性能を確認した.さらに,応用例として2種類のインタラクティブ・アクセサリを試作した.

福地 あゆみ(お茶の水女子大),塚田 浩二(はこだて未来大/JST),椎尾 一郎(お茶の水女子大)
AwareCycle: 自転車装着型残像ディスプレイとその応用 (135)
(B0-1) AwareCycle: 自転車装着型残像ディスプレイとその応用

本研究では自転車を走行する際に,自転車やユーザの状態(例:速度や心拍数)に応じて,ホイールに取り付けたLEDの点灯パターンを変化させ,インタラクティブな残像ディスプレイとして利用するシステム「AwareCycle」を提案する.



市岡 陽子(お茶の水女子大),塚田 浩二(はこだて未来大/JST),椎尾 一郎(お茶の水女子大)
やわらかセンサ: 柔らかな入出力デバイスの提案 (199)
(B0-2) やわらかセンサ: 柔らかな入出力デバイスの提案

柔軟な素材を用いて入出力を行うインタフェース「やわらかセンサ」を提案する.これまでインタフェースのセンサや人と接する素材は,金属やガラスなど固形物で構成され樹脂などで被膜されている.そこで本研究では,柔らかい素材を用いることで,視覚的に接触することを促し,触覚的にフィジカルな体験をもたらすことを可能とし,インタフェースとユーザとの関係に新たな側面を見いだすことができるのではないかと考えた.電解水で満たされたラテックス製のインタフェースを用い,距離に応じて発光し,触れると振動する,素材特有のインタラクションを実現し,柔らかな感触を視覚・触覚で体験させることを試みた.

浅羽 昌二,市野 昌宏,古山 善将,清水 都花,赤羽 亨,鈴木 宣也(IAMAS)
Cyber Chamber: オンラインショッピングにおけるプロジェクタとタブレット端末を用いた複数人での購買活動支援システム (131)
(B0-3) Cyber Chamber: オンラインショッピングにおけるプロジェクタとタブレット端末を用いた複数人での購買活動支援システム

近年,オンラインショッピングの利用が盛んで,タブレット端末やスマートフォンからの利用が増加している.しかし,現在のオンラインショッピングにおいては,実世界での購買で一般に見受けられる,複数人での買い物に対応しているとは言い難い.そこで本稿では,オンラインショッピングにおける複数人での新たな買い物の形態のためのシステムCyber Chamberを提案する.プロジェクタを用いた壁面への投影とタブレット端末を用いたインタラクションを利用し,パブリックでの情報共有,プライベートでの商品探索を組み合わせたシステムを開発した.提案システムについて,その有用性を評価するため実験を行った.その結果,提案システムの有用性に関して一定の評価が得られ,興味深い傾向がみられた.

牟田 将史,向 健次,東本 遼太郎(筑波大),益子 宗,平野 廣美,林 靖之(楽天),星野 准一(筑波大)
Design Method for Multilateral Tele-Control to Realize Shared Haptic Mouse and Its Application to Intercontinental Game (022)
(B0-4) Design Method for Multilateral Tele-Control to Realize Shared Haptic Mouse and Its Application to Intercontinental Game

In this study, we aim to develop the system that many people can share a sense of force through the Internet, using a force-position multilateral tele-control system. We apply scattering matrix and phase control filter in order to stabilize the multilateral tele-control system with a new knowledge of scattering matrix.Additionally, we derive a design method for system “shared haptic mouse”. The unique characteristic of our design method is that stabilization is achieved by focusing on phase. In our system, topology takes the form of a commonly used star-shaped client/server system network topology and is configured such that the success or failure of specific connections between the client and server do not affect the entire system. We have conducted experiments between Seoul, Florida, and Toyohashi using three haptic devices to verify the usefulness of this system, and successfully position was controlled by the force applied to the haptic device.Through experimentation, we verify that the shared haptic sensing between three clients is confirmed to have been realized in a multilateral system that included a communication delay.

森田 陽介,小川 裕也(豊橋技科大),今村 孝(新潟大),Kawaguchi Akira(ニューヨーク市立大),三好 孝典,寺嶋 一彦(豊橋技科大)
サッケード追尾可能な視線計測カメラの開発とそれを用いるインタラクションの可能性 (014)
(B0-5) サッケード追尾可能な視線計測カメラの開発とそれを用いるインタラクションの可能性

視線計測はユーザインタフェースや心理状態の分析などインタラクション分野での幅広い応用が期待されている.サッケードと呼ばれる高速な眼球運動は,従来の視線計測システムではリアルタイムでの追尾が不可能であるものの,新しいインタラクションへの応用が期待されている.本稿では,サッケードを含む眼球運動を500[fps]以上の高フレームレート,かつリアルタイム(低レイテンシ)で計測・追尾が可能な視線計測システムの開発について,高速カメラとFPGAを用いた実動作検証システムと専用イメージセンサの設計のそれぞれについて述べる.またそれを用いて「サッケードが行き着く先」を先回りで予測する手法について検討した結果について述べ,さらにそのリアルタイムのサッケード予測を用いるインタラクションの可能性について考察する.

川上 隼斗,笹田 裕太,五十嵐 覚,秋田 純一(金沢大)
仮想的な身体イメージの獲得を「学習」するための装置 -ラバーハンドを介してもう一方の手に触れる方法- (093)
(B0-6) 仮想的な身体イメージの獲得を「学習」するための装置 -ラバーハンドを介してもう一方の手に触れる方法-

近年,脳科学の実験において, 「セルフタッチ・イリュージョン」と呼ばれる,仮想的な身体イメージに関する錯覚を誘発する手法が知られている.通常,この錯覚を誘発するためには,実験者による一方向的な動作の誘導が要求され,実験者が能動的に身体イメージを獲得しようとする過程が無視されてきた.本研究では,この錯覚を,被験者の能動的な動作のみを利用して誘発する装置を開発したので報告する.本装置は,錯覚の生成において能動性が関与する種々の問題に光をあてるのみならず,現在の脳科学における重要な「身体イメージ」の概念を啓蒙するうえでも有益なツールとなることが期待される.

小鷹 研理,石原 由貴(名古屋市立大)
Auto SAGURU: 写真を介したコミュニケーションのための探り合い支援システムの提案 (118)
(B0-7) Auto SAGURU: 写真を介したコミュニケーションのための探り合い支援システムの提案

我々は,2者間の対面コミュニケーションにおいて,両者が保有する写真の中から,写真に付与されるキーワード,撮影日時・場所のタグ情報を用いて,コミュニケーションの観点から高い満足度を得られる写真を探り出して提示するシステムAuto SAGURUを開発中である.本論文では,写真を用いた対面コミュニケーションの実験から,話題として写真を提供する「提供者」が,情報の「受け手」である相手の興味を理解していないことが,両者の満足度が不一致となる要因の一つであることを明らかにする.そして,この問題点を解決するために,対話の開始前に相互の写真情報の関連性に基づいてランキングし,写真が選択されると,その写真との関連性に基づいて写真を再ランキングする手法を提案する.本手法では,Random Walk with Restart法を利用して,コミュニケーションの話題に応じた動的なランキングを実現する.

武田 十季(九大/NTT),牛尼 剛聡(九大)
デジタルインショウ: マルチタッチスクリーンのための印章型インターフェイス (125)
(B0-8) デジタルインショウ: マルチタッチスクリーンのための印章型インターフェイス

本論文では,タブレットPC上のマルチタッチスクリーンに押し当てることでユーザ認証を行える印章型インターフェイス「デジタルインショウ」を提案する.デジタルインショウは印章型のハードウェアとタブレットPC上で動作するアプリケーションから成る.印章型ハードウェアの底面には導電性シリコンゴムが貼り付けてあり,ユーザは消しゴムハンコを製作するように独自の彫刻を施すことで,システムにおけるユーザネームおよびパスワードとして利用することができる.また,アプリケーションはその彫刻パターンを認識してユーザ認証を行うことが可能である.

武田 優生(imaginaryShort/京都工繊大),羽鹿 諒(imaginaryShort)
実世界アフィリエイト広告表示システムの提案 (192)
(B0-9) 実世界アフィリエイト広告表示システムの提案

インターネットの普及に伴い,インターネット上におけるアフィリエイト広告の市場規模が増大している.近年,ソーシャルのつながりを利用した広告システムが新たな広告として注目を集めている.そこで,我々は現実世界でのつながりを広告に利用できれば効果的な広告運用が可能になると考えた,人体およびその人物の所有物に直接ARでアフィリエイト広告を表示することによりこれを実現するシステムを提案する.また,そのプロトタイプを実装したので報告する.

菅野 恭平(筑波大),岩淵 志学,益子 宗(楽天),田中 二郎(筑波大)
LyricVJ: 楽曲構造を意識したVJ表現を支援する歌詞インタフェース (170)
(B1-0) LyricVJ: 楽曲構造を意識したVJ表現を支援する歌詞インタフェース

本稿では,歌詞カードの様な映像操作インタフェースを持つVJシステムを提案する.VJ表現の全体デザインを支援する本システムについての説明と,提案システムによって楽曲構造を意識したVJ表現の支援ができたかについて考察する.



本多 翔,久留島 寛也,西本 一志(北陸先端大)
光学文字認識を利用した音楽演奏インタフェースの提案 (179)
(B1-1) 光学文字認識を利用した音楽演奏インタフェースの提案

光学画像認識技術の発展により,実物体と画像認識を組み合わせた“AR”によるアプリケーションが多く報告されている.このようなアプリケーション開発において,光学マーカには,2次元コード,イラスト,五線譜,実物体の矩形や色などが利用されるが,これらは実物体の物理特徴や印刷パターンであるため,ユーザによって作りだすことはできない.そこで著者らは,ユーザによって手軽にARマーカを作ることができれば,より多くのユーザにとってARシステムにおけるユーザビリティの向上につながると考えた.具体的な手法としては,光学文字認識を利用して,文字を光学マーカのように扱うことを検討している.本稿ではそれらの実験段階として,実物体に印刷された文字を利用して制作したシーケンス型電子楽器「Character Sequencer」のシステムを詳述する.将来的には演奏パフォーマンスと音楽教育の観点からABC記譜法を用いた演奏インタフェースの開発を検討している.

卯田 駿介,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
オタ.スター: ライブエンターテインメントのためのスマートフォンを使用したライトペン型アプリケーションの制作 (207)
(B1-2) オタ.スター: ライブエンターテインメントのためのスマートフォンを使用したライトペン型アプリケーションの制作

近年、LED(Light Emitting Diode)などの消電力照明機器の普及によって、コンサートなどのエンターテイメント分野でもライブを盛り上げるための道具としてLEDペンライトが使用されている。安価ではあるが、道具の使い捨ての問題や単一な機能のものが多い.そこで、よりインタラクティブなライブや一体化のエンターテインメントを実現するため、スマートフォンによる光るアプリケーションの制作をした.インターネットやセンサーなど充実しているスマートフォンを使うことにより、デジタル時代のコンサートをもっと楽しむ方法を提案する.

王 丹青,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
加速度センサ・ジャイロセンサを併用したスマートフォンの利用認証手法の提案 (215)
(B1-3) 加速度センサ・ジャイロセンサを併用したスマートフォンの利用認証手法の提案

現在,スマートフォンの認証手法として,省作業性と高い強度を兼ね備えたバイオメトリクス認証が注目されている.バイオメトリクス認証の代表的な例として加速度センサを使用したジェスチャ認証があるが,加速度センサのみでは回転動作を取得することが出来ないためパスワードを盗難される危険性も高まる.そのため,強度を高くするためには複雑な動作で認証しなければいけないため省作業が失われる.本研究では,スマートフォンに標準搭載されているデバイスだけを使用することを目的とし,加速度センサに加えてジャイロセンサを併用したジェスチャ認証を提案する.ジャイロセンサを併用することによって,周りから見ても分かりにくい回転動作を取得することが出来るので,少ない動作でも強度を高くすることが出来る.

濵野 雅史,新井 イスマイル(明石工業高専)
自走式ロボット及び人感センサを用いた独居老人異常検知システムの開発 (217)
(B1-4) 自走式ロボット及び人感センサを用いた独居老人異常検知システムの開発

高齢化による独居老人の増加に伴い,日常生活における独居老人の突然の健康異常および転倒などの事故による孤独死が大きな社会問題となっている.そこで,在宅において,独居老人が安心し,安全な生活が行える多くの独居老人の異常検知システムが研究開発されている.部屋にセンサを設置して異常検知を行うシステムでは,発見が迅速に行える代わりに,センサの設置にかかるコストが高くなる.一方で,センサの設置にかかるコストを下げると,発見が迅速に行えない場合が多く,導入が進んでいない.本研究では,近年普及の進んでいる自走式ロボット(お掃除ロボット)に人感センサ(マイクロ波ドップラーセンサ)を搭載し,心拍・呼吸情報をモニタリングすることで利用者の異常を検知するシステムの開発を目的とする.

渡邊 貴大,新井 イスマイル(明石工業高専)
Wearable Music Performer: 上半身の運動による音楽生成 (166)
(B1-5) Wearable Music Performer: 上半身の運動による音楽生成

近年,身体を動かすインタラクティブデバイスが普及している.これらのデバイスは屋内で簡単に運動強度が調整できる利便性があるが,下半身による運動が中心であった.一方で,我が国ではベッドで過ごす人たちや車椅子の人たちが176万人いると報告されており,その人たちが楽しめるようなインタラクティブデバイスは少ない.本発表では,上半身だけで運動が可能なインタラクティブデバイスWearable Music Performerを提案する.本デバイスは,肩の動きのみのジェスチャにより,音を奏でるため,一般的な楽器で使用する指先の複雑な動きは使用しない.また,曲によって運動強度を変えることができ,低運動強度からでも楽しむことが可能である.実際に遅いテンポ(60bpm)の曲を被験者が演奏したところ,運動強度は平均して12.0%の低負荷運動が実現できた.

木下 凌一(プロトタイピング講座),玉城 絵美(プロトタイピング講座/早大),岩﨑 健一郎(プロトタイピング講座/東大)
プロジェクションマッピングのコンテンツにおける視覚的認知効果を用いた演出技法の体系化 (204)
(B2-0) プロジェクションマッピングのコンテンツにおける視覚的認知効果を用いた演出技法の体系化

「プロジェクションマッピング」は,建築物や立体に映像を投影し実物と映像をシンクロさせる映像手法で,実物の「質感や存在感」を変化させることで,鑑賞者の認知に働きかけ,様々な感情を喚起させることができる手法である.本稿では,我々が実際に制作したコンテンツを元に,それらを効果的に見せている要因を分類・説明し,コンテンツのための技法として明らかにし,学術的に体系化することを目的とする.


古郡 唯希,Campana Rojas Jose Maria,小林 孝浩,平林 真実(IAMAS)
赤外光源と偏光板を利用した不可視影の生成に関する基礎検討 (181)
(B2-1) 赤外光源と偏光板を利用した不可視影の生成に関する基礎検討

本研究の目的は,実物体に情報を埋め込んで秘匿化し,状況に応じて取り出すための新しい手法の提案である.提案手法では,オブジェクトをライトにかざすことで内包された情報が影として視覚化される.さらにオブジェクトを回転させることで複数の情報を選択的に取得することができる.これは偏光板と1/2波長板の性質を利用し,光の透過/遮蔽の制御を行うことで実現させる.これにより,物理的な実物体に対して予め埋め込まれた情報を特定の行為によって視覚化するという,従来から用いられてきた方法を,その制約の利点を生かしつつ緩和することを目指す.

東納 ひかり,阪口 紗季,松下 光範(関西大)
Multi-Press Interaction: 擬似押下圧力を用いたマルチタッチ技法 (133)
(B2-2) Multi-Press Interaction: 擬似押下圧力を用いたマルチタッチ技法

スマートフォンやタブレットの普及によってマルチタッチジェスチャは一般的な操作方法になりつつあり,近年はより直感的なインターフェースに注目が集まっている.そこで本研究では,タッチパネル上において,複数本の指やタッチペン等の接触面積を取得し,これから指とペンの識別,指や手の接触状態,押下圧力を推定し利用する新しいマルチタッチインタラクション,Multi-Press Interactionを実現する.従来のマルチタッチに加えて,マルチプレスを用いることでアプリケーション上でモードの切り替えや入力を直感的かつシームレスに行うことが可能となる.本論文では,このインターフェースを実装し,ペイントアプリケーションを試作した.

池松 香,椎尾 一郎(お茶の水女子大)
TongueDx: スマートフォンのための舌診システム (210)
(B2-3) TongueDx: スマートフォンのための舌診システム

TangueDxシステムは,ユーザが日々撮影した舌の写真から,舌の本体と舌苔の色を記録し,中国伝統医学の手法にもとづきユーザの健康管理を手助けするシステムである.本システムでは,舌写真の色に対する環境光の影響を排除する目的で,長期間にわたって色が変化しないユーザの歯の色を用いたホワイトバランス調整を行っている.色調整された写真から,舌の本体と舌苔部分を分離する過程ではK-means法を用いている.こうして得られた舌本体と舌苔の色から,健康状態を表すグラフを作成し,ユーザが健康状態を自己診断することの手助けを行う.また,本システムで集めた長期間の舌写真を元に,医師の診断を受けることも可能である.

劉 維妮,椎尾 一郎(お茶の水女子大)
デスクトップ・テレプレゼンスのための入力インターフェースのデザイン -ラバーハンド・ポインタの開発- (148)
(B2-4) デスクトップ・テレプレゼンスのための入力インターフェースのデザイン -ラバーハンド・ポインタの開発-

従来のGUIを通したコンピュータの操作において,操作者の身体とディスプレイ空間におけるポインタとの心理的繋がりは希薄であった.この隔たりによって,ディスプレイ内での振る舞いにおいての身体感覚に基づく社会性を喪失させるおそれがある.本研究では身体的実在感の感じられるデスクトップの操作環境「デスクトップ・テレプレゼンス」を提案する.その実現に向けて,身体没入を引き起こす事例であるRHIを取り上げ,自己身体のイメージが投射される仮想身体をポインタに置き換えることで,身体的実在感が感じられるポインタである「ラバーバンド・ポインタ」の開発を行った.

石原 由貴,小鷹 研理(名古屋市立大)
電力重畳通信機能を持つブロック型デバイスとその実装 (152)
(B2-5) 電力重畳通信機能を持つブロック型デバイスとその実装

コンピュータの小型化が進み,子供が遊ぶブロックのような非常に小型な筐体にコンピュータを埋め込み,それを組み立てることによって3次元形状モデリングなどを行う研究も多くなされるようになった.こういった接続の自由度が高く,小型な筐体にコンピュータを搭載する場合には,電源路とデータバスの確保は非常に重要な課題となる.そこで本研究では,電力重畳通信に着目し,電力重畳通信を用いたブロック型デバイスを提案する.電源を供給するバスとデータバスを共通化することにより,物理的な線の削減ができ,デバイスの小型が容易になる.電力重畳を実現する仕組みや回路を説明し,それを搭載したデバイスについて述べる.

矢敷 貴之,秋田 純一(金沢大)
物体からの反射光強度に基づく光学ピックアップ演奏システム (138)
(B2-6) 物体からの反射光強度に基づく光学ピックアップ演奏システム

電子楽器の登場により,ひとつのインタフェースで様々な音声波形を再現することが可能となった.一方で,インタフェースと音源の間に物理的制約が無くなったため,インタフェースと音源のマッピングにおいてその設計指針を明瞭化できない問題を生じさせている.そこで本研究では,光学ピックアップを利用し,2次元または3次元における模様や立体物形状を高速にスキャンすることで音声生成を実現する.本稿ではその足がかりとして制作した演奏システムのプロトタイプについて述べる.

中西 恭介,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
「埋蔵分子」発掘プロジェクト - 化学反応経路マップのインタラクティブ可視化に向けて (173)
(B2-7) 「埋蔵分子」発掘プロジェクト - 化学反応経路マップのインタラクティブ可視化に向けて

量子化学に基づき理論的に自動探索される化学反応経路のネットワーク状の大規模データ(化学反応経路マップ)から、新規化学物質(埋蔵分子)やそれを生成する化学反応経路を掘り出し、有効な化学物質の設計や化学合成に応用することを目指すプロジェクトを開始した。今回は、本プロジェクトの一環として、化学者が化学反応解析を行うための化学反応経路マップの可視化システムについて、プロジェクトの目的と現在までの成果を中心に報告する。

佐藤 寛子,小田 朋宏,中小路 久美代§,宇野 毅明,田中 宏明,岩田 覚,大野 公一aNII,SRA,§京大,東大,東北大,a量子化学探索研)
動物画像のためのモデルベース可触化システムの開発 (158)
(B3-0) 動物画像のためのモデルベース可触化システムの開発

本研究では,動物の画像に対するユーザの触覚的な好奇心を満足させるため,画像を可触化するシステムを提案する.これまでにもいくつかの画像可触化手法が提案されたが,平面的で臨場感に欠けていることや,距離情報が必要になるなど,動物画像に適用するためには問題があった.そこで本研究では,画像内に動物の3Dモデルを配置して力覚提示を行うことにより,立体感・臨場感の向上を図る.システムは,既存の3Dモデルとその姿勢を用いて構築する.ここでは,提案システムを用いて可触化を行った場合の効果を検証する.

大久保 貴博(東工大),本多 健二(東京海洋大),戸島 幹智,赤羽 克仁,佐藤 誠(東工大)
分散開発のための手書き注釈ログの俯瞰によるプログラム理解支援 (193)
(B3-1) 分散開発のための手書き注釈ログの俯瞰によるプログラム理解支援

ソフトウェア開発では,他者が書いたプログラムを読解する場面がある.特にドキュメントやコメント,テストケースが整っていないソースコードを編集する場合,無用な試行錯誤を避けるため,実装の意図を理解する必要がある.そこで分散ペアプログラミング中に交わされるコミュニケーションに注目し,そのログを用いて実装意図の理解を支援する.先行研究では,意図理解に無関係なログの存在が課題となっている.本稿では,このログのノイズが手書き注釈を付記する最中は少ないことに着目し,課題解決を図る.提案手法の検証のため,分散ペアプログラミングの試行を観察し,検証範囲内での有効性を確認した.その結果や考察について述べていく.

秀毛 嶺維馬,奥野 拓(はこだて未来大)
ミックスダウンの視覚化による支援システムの開発 (161)
(B3-2) ミックスダウンの視覚化による支援システムの開発

視覚的に捉えながらミックスダウン作業を行うための,Mix-Down Visual Controllerの提案と実装を行った.ミックスダウンは音楽制作において,聴きやすい音源を作るために非常に重要な工程であるが,適切に行うには高い技術や熟練した耳が必要であるため,従来は経験を積んだエンジニアが行う専門性の高い作業であった.近年,機材・ソフトウェアの低価格化や,作品発表の場が増えたことで,アマチュアの制作者がミックスダウンを行うケースが非常に多くなっている.しかし,既存のミックスダウン環境は熟練者が行うことを想定して作られているため,経験の浅いミックスダウン初心者にとっては敷居が高く,簡単に行えるものではない.本論文では,聴覚に依存した作業であるミックスダウンを,視覚化することでより分かりやすく全体像を把握しながら行うシステムについて,背景と構成を述べる.

北谷 光浩(横浜国立大),上松 大輝(木星ラヂヲ),根上 生也(横浜国立大)
NARESOMAKER: 出会いの初期障壁を軽減する第三者介入型友人推薦システム (164)
(B3-3) NARESOMAKER: 出会いの初期障壁を軽減する第三者介入型友人推薦システム

本稿では,出会いの初期障壁を軽減する第三者介入型友人推薦システム“NARESOMAKER”を提案する.従来の出会い系のシステムの多くは,システム登録者のプロフィールから自分の気に入った相手を見つけ,自発的にコンタクトを取る手法が一般的に用いられている.しかしながら,自分と相性が良い人を見つけることや,全くの他人に自分からいきなりコンタクトを取ることが難しいなどの障壁が多く存在している.そこで,提案システムでは第三者による推薦と,話しかけるきっかけを生み出すためにQ&Aシステムを用いることで,それらの障壁を軽減する.システムの評価を行った結果,出会いの初期障壁を軽減するシステムとして性能を発揮できる可能性が示された.

沼野 剛志,北山 史朗,西本 一志(北陸先端大)
光学マウスセンサによる屋内動線計測 (196)
(B3-4) 光学マウスセンサによる屋内動線計測

スーパーマーケット等の大型量販店を利用する買い物客の行動履歴を得るため,ショッピングカートを利用した動線推定システムを構築している.開発システムは移動量測定センサとして光学マウスを利用しており,測定データに売り場マップとのマッチングによる確率フィルタを適用して動線を推定している.開発したシステムの概要と量販店において実施した基礎実験について報告する.


山田 俊郎,渡辺 博己,棚橋 英樹(岐阜県情報技術研)
1つのタッチセンサを用いたマルチタッチジェスチャの認識 (167)
(B3-5) 1つのタッチセンサを用いたマルチタッチジェスチャの認識

静電容量方式のタッチセンサを1つだけ用いたマルチタッチジェスチャ検出手法を提案する.細いセンシング電極を用いることで,タッチと複数の指によるスワイプを検出することができる.実験の結果,4種類のジェスチャを98%の精度で認識することができた.提案手法は,低消費電力化や小型化が可能であるため,特に小型デバイスに有効であると考えられる.


真鍋 宏幸(NTTドコモ)
GPS軌跡と写真から旅行記のBGMを作成して再生するWebシステム (169)
(B3-6) GPS軌跡と写真から旅行記のBGMを作成して再生するWebシステム

旅行などでのGPSログの記録とGPSデータを付与した写真が撮影できる機器が民生品レベルでも普及してきており,一般のユーザが旅行のGPSログやGPSデータを持つ写真を大量に抱えていることが多い.そこで,これまで開発を行ってきた写真のデータを元に自分で作曲したBGMを写真に付与するシステムを発展させ,GPSログとGPSデータ付き写真を元に時系列的にBGMを生成し,表示,視聴することができるWebシステムの開発を行った.本稿では開発したシステムについて述べる.

安藤 大地(首都大)
もったいないトレンド: 音楽の過剰消費を防止するミュージックプレイヤー (172)
(B3-7) もったいないトレンド: 音楽の過剰消費を防止するミュージックプレイヤー

資源・資産の非浪費的活用への取り組みが世界的に広がりつつある.しかしながら現状,非浪費的活用の対象とされているのは「有形の資産」であり,知的生産物のような「無形の資産」の非浪費的活用についてはあまり進展していない.近年のネット経由での音楽コンテンツ配信や携帯プレイヤーの普及により,いつでもどこでも好きなだけ音楽コンテンツを楽しむことが可能になった反面,過剰に音楽コンテンツを消費してしまう「もったいない」状況が生じている.本稿では,音楽コンテンツという無形資産が過剰に浪費されている現状を憂い,音楽コンテンツの浪費を防止する新規なミュージックプレイヤー「もったいないトレンド」を提案し,初期的ユーザスタディによってその有用性を検討する.

于 婧依,西 康太郎,横山 裕基,西本 一志(北陸先端大)
実時間の点群データに対する力覚インタラクションのための時間的補間性能の検証 (157)
(B3-8) 実時間の点群データに対する力覚インタラクションのための時間的補間性能の検証

実物体の点群データは、深度センサを用いることによって容易に取得できるようになった.しかし,深度センサの更新速度が力覚提示の更新速度に比べて遅い.そのため,深度センサで取得した高速に動く物体に対する力覚提示は,衝突物体に対して貫通するという問題が起きる.我々は,この問題に対処するために,深度センサの変化を推定するためにICPアルゴリズムを適用することによって,仮想的に更新速度を増加させた.一方,高精度の力覚提示には高い更新速度が必要であるため,深度センサの更新速度も力覚提示装置の更新速度と同程度必要である.そこで,本研究では,提案手法を用いて仮想的に深度センサの更新速度をどの程度まで増加させることが可能か検証を行った.

山崎 健一,橋本 渉,西口 敏司,水谷 泰治(大阪工大)
待ち時間を楽しくする音楽時計“おんがクロック”の提案 (205)
(B3-9) 待ち時間を楽しくする音楽時計“おんがクロック”の提案

通常、駅や人との待ち合わせで発生する待ち時間はネガティブに捉えられがちである。この待ち時間をポジティブな時間にするために、スマートフォン上で時間を入力するとその時間分の音楽プレイリストを生成してくれる”おんがクロック”システムを提案し、このシステムが待ち時間にどのような影響を与えるか、実験や調査を通して明らかにする。


重田 佑介,小川 克彦(慶大)
3Dインターフェースによるプレゼンテーションツールの可能性提案 (184)
(B4-0) 3Dインターフェースによるプレゼンテーションツールの可能性提案

本研究は、プレゼンテーションという分野に特化した3次元技術の応用研究である.現在幅広く使われている2Dプレゼンテーションの現状を分析すると,スライドの直列性、表示スペースや構造的限界等の様々な問題が挙げられ,それぞれに対し3D技術を用いることによって解決することができることを3Dプログラムの実制作例を通して示し,プレゼンテーション分野での3D表現の可能性を提示した.


黒田 宙馬,笠原 信一,安藤 大地(首都大)
idea in: プロジェクト管理を効率化するWebアプリケーション その2 - タスクチャート手法の提案 (176)
(B4-1) idea in: プロジェクト管理を効率化するWebアプリケーション その2 - タスクチャート手法の提案

本研究は,専門知識や難しい操作を必要とせずに扱えるユーザーフレンドリーなプロジェクト管理支援Webアプリケーションの開発と,そのシステムの実現を目指すものである.今期研究では,より幅広いプロジェクトに普及させるための導入手法,およびユーザーインターフェースについての検討と,プロジェクトにおけるタスクをベースにバージョン管理の手法を応用した「タスクチャート手法」の提案を行う.


浜田 真成,安藤 大地,笠原 信一(首都大)
可視光により機能定義が可能なタンジブル家電操作リモコン (174)
(B4-2) 可視光により機能定義が可能なタンジブル家電操作リモコン

従来の家電操作リモコンには,同一平面上に多数のボタンが配置されているため,押したいボタンを探す必要や,押したボタンのフィードバックを操作対象機器上で行う必要があり,使いやすさにおいて課題がある.本稿では,可視光による情報入力と表示が可能なマトリクスLEDユニットを用いてリモコンの各機能を各デバイスに集約し,その描画・文字認識機能と傾き捜査検知機能によってフィードバックを操作デバイス上で行うことでこれらの問題の解決を試みる,タンジブルなリモコンデバイスシステムについて述べる.

高田 万里江,Nguyen Tran Huu Nguyen,秋田 純一(金沢大)
携帯型端末を用いた脳波による情報制御システム (214)
(B4-3) 携帯型端末を用いた脳波による情報制御システム

本研究は,人間の脳波とコンテンツの関係性を分析することで,思考に基づいて必要なコンテンツを発見し,操作可能な新たな情報制御システムの構築を目指す.提案システムで使用した携帯型簡易脳波計測機器は,ヘッドバンド型で8種類の脳波と集中/リラックス時の脳波を取得可能である.本システムでは,事前に学習用サンプルとして集中およびリラックスの脳波を取得し,集中およびリラックス状態の判定に用いる.次に,情報制御時における脳波を携帯端末より取得し,判定器を用いて集中/リラックス状態に即した情報を携帯端末上に推薦する.本論文では,脳波の取得および提案する状態判定手法について述べ,提案手法を用いて構築した制御システムを検証する.

日高 智貴(京産大),白石 優旗(筑波技大),河合 由起子,奥田 次郎(京産大)
創作活動を支援するためのデータ管理システムの構築 (189)
(B4-4) 創作活動を支援するためのデータ管理システムの構築

近年、インターネットの発達に伴い、ネット上で自らが創作した作品を公開することが気軽に行えるようになっている。いわゆるネット小説と呼ばれるものもそのジャンルの一つであり、個人サイト上での連載の他に、いくつもの小説投稿サイトが存在しており、作品の公開や交流が盛んに行われている。しかし、一つの物語を形にするのは容易なことではなく、様々な要因から作者のモチベーションが保てずに、完結前に更新が停止してしまうケースも数多く存在している。本研究では、創作活動を行う上で煩雑になりやすいものであるデータの管理についてアシストを行い創作活動を支援するためのシステムを構築する。

西原 将平,三浦 元喜(九工大)
演劇における映像の役者化 (190)
(B4-5) 演劇における映像の役者化

本稿では,演劇において“映像が役者の動きにリアルタイムに連動する”ことで映像が役者の役割を担う演出を提案する.従来,舞台における映像演出舞台で起きている事柄と映像が連動することで,役者が演技をする際に,映像に合わせるのではなく,自分の演技を行うことができる点が特徴である.Kinectを使用し役者の立ち位置を取得することで,映像を役者と連動させた.この表現を,「不思議の国のアリス」の演劇の中に取り入れ,「小さくなったアリスが犬に襲われる」シーンで,犬を映像し役者との連動を図る表現を行った.

麦島 舞,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
空気砲を応用した「えあむすび」の製作 (177)
(B4-6) 空気砲を応用した「えあむすび」の製作

神社でのお参りという動作は参拝者からの一方通行のコミュニケーションであり,神様からの返事がないため願いが届いているかどうかの実感が湧きにくい.そこで参拝者の動作に応じて空気砲による線香の煙の渦輪を射出することにより,視覚・嗅覚・触覚によるインタラクティブなコミュニケーションを実現する.具体的には,空気砲を2台並べて発射すると,渦輪が相互干渉して合体や反発などの動作を行うことが明らかになっているため,この動作を制御するための物理的パラメータ条件を明らかにし,相性チェックを目的としたおみくじゲームとして「えあむすび」を提案する.本論文ではシステムを実現するための渦輪動作制御の基礎的検討を行うともにシステムの実装を行った.

山本 修平,上岡 玲子(九大)
RakuTenpo: モール型ECサイトにおける店舗の回遊性を考慮した店舗視覚化システム (171)
(B4-7) RakuTenpo: モール型ECサイトにおける店舗の回遊性を考慮した店舗視覚化システム

ECサイトの形態の1つに,店舗と連携することで運営を行う「モール型ECサイト」がある.モール型ECサイトでは商品管理や店舗ページの作成を店舗ごとに行っており,そこには顧客に伝えるべき店舗の特徴(価格帯や対象年齢など)が反映されている.一方,顧客はその特徴を把握することで店舗単位での嗜好判断が可能となり,商品単位の検索では関連付けられないような商品群を探し出すことができる.しかし,従来のECサイトでは商品単位の検索が主体であり,店舗のコンセプトが反映されている店舗ページが経由されにくいといった問題があった.そこで,本稿では,ECサイトにおける商品情報から店舗の特徴や関係性を視覚化し,店舗情報を利用した商品の回覧を可能とするシステムRakuTenpoを提案する.最後に,実際のモール型ECサイトの情報を用いて動作させることにより,提案したシステムが実用可能であることを確認した.

大河原 一輝(筑波大),平野 廣美,益子 宗,林 靖之(楽天),星野 准一(筑波大)
CCC: 振動機能を応用した携帯端末での個人認証における覗き見攻撃対策手法の提案 (159)
(B4-8) CCC: 振動機能を応用した携帯端末での個人認証における覗き見攻撃対策手法の提案

本論文では個人認証における脅威の一つである覗き見攻撃に対して,安全性を向上しうる新たな携帯端末向けの認証方法を提案する.この脅威に対する既存の対策方法は,入力方法が複雑,秘密情報の増大に伴う記憶負担の増大,専用デバイスが必要という問題が指摘されている.これに対して我々は,市販のスマートフォンで暗証番号認証を行うことを想定し,スマートフォンの振動機能を秘密共有に応用することで覗き見攻撃への安全性を向上しうる,記憶負担も既存の暗証番号による認証と同一であり,専用デバイスを必要としない認証手法,CCC(Circle Chamaeleo Cursor)を考案した.提案手法をAndroid搭載スマートフォンに実装を行い,そのシステムを利用して10人の被験者による覗き見攻撃実験を行った結果,入力値を特定できた被験者は0人という結果になった.

石塚 正也,高田 哲司(電通大)
Pay4Say: 貨幣制度を導入したビデオ会議システム (134)
(B4-9) Pay4Say: 貨幣制度を導入したビデオ会議システム

ディスカッションの場において,一部の人のみが発言をする状況や特定の人の意見が採用されるといった問題が存在する.こういった状況において発言権を左右するのは,その集団内での相対的な地位の高さや,声の大きさなどの,議論の内容や発言内容に直接関係のないパラメータに依る部分が大きいことが指摘されている.このような問題に対して,本研究ではディスカッションの発言権の獲得のメカニズムに貨幣制度を取り入れることでディスカッションでの発言権の分配率を最適化するビデオ会議システム「Pay4Say」を提案する.提案システムを用いた遠隔会議実験を行った結果,発言の少ない人にコインが集中し,プレッシャーを与えるといった特徴を確認した.

永井 淳之介,村井 孝明,西本 一志(北陸先端大)
ありがとうボタン: 現実環境における親切と感謝に基づくつながりの可視化 (201)
(B5-0) ありがとうボタン: 現実環境における親切と感謝に基づくつながりの可視化

Facebookに代表されるような現実環境での人間関係を扱うSNSでは,ユーザの知人や友人,家族などによる現実環境の人間関係の再現がなされている.しかし,実際には人々の間に生じる関係は,お互いに見知った同士による関係だけでは無く,我々は常に見知らぬ人々とモノや場所,時間を介在して様々な他者とその場限りのダイナミックな関係を構築している.本論文では,現実環境において親切をしたユーザとそれを享受する不特定のユーザがインタラクションを行えるようにすることで,お互いの繋がりや影響を実感し,協調的行動への動機を高めることのできるシステムを提案する.実装例として開発したシステムが発行するQRコードとスマートフォンを利用することで,見知らぬ同士であっても,親切を受けたユーザはその親切の主に対して感謝を伝え,双方が匿名でその場限りのコミュニケーションをとることができる.

今城 朋彬,牛尼 剛聡(九大)
自動演奏において音のパラメータを操作する演出者の再現と再現性の評価 (202)
(B5-1) 自動演奏において音のパラメータを操作する演出者の再現と再現性の評価

近年、打ち込みと言われる自動演奏をコンサートに取り入れているアーティストが増えてきている.その中にはコンサートにおいて、流れている打ち込みの音のパラメータを変化させるという演出を行っているアーティストもいる.我々はその演出手法に着目し、音のパラメータを操作する演出者をパラメータの変動データから再現する方法を提案する.本研究では、音のパラメータ操作という演出を取り入れているアーティストがコンサートをできなくなった場合に、このシステムが使用されることを目的とするため、その再現性を評価し、考察する.

橋本 文人,三浦 元喜(九工大)
ファミリーモビール: 人感センサを用いたモビール型デバイスの提案 (191)
(B5-2) ファミリーモビール: 人感センサを用いたモビール型デバイスの提案

近年テクノロジーによって高齢者の健康状況を管理する製品が数多く発表されている.ただし生活空間にテクノロジーを持ち込むには,デバイスが生活にとけ込む必要がある.著者らは,リビングなどの天井から吊るして鑑賞するモビールに着目し,遠くに暮らす家族の現在状況を人感センサによって取得し,モビールの動きの変化によって提示するデバイスを提案する.本稿では,このようなシステムの設計と実装について述べる.


齋藤 匠,石下 茜,伊藤 清里奈,松岡 宗人,与羽 翼,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
くるレコ: ユーザの興味に合わせた楽曲推薦システム (105)
(B5-3) くるレコ: ユーザの興味に合わせた楽曲推薦システム

人は新しいもの,例えば自分の知らない楽曲に出会うときに人生の豊かさを感じることがある.自分の興味に合った新しい楽曲に出会うため,楽曲推薦システムを利用する.しかし,それらのシステムでは楽曲を伝えたい人の熱意や好意などの感情を知ることができない.そこで推薦したい楽曲に対する熱意を表現できるシステムである“くるレコ”を提案する.くるレコにより視覚化された楽曲に対する熱意を見ることによって,自分の興味に合った楽曲に出会うことができる.

野並 幸平,有馬 丞,久保田 文也,中谷 仁美(京都工繊大)
表示サイズの違いによる電子書籍の印象の比較 (206)
(B6-0) 表示サイズの違いによる電子書籍の印象の比較

スマートデバイスの普及に伴い,書籍の電子化が進む事で個人宅での物理書籍の割合いが減り,ひいては物理的な書架がない人が増えることが考えられる.現在の電子書籍は専用のリーダ端末や,スマートデバイスの小さいディスプレイの中での表示になり,従来の書籍のようなサイズ感や実在感・所有感の薄れが懸念される.また,自然に目につく状態では無くなってしまうため,書籍に対しての気付きが薄れてしまう事も問題になる.これに対し我々は,近い将来に自宅などで壁ディスプレイが普及すると考えており,そこで実寸大の電子書架および電子書籍を表示することで提案し,システムを試作してきた.本研究では,そのシステムと現在普及するタブレットサイズの端末での電子書架システムを比較する被験者実験を行い,電子書籍・書架が実寸大表示されることや書架・書籍とインタラクションできることを踏まえて,表示サイズの違いという観点で比較する予備実験を行った.本稿では,その実験と結果について報告する.

松浦 祐樹,平井 重行(京産大)
TweetPass: ツイートから想起性と安全性の高いパスワード作成を支援するシステムの提案 (154)
(B6-1) TweetPass: ツイートから想起性と安全性の高いパスワード作成を支援するシステムの提案

現在,普及しているWebサービスの多くは,パスワード認証方式を採用している.この方式の場合,不正アクセスなどの攻撃に対処するため,ユーザは他者からの推測が困難なパスワードを用いることが望ましいとされている.しかし,多くのユーザは,覚えやすさから辞書にある単語や個人情報をもとにしたパスワードを使う傾向にある.特に若年層のユーザは,強固なパスワードを作成するためのルールを使用しない傾向にある.そこで本論文では,若年層に馴染みのあるTwitterと,安全性と想起性の二点を考慮した語呂合わせパスワードを組み合わせたパスワード作成支援システムを提案する.

坂松 春香,小倉 加奈代,ビスタ ベッド,高田 豊雄(岩手県立大)
メロディモーフィング手法を用いた初学者向けの作曲支援システムの研究 (211)
(B6-2) メロディモーフィング手法を用いた初学者向けの作曲支援システムの研究

現在,作曲とは音符,休符,和音名などを用い,楽譜を描くように行われることが一般的であるが,本研究ではそれらについて複雑な知識を必要とせず,音楽知識の少ないユーザでも手軽に作曲が行えるようなシステムの提案を行う.



染矢 さらら,安藤 大地,笠原 信一(首都大)
PopArm: 遠隔指差しロボットアームによるソーシャルテレプレゼンスの強化 (213)
(B6-3) PopArm: 遠隔指差しロボットアームによるソーシャルテレプレゼンスの強化

ビデオ会議において,映像を介した指差しなどの指示行為は対話相手がどこを指しているか分かりにくいという問題がある.この問題を解決するため,本研究では,映像から飛び出した腕で直接指示を行うことが可能なPopArmを開発した.PopArmとは,ユーザの映像を表示したディスプレイ上を,ユーザの腕の動きに同期して移動・回転するロボットアームである.このロボットアームによって,平面だけではなく,遠隔地を三次元的に指さすことが可能になる.また,遠隔地にいるユーザの腕が映像から飛び出しているかのようなデザインによって,ソーシャルテレプレゼンス(相手と対面している感覚)が向上することも期待される.

大西 裕也(阪大),田中 一晶(阪大/JST),中西 英之(阪大)

インタラクティブ発表(3)

入出力可能で対話的なスクリーンの開発 (128)
(C0-0) 入出力可能で対話的なスクリーンの開発

プロジェクタやコンピュータの性能が向上したことにより,プロジェクションマッピングに代表される映像表現が多様化している.投影されるスクリーンはプレゼンテーションや映画鑑賞等の際は白地のものが多い一方で,プロジェクションマッピングの場合は建物やオブジェクト等実物体である.しかし,これらのいずれもスクリーンは静止しており鑑賞者や投影者にとって双方向ではない.そのため,鑑賞者は見ているだけで参加できず,投影者もスクリーンによって幾らかの制約を余儀なくされる.そこで鑑賞者もスクリーンを動かすこと入力が出来,映像に合わせてスクリーンが動くことによって新たな表現が生まれる入出力可能なスクリーンを開発した.

吉池 俊貴,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
モバイルプロジェクタを用いた面特性適応型投映モデル提示システム (124)
(C0-1) モバイルプロジェクタを用いた面特性適応型投映モデル提示システム

近年プロジェクタの小型化が進み、持ち歩き可能になったことでエンターテイメント分野への応用が期待され研究も行なわれている。モバイルプロジェクタを利用した研究では投映されたキャラクタ同士や投映コンテンツと実物体とが接触するとインタラクションが発生するシステムがある。しかし、既存研究では、投映先を一様の平面であることを前提としており、投映先に障害物や投映面自体に凹凸があった場合などは想定されていない。これら凹凸面などに投映映像などを適合させるプロジェクションマッピングなどの補正手法もある。しかし、我々の研究では映像を補正するのではなく、投映先の面特性をコンテンツ表現そのものに積極的に取り入れるたシステムを提案する。提案にステムは、モバイルプロジェクタ・深度センサ・ジャイロセンサ・画像生成部から構成される。これらセンサの値を用いて投映先の特性を取得し、その特性に適合したモデル提示を行なう。このシステムを応用することで、ユーザは環境が変わればゲームの難易度も変わるといった新たなユーザ体験ができるようになる。

岡田 昌浩,井上 亮文,星 徹(東京工科大)
ウェアラブルデバイスのための新しい入力手法 (103)
(C0-2) ウェアラブルデバイスのための新しい入力手法

本論文では衣服と一体化したウェアラブルデバイスを実現する際に新しい入力方法として利用できるアナログ入力機能をそなえた線ファスナーを提案する.線ファスナーの近傍に導電糸を用いた回路を生成し,スライダーを介して電流を流すことにより,回路の抵抗値を読み取ることができる.



大佐賀 彩佳,羽田 久一(東京工科大)
Ficon: 立体映像表示が可能なタンジブルデバイスの提案 (019)
(C0-3) Ficon: 立体映像表示が可能なタンジブルデバイスの提案

我々はテーブルトップシステム上で使用する,光ファイバを用いた映像提示が可能な操作デバイス"Ficon"を提案した.Ficonは表面の形状加工を施すことで,立体的な映像表現が可能になる.我々はCGと立体形状を持つFiconを組み合わせ,実体を持つ立体映像を表現するタッチディスプレイとしてFiconを実装した.Ficonは一般的な立体視差を使った3Dディスプレイと異なり,映像に触れて操作することに違和感がない.これに加えて,今回はFiconへのペンポインティング操作とFiconの固有ID識別をするシステムを実装し,複数の立体映像提示デバイスを使ったインタラクションの幅を広げた.本稿では,Ficonの構造と固有ID識別とペンポインティング操作を両立するシステムの実装について記述した後,Ficonの立体映像表現について触れ,アプリケーションを示す.

高田 悠太(明治大),中林 隆介(明治大/DNP情報システム),福地 健太郎(明治大)
PUCs: 静電容量方式マルチタッチパネルにおけるユーザの接触を必要としないウィジェット検出手法 (002)
(C0-4) PUCs: 静電容量方式マルチタッチパネルにおけるユーザの接触を必要としないウィジェット検出手法

本稿では,ユーザが触れていない間でも静電容量式マルチタッチパネルによって継続的に位置検出が可能な物理的ウィジェットとしてPUCsを提案する.市販されている静電容量方式のマルチタッチパネルを使ったデバイスはパッシブな物体の接触はタッチとして検出しないように実装されている.我々は静電容量方式のタッチ検出技術を踏まえ,パッシブかつ,ユーザの接触なしで検出可能なウィジェットの構成について検討する.実装したPUCsを17種類の市販されているマルチタッチデバイスの上で評価し,提案手法が様々なデバイスに適用可能であることを確認した.

中島 康祐,伊藤 雄一(阪大),Simon Voelker(RWTH),Christian Thoresen,Kjell Ivar Øvergård(HBV),Jan Borchers(RWTH)
着用時のコンテキストと照らし合わせる服装コーディネート支援システム (024)
(C0-5) 着用時のコンテキストと照らし合わせる服装コーディネート支援システム

本研究では,衣服を着用する際に行く場所や,そこで会う予定の人などといった状況(コンテキスト)と,試着した自分の姿を照らし合わせることができる試着ミラーシステムを開発した.着用する際の目的に合わせて衣服を選ぶ場合,鏡を使った従来の試着のスタイルでは,試着をした自分の姿が着用するシーンでどのように他人から見られるかを想像し,コンテキストと照らし合わせることで考慮されてきた.試着の際に行われるこの照らし合わせを,よりわかりやすく感覚的に行うための情報提示を取り入れた,試着ミラー型システムの実現することが本研究の目的である.試着した自分の姿を特定の場所に合成した映像を提示したり,会う予定の他人の姿を試着した自分の隣に並べて提示したりすることで,試着した服装を着用する際のコンテキストに照らし合わせて確認できる.本稿では,服装コーディネート支援システムの概要やプロトタイプシステムの実装について報告する.

塚田 裕太(筑波大),岩淵 志学,益子 宗(楽天),田中 二郎(筑波大)
フレーム可動型両手多指力覚提示装置のフレーム制御に関する提案 (042)
(C0-6) フレーム可動型両手多指力覚提示装置のフレーム制御に関する提案

本論文では技巧的操作が可能な両手多指ワイヤ駆動型力覚提示装置SPIDAR-10の回転式フレームを最適に制御する手法を提案する.SPIDAR-10は両手10本の指を使ってVR世界にある仮想物体を操作することが出来る.左右の手に対して1つずつの円筒形フレームに片手の指5本分のワイヤ20本が張られる.そのため,両手を用いた複雑な操作を行う際にフレーム内のワイヤの干渉が問題となってしまう.干渉が起こると,操作者が違和感を覚えるだけでなく,指の位置姿勢推定の精度にも大きく影響するため,ワイヤの干渉低減が必須となる.

丸山 直紀,劉 蘭海,田上 想馬,赤羽 克仁,佐藤 誠(東工大)
学習者自身の運筆動作で教示する個性を伸ばすためのドローイング学習支援システム (051)
(C0-7) 学習者自身の運筆動作で教示する個性を伸ばすためのドローイング学習支援システム

作画経験をある程度持った中上級者であれば,何度もドローイングを繰り返すうちに,ふいに理想的あるいは非常に理想に近い結果が得られることがある.しかし,この結果は運筆動作を意識せずにドローイングを行っているときに得られるため,それを再現する方法は本人にもわからない.理想的な結果が得られた時の学習者自身の運筆動作を収集して教師データとする新しいドローイング学習支援システムを開発することで,個人ごとの理想的な運筆動作を身につけるための支援が可能であると考えられる.その第一歩として,描き手が思い通りにドローイングできた場合とそうでない場合の運筆動作にどのような差があるかを明らかにするために,イラストの作画中上級者を対象として運筆動作の分析を行った.円を作画対象物としたときの運筆動作の分析の結果,運筆の速さ,筆圧,速さの変化のパタンである運筆のリズムを表す特徴量を描き手に合わせて適切に組み合わせることで,思い通りに描けたかどうかを機械学習によって平均67%の精度で判別できた.本分析に基づき,学習者データと教師データに対してそれぞれのストロークを分割し,部分毎に各特徴量をもって比較することで,理想的な描画を行うための運筆動作の教示情報を提示するドローイング学習支援システムを提案・構築した.

山本 景子,安田 和夫(京都工繊大),山本 豪志朗(奈良先端大),倉本 到,辻野 嘉宏(京都工繊大)
紙コントロールパネル: 紙を用いたタッチインタフェースの作成 (054)
(C0-8) 紙コントロールパネル: 紙を用いたタッチインタフェースの作成

我々は,紙コントロールパネルの提案と,その作成システムの実装を行った.紙コントロールパネルは,紙に描いた図形をボタンとして扱い,図形を指でタッチすることで計算機の操作を行う.紙に図形を描き,アプリケーションの機能のショートカットなどを割り当てることで,タッチ入力インタフェースが作成される.機能の割り当てはキーイベントやマウスイベントを用いることで簡単に行える.紙コントロールパネルによって,ユーザは使いやすい入力インタフェースを自作し利用できる.

金子 将大,田中 二郎(筑波大)
擬似的三次元コピーとインタラクションの提案 (120)
(C0-9) 擬似的三次元コピーとインタラクションの提案

本論文では三次元物体をコピーして複製を制作することを擬似的に体験するとともに,そのコピー物体とのインタラクションを行うことができるCGシステムを提案する.ユーザが三次元物体をシステムのスクリーン上にセットすると,システムは上方から物体をスキャンして三次元形状と色を取得する.そして物体を取り除くと,システムはスキャンデータに基づいて三次元物体のCGを生成してスクリーンに表示する.このときシステムはユーザの視点位置を認識して運動視差立体視による三次元CGを生成しており,取り除いた三次元物体のコピーがそのまま残っているような三次元CG映像を様々な位置から観察することができる.そして静止している物体だけでなく,動いている物体に対してもデータのスキャンと三次元CGアニメーションの生成して,様々な位置から観察することができる.さらにユーザが三次元CGのコピー物体に手を近づけることで変形などの操作を対話的に行うことができる.

上原 悠永,水野 慎士(愛工大)
Other Faces: 3次元物体の複数面に対する指接触検出システム (077)
(C1-0) Other Faces: 3次元物体の複数面に対する指接触検出システム

複数面を持つ立体物に対して,上部に設置した一つのデプスカメラにより,上面だけでなく側面に対する指の接触も検出するシステム,”Other Faces”を開発した.指先の3次元位置を推定するとともに,対象物のエッジ領域の3次元位置情報を用いて対象物の周りに接触検出空間を生成し,その空間内への指の侵入を検出することにより,カメラから見えない側面に対する指の接触検出を実現した.これによりカメラの下に置かれた対象物の,底面を除く全面に対する接触の検出が可能となった.開発システムを用いたアプリケーションとして,利用者がノートPCや靴の各パーツに直接触れることでそれぞれのパーツの詳細情報を呈示する,新たな情報検索/呈示手法を提案した.簡易な構成で物体とのインタラクションを拡張する本システムが,実空間ARシステムの基盤として活用されることが期待される.

荒井 観(NEC/MIT),Sharma Anirudh(MIT),高梨 伸彰(NEC),Maes Pattie(MIT)
HandON: ペルチェ素子による手書き文字の動的消去と触覚呈示を用いたテーブルトップインタフェースの研究 (081)
(C1-1) HandON: ペルチェ素子による手書き文字の動的消去と触覚呈示を用いたテーブルトップインタフェースの研究

著者らはこれまで,手書き文字の動的消去と映像プロジェクションを利用したインタラクションについて検討し,プロトタイプの制作を行った.プロトタイプにおいて,ユーザビリティと演奏インタフェースに問題が挙げられ,本稿ではこのふたつの問題を解決する手法について論じる.具体的な手法としては,前者はユーザが文字を指で操作する際に振動触覚フィードバックを呈示すること,後者は手書き入力によるインタフェースの構築を検討している.ただし,本稿では手書きの魅力を活かしたインタラクションの検討が十分でなく,またシーケンサとしての機能も未熟であるため,今後はこれらの要素についても検討を重ねることが課題である.

加藤 愛,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
誌面におけるリアルタイム情報の重畳表示を用いた商品購入支援システム (145)
(C1-2) 誌面におけるリアルタイム情報の重畳表示を用いた商品購入支援システム

カタログや雑誌など紙媒体に記載されている内容から商品の購入を検討する場合、そこに記載された絵や解説を読んで判断を行う.その際紙の媒体は発行されてからある程度時間が経っている場合があり、いざ商品を買おうとした際に在庫切れで購入できないといったことが起こりえる.また商品の購入方法として近年ウェブ上でのオンラインショッピングが普及しており商品の在庫状況や購入者のレビュー評価など最新の情報を得ながら購入することが出来る.本研究では広く使われている現実の本にオンライン上のリアルタイムなデータや、同じ本を読んでいる他者の行動を重畳させることで書籍からの購買を拡張するシステムを提案する.また、そのプロトタイプを実装したので報告する.

田中 舜一(筑波大),岩淵 志学,益子 宗(楽天),田中 二郎(筑波大)
獅子頭のARデジタルアーカイブ -富山の獅子頭の3Dデータベース方法の構築- (092)
(C1-3) 獅子頭のARデジタルアーカイブ -富山の獅子頭の3Dデータベース方法の構築-

富山の獅子舞は日本でも特殊な種類の獅子舞に分類される。県内には現在でも数多くの獅子舞が民間に受け継がれ、民俗芸能として祭事や競演会などを通して披露されている。こうした富山県の獅子舞について研究を進めると同時に、ARToolkitを用いた新しいデジタルアーカイブとして展示する。複数のARToolkitマーカーを使い、ヴァーチャル上で手に持ち体験することのできる新しいデジタルアーカイブを提案する。


渡辺 祐也(富山大),中山 智博(スーパーステーション/ArtLabo/京都嵯峨芸大),辻合 秀一(富山大)
VRエンタテイメントに向けたエア楽器演奏システム (141)
(C1-4) VRエンタテイメントに向けたエア楽器演奏システム

現在VRエンタテインメントにおいて,匂いや,触覚などの視聴覚以外の感覚に刺激を与えることで,ユーザの没入感の増幅を計る研究が広く行われている.しかしVRエンタテイメントにはユーザが仮想空間に入り込み,なんらかの擬似体験を行うことが重要であり,単に視覚や触覚に情報を呈示するだけでは不十分である.そこで我々は,没入感の増幅には視覚,聴覚,触覚への情報呈示に加えて,人の自然な動作を使用するジェスチャインタラクションが必要であると考えた.本論文ではギター,ピアノといった楽器演奏する動作に,楽器音による聴覚刺激,拡張現実感技術による視覚刺激,ウェアラブルな触覚提示デバイスでの触覚刺激をユーザに提示することで,高い没入感を演出するエア楽器演奏システムを提案,試作し,ユーザ実験によりシステムの評価をおこなった.

岩谷 亮明,澤田 秀之(香川大)
DailySleeve: コーヒーを用意する動作をトリガーにした情報提供システム (175)
(C1-5) DailySleeve: コーヒーを用意する動作をトリガーにした情報提供システム

暖かい飲み物が入ったカップにコーヒーカップスリーブをはめ込む動作により,ユーザにその日の天気や一日の予定,交通情報など,日々の生活に欠かせない情報を提供できるシステム「DailySleeve」を提案する.システムは,暖かい飲み物が入ったカップを検知し,その状態をインターネットを介して専用のアプリケーションに通知することで,サービスを提供できるスリーブ型デバイス「DailySleeve」および,DailySleeve本体と連携して情報提示を行うアプリケーション,それらをつなぐネットワークからなる.本システムを用いることで,ユーザは多くの人々が日常的に行う動作をトリガーに情報を得ることができる.

羽鹿 諒(imaginaryShort),武田 優生(imaginaryShort/京都工繊大)
自己表現欲求の動機づけへの応用: トランポリン運動を題材とした自分撮りシステムの事例 (100)
(C2-0) 自己表現欲求の動機づけへの応用: トランポリン運動を題材とした自分撮りシステムの事例

トランポリンを使って、ジャンプ中の写真を自動撮影するシステムです。
センサによりタイミングを推定し、空中でのポーズの瞬間を撮影します。撮影された写真は大型ディスプレイに表示され、みんなのジャンプ写真を見比べることができます。
「もっと高く跳びたい!」「もっとかっこよく写りたい!」「面白い写真を撮りたい!」という自己表現欲求をかきたてることにより、トランポリン運動への参加を促します。

助台 良之(個人),大野 悠人,福地 健太郎(明治大)
クリップパイプ: ウインドウの見たままを流し続けるアプリケーション連携手法 (111)
(C2-1) クリップパイプ: ウインドウの見たままを流し続けるアプリケーション連携手法

本稿ではアプリケーションをウインドウごと取り込んで,別のアプリケーション上に連携する手法を提案する.ウインドウ内の連携したい範囲を指定するだけで,ユーザは手軽にアプリケーション同士の連携ができる.コンピュータ上でアプリケーション同士の連携を行う方法は,ファイル形式の変換やコピー&ペーストなどの手段があるが,どれも連携のための前準備が必要であったり,連携後の編集に支障が生じたりと不便であった.提案手法では,ウインドウの指定範囲の見たままがリアルタイムで連携される.連携のための前準備は軽減され,連携元の操作が即時反映されるため,余計な作業に時間を割く必要がなくなり,ユーザは本来の作業に集中することができる.

大島 裕樹(明治大),宮下 芳明(明治大/JST)
Twinkrun: 受信信号強度に基づく実世界ゲーム (156)
(C2-2) Twinkrun: 受信信号強度に基づく実世界ゲーム

本研究では,Twinkrunと呼ばれる,外で遊ぶスマートフォンを使ったゲームを開発した.プレイヤーは携帯デバイスを頭に固定し,お互いのディスプレイに表示される色を手がかりに,近づいたり遠ざかったりしてポイントを奪い合う.携帯デバイス同士は無線通信やコネクションを行わず,Bluetoothの受信信号強度によって推定されるデバイス間距離に基づいてスコアリングを行う.


原 健太,川連 一将,尾高 陽太,高橋 岳士,渡邊 恵太(明治大),宮下 芳明(明治大/JST)
Arctanbler: 空中でも水平を得られる計量カップ (160)
(C2-3) Arctanbler: 空中でも水平を得られる計量カップ

本研究では調理における計量作業をより円滑にするシステムArctanblerを提案する.Arctanblerは容器に目盛りが振られていない代わりに,取り付けた携帯情報端末のディスプレイ上にどこまで液体を入れたら良いか示されるシステムである.水平に静地させずともどこまで入れたら良いかがダイナミックに示されるようになっているので,ユーザはスムーズに作業を進められる.本論文ではArctanblerの提案と実装について紹介し,その利用について議論する.

尾高 陽太,渡邊 恵太(明治大)
DepthSketch: 深度情報を利用した遠近感のあるスケッチシステム (197)
(C2-4) DepthSketch: 深度情報を利用した遠近感のあるスケッチシステム

深度情報と色情報を同時に取得できるカメラを利用して、写真をなぞることで遠近感のあるスケッチを描けるシステムを開発した。写真の上からペンで描きこむと、ペンのある領域の深度に応じてペンの太さを変えるもので、これにより、写真をなぞっただけで奥行き感のあるスケッチを描くことができる。ただなぞるだけのスケッチに比べると、描き上がった絵に対する満足感が高い。


名取 則行,福地 健太郎(明治大)
「さわる」もやもやドローイング: オノマトペの印象をエフェクトとして反映する直観的描画ツールの提案 (140)
(C2-5) 「さわる」もやもやドローイング: オノマトペの印象をエフェクトとして反映する直観的描画ツールの提案

擬音語や擬態語などの総称である「オノマトペ」には,ある人が対象を上手くコトバとして表現できない時に,おもわず表出されてしまうというユニークな特徴がある.そこで本研究では,ユーザが表出したオノマトペには,ユーザが表現したいけれども表現しきれない豊かな情報が込められると仮定し,ユーザがオノマトペに込めたイメージを画像中のエフェクトとして反映できるという,直観的な描画ツールを提案する.


寺島 宏紀(信州大),小松 孝徳(明治大),松村 嘉之(信州大)
iMake: 画像からアイメイクを生成するシステムの提案 (113)
(C2-6) iMake: 画像からアイメイクを生成するシステムの提案

アイメイクには通常のメイク方法の他に,音符や蝶などのキャラクターやシンボルをモチーフにした派手なアイメイク,いわゆるアイメイクアートが存在する.しかしながら,アイメイクアートはもちろん,通常のメイクでさえ難しいと感じる女性が多いのが実情である.そこで,本稿では画像からアイメイクのデザインを作り出すシステム「iMake」を提案し,実装した.本システムは,ユーザが任意に選択した画像から色や特徴を抽出し,アイメイクのデザインに反映させ,更には転写シールに印刷することで,システム上で生成したデザインを現実世界で使用することが可能である.

西村 綾乃,椎尾 一郎(お茶の水女子大)
バーチャルキャラクターとの視線によるコミュニケーションを実現する添い寝システムの開発 (110)
(C2-7) バーチャルキャラクターとの視線によるコミュニケーションを実現する添い寝システムの開発

本研究では、没入型のヘッドマウンドディスプレイ(HMD)を利用し、ユーザが視線(顔の向き)だけによってバーチャルキャラクターとのコミュニケーションをとることが可能な、就寝前のリラクゼーションを促すシステムを開発した。バーチャルキャラクターは、ユーザが明示的な操作を行わなくても、視線を検知し、笑顔を向けたり声をかけたりといった動作を行う。本稿では、システムの実装や動作について述べる。本システムの用いた手法は、たとえば入院中で手を動かせない患者への適用などにも応用できると考える。

根岸 匠(筑波大),神場 知成(NECビッグローブ/筑波大),田中 二郎(筑波大)
距離画像センサを用いた運動する物体のリアルタイム3次元形状復元 (101)
(C2-8) 距離画像センサを用いた運動する物体のリアルタイム3次元形状復元

本研究では運動する物体の周囲3方向に距離画像センサを設置し,それらから得たデプスマップを融合して物体の全周形状をリアルタイムに復元する手法を提案する.3次元の全周形状の復元は一般に負荷の高い処理となるため,これをリアルタイムに行うことにはいくつかの困難がある.そこで本研究では,これにGPUによる形状処理手法を導入する.さらに,この技術を用いて,復元した空間内でのインタラクションや,運動する人体の全周へのリアルタイムプロジェクションマッピングの実現を目指す.

森 正樹,床井 浩平(和歌山大)
多彩な手続き学習を促進するシステムの開発 -ハノイの塔と本棚のメタファを複合したパズルゲーム- (117)
(C3-0) 多彩な手続き学習を促進するシステムの開発 -ハノイの塔と本棚のメタファを複合したパズルゲーム-

本研究では、木製パズルゲーム「ハノイの塔」のルールを利用した、多彩な手続き学習を促進するパズルゲーム「ハノイの本」を開発した。「ハノイの塔」のシンプルなルールに本と本棚の要素を組み合わせ、知的な楽しさと整理整頓の快感を提供するとともに、多彩な課題を用意することで手続き学習を促進する。また、よりよいユーザ体験の為,デバイスに適したグラフィックインタラクション,及びゲームの特性に適したサウンドインタラクションを実装した.

安藤 健翔,戀津 魁,日置 優介(東京工科大),神山 大輝(宮地商会),細川 慎一(PictLinks),渡邉 賢悟,伊藤 彰教,近藤 邦雄(東京工科大)
Music Puzzle: パズル解法を動機とした音楽シーケンサ (119)
(C3-1) Music Puzzle: パズル解法を動機とした音楽シーケンサ

Music Puzzleはスライドパズルブロックを音楽シーケンサの各ブロックにみたてることで、視覚と聴覚を同時に利用してパズルを解く作品である。それぞれのブロックにはメロディやリズムが割り当てられており、ブロックをスライドして動かすたびに、絵柄だけでなく、自動演奏される音楽も変化する。絵は色数が少なく似た絵柄のコマがあるが、メロディの違いをヒントにして解くことができる。


山口 隆,卯田 駿介,中西 恭介,尹 玄玄,角谷 亮祐,倉知 尚貴,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
ユーザの操作履歴とポインティング動作を用いた機器操作リモコン (086)
(C3-2) ユーザの操作履歴とポインティング動作を用いた機器操作リモコン

近年の家電製品の普及と高性能化により,それを操作するリモコン数が増加したことで,ユーザの利便性が損なわれているという問題が起きつつある.また,家電製品の多機能化により操作のためのボタン数が増加したことで,ユーザの認知負荷が大きくなっている問題もある.本稿では,これらの問題に対し,ユーザの操作履歴とポインティング動作を用いる機器操作リモコンを提案する.リモコン数の増加問題に対し,リモコンに取り付けられたスポット状の可視光を用いて,使用したい機器にポインティングすることで機器を選択,操作できるリモコンを提案する.また,ボタン数の増加問題に対して,リモコン機能の提示に操作履歴を用いることで,ユーザの操作に合わせてボタンの配置などを調整する機能メニューを提案する.また,Android端末上に実装したリモコンシステムと,それを用いたユーザ評価について述べる.

河崎 泰孝,秋田 純一(金沢大)
VOCALOIDでの話し言葉作成に特化したツールの制作と提案 (121)
(C3-3) VOCALOIDでの話し言葉作成に特化したツールの制作と提案

VOCALOIDは歌声を生成するという本来の使用目的以外にも現在では多くの場面で活躍し、ソフトウェアとしてだけではなく、そのキャラクター自体の魅力にも注目されている。その中でも著者らはVOCALOIDをしゃべらせる分野に注目し、本来歌うこと向けに作られたVOCALOIDを簡単な操作でしゃべらせられるツールを作成し、多様な需要を生み出すVOCALOID文化の更なる発展に貢献する。


小林 央,安藤 大地,笠原 信一(首都大)
物質プログラミング -物質によるプログラムの可視化と開発環境の制作- (094)
(C3-4) 物質プログラミング -物質によるプログラムの可視化と開発環境の制作-

コンピュータの普及に伴い,プログラミングは一部の専門職の行為だけではなく,広く一般に行われるようになってきた.そのため,使いやすいプログラミング言語が必要となってきている.Scratchというプログラミング言語は直感的に手でブロックを組み立てるようにプログラミングできるため初心者にも簡単に使いやすい.しかし,直接ブロックを手で組み立てるわけではない.そこで,Scratchのブロックを実体のあるブロックとして再現し,ブロックを組み合わせることでプログラミングができる環境の制作を行った.また,制作したプログラミング環境をイベントに出展し,体験者の観察を行った.

八城 朋仁,迎山 和司(はこだて未来大)
拡張現実技術と仕掛け絵本を融合したインタラクションデザイン (126)
(C3-5) 拡張現実技術と仕掛け絵本を融合したインタラクションデザイン

仕掛け絵本は多くの親子に楽しまれている.近年では紙媒体のみならずタブレット端末上で楽しめる絵本も多く見られる.しかし従来の仕掛け絵本に存在した「めくる」「回す」「ひっぱる」等の触覚的な体験が失われている.著者らは拡張現実技術と仕掛け絵本のインタラクションの研究を行っている.本稿では,著者らが制作した拡張現実技術と従来の紙仕掛け絵本をインタラクティブ絵本について述べる.


東藤 絵美,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
Harmonic Space: 自発・協調行動を促すインタラクション空間の提案 (129)
(C3-6) Harmonic Space: 自発・協調行動を促すインタラクション空間の提案

本報告では,大画面上の表示や再生される音声をきっかけに,複数の人それぞれがシステムに対し何らかの法則性を見出し,周りの人と協調しながら行動し,システムがさらにその人々の行動に応じた処理・フィードバックを行うことで,全体として調和した大きなインタラクションを引き起こす空間Harmonic Spaceの提案を行う.構築したプロトタイプシステムでは,大画面表示とWebカメラ,スピーカを用い,表現された情報をセンスした人々が,事前知識なしに,自発的に周りの人と暗黙の目的を発見しながら一緒に行動することで,一体感,達成感が醸成できる空間を実現した.今後,情報環境の大型化や公衆化に伴い,大きな空間におけるこうした群集向けのインタラクション空間の可能性が広がると考えている.

上野 塁,外村 佳伸(龍谷大)
ディジタルペンによる同期型遠隔講義の活性化システム (136)
(C3-7) ディジタルペンによる同期型遠隔講義の活性化システム

ストリーミング中継によるリアルタイム型の遠隔講義は,単なる講義動画の配信に比べて,適宜受講者から質問を受けたり議論を行える点で優れている.しかし現実の同期型遠隔講義の運用においては,教員や設備の都合により知識伝達型の講義になりやすい.我々はこれまで構築してきたディジタルペンを用いた学習者間相互作用を促すシステムを改良することで,遠隔講義における協調的な学習を可能とするシステムを構築した.筆記時刻による自動分類と,提供機能の絞り込みにより,システム運用にかかる管理者の手間を軽減すると同時に,実質的でシンプルなインタフェースを実現した.

三浦 元喜(九工大)
高可聴域音による音声IDの観客参加型音楽作品への応用 (132)
(C3-8) 高可聴域音による音声IDの観客参加型音楽作品への応用

高可聴域音のDTMFによる音声IDを用いることで,楽曲に含まれるIDに反応し観客のスマートフォンや会場のタブレットから音楽を流れる参加型音楽作品を制作し,ライブにて実演を行った.観客の参加性や会場空間への音楽の広がりなどを実現することで,新しい音楽体験の可能性について検討を行った.



平林 真実(IAMAS),江島 和臣(Laatry)
巻き戻し機能のある透視鏡のプロトタイプシステム (182)
(C3-9) 巻き戻し機能のある透視鏡のプロトタイプシステム

授業や講義、会議等の場においてその風景を撮影し、講義者の体に対してのみ半透明化を施した撮影映像をネットワーク上の別の端末へ送信する。受信端末上では専用アプリケーションにより現在及び過去の映像表示を行う。このシステムが板書内容を書き写す際に発生する「板書位置と講義者の体が重なっている間、受講者は板書内容を確認できない」並びに「書き写し終わる前に消された板書内容を受講者は確認できない」という二つの問題に対する有用な解決手法であることを報告する。

高瀬 凌平,山根 恵和,岡部 正幸,梅村 恭司(豊橋技科大)
探索行動に基づく形状知覚装置における情報提示方法の検討 (153)
(C4-0) 探索行動に基づく形状知覚装置における情報提示方法の検討

本研究では形状知覚装置における情報提示方法の検討を行った.また検討のために触覚提示デバイスであるFB-Finger2を開発した.このデバイスは人差し指の第二関節と第三関節にアクチュエータを対応させ,二自由度でかざした方向にある物体の形状をユーザに指の屈伸で伝達する.このデバイスを先行研究で開発した第三関節にのみアクチュエータ対応させたデバイスFB-Fingerと比較する実験を行った.


正谷 智広,秋田 純一(金沢大),伊藤 清英(はこだて未来大),小野 哲雄(北大),岡本 誠(はこだて未来大)
BOWING PENGUIN: 電話機付属型ジェスチャー伝達装置 (147)
(C4-1) BOWING PENGUIN: 電話機付属型ジェスチャー伝達装置

対面でのコミュニケーションにおいて,発話者は言葉の他にジェスチャーを交えて受話者に情報を伝えている.しかしながら,電話を用いたコミュニケーションでは,発話者のジェスチャーは受話者に伝わらない.また,通話時は対面でのコミュニケーションとは異なった環境のため,発話者のジェスチャーが対面時のコミュニケーションと異なる可能性がある.そこで,本研究では発話者が行っているジェスチャーを検出し,検出したジェスチャーを通常時のコミュニケーション時と同等のジェスチャーに補正して受話者に伝達することを目指している.本発表では,ジェスチャーの中でも特にお辞儀に注目し,通常時のコミュニケーション時と通話時のコミュニケーション時のジェスチャーの違いを比較実験した.結果,通常のお辞儀より通話時は, 7.01度お辞儀の角度が小さくなるという知見が得られた.最後に,その知見をもとにジェスチャーの補正と伝達を行う電話機付属型ジェスチャー伝達装置:BOWING PENGUINを提案する.

堺 崇行(プロトタイピング講座),岩崎 健一郎(プロトタイピング講座/東大),玉城 絵美(プロトタイピング講座/早大)
6自由度力覚提示装置SPIDAR-Iの提示力等方性について (150)
(C4-2) 6自由度力覚提示装置SPIDAR-Iの提示力等方性について

ワイヤ駆動型力覚提示装置SPIDARについて,最大提示力の等方性という指標のもと構造最適化を行った.SPIDAR-Iは,方向によって提示力の最大出力が異なるという従来型SPIDARが抱える問題を解決するため,デバイスの幾何学的な構造に着目し,最大提示力を平均化した構造を持つ.しかし,先行研究において最大提示力の平均化を主軸6方向のみで行なっているため,主軸方向以外の方向における最大提示力については十分に考慮されていない.そのため,本論文では主軸方向以外の方向も対象に入れた最大提示力の偏りを最小にするために,最大提示力に関してmin-max最適化を行う.

田島 寛之,季 雨農,馬 姝涵,赤羽 克仁,佐藤 誠(東工大)
リアルタイムに初音ミクを歌わせるタイプソングシステム「HANAUTAU」とそのアジャイル型開発事例報告 (212)
(C4-3) リアルタイムに初音ミクを歌わせるタイプソングシステム「HANAUTAU」とそのアジャイル型開発事例報告

動画コミュニティサービス「ニコニコ動画」を中心に,初音ミクなどのバーチャル・シンガーたちが脚光を浴びており,初音ミク主催のライブコンサートが催されている.リアルタイムの重要性が高まり,VOCALOIDキーボードを始めリアルタイム歌唱生成システムも複数提案されているが,歌唱表現に関する様々なパラメータの付加ができない,操作が煩雑であるなどの問題点がある.本稿では,鼻歌によるピッチ操作とPCキーボードによる歌詞入力によって,人間らしい歌唱表現の付いた歌唱を手軽に実時間生成できるシステムを提案し,さらにニコニコ動画を活用したアジャイル型開発の概要と過程について紹介する.

竹本 拓真,馬場 隆,片寄 晴弘(関西学院大)
Haconiwa: 初学者が電子回路を楽しく学ぶための仕掛け (187)
(C4-4) Haconiwa: 初学者が電子回路を楽しく学ぶための仕掛け

本稿では自由につなげて遊ぶことができる電子玩具制作キット``Haconiwa''提案し,それを用いたワークショップについて報告する. ``Haconiwa''は導線のみでできた土台モジュールと電池,LED,スイッチ,導線などのオブジェクトモジュールから構成される.それぞれのモジュールの外観は,手芸や工作を用いてユーザがデザインすることができる.これらを自由につなげてオリジナルの風景(箱庭)を創ることで,ものづくりの楽しさを体験できると同時に,電子デバイスに興味を持つきっかけを与えることを狙う.

白水 菜々重,阪口 紗季,東納 ひかり,堀下 小春,島田 さやか(関西大)
スイッチを題材とした関係性を発展させる玩具の提案 (180)
(C4-5) スイッチを題材とした関係性を発展させる玩具の提案

スイッチを有するボックス型のユニットを連結させ,スイッチのオン・オフ操作に対してスイッチが物理的に反応する様を楽しむ玩具「おスイッチ!」を以前提案した.「おスイッチ!」は,あるひとつのユニットのスイッチが操作されると,連結された隣のユニットへ状態変化が伝達され,各ユニットに割り当てられた機能に応じて反応をする.機械的なスイッチの持つ触感や操作感とともに,通常は入力装置として使われるスイッチが表示装置も兼ねることの意外性を提示した.さらに複雑な楽しさを増すため,スイッチの種類を追加した.

市野 昌宏,金原 佑樹,二宮 諒,赤羽 亨,鈴木 宣也(IAMAS)
なぞり操作インタフェースの提案 (165)
(C4-6) なぞり操作インタフェースの提案

なぞり操作によるメール誤送信防止ツール「なぞり~な」情報漏洩の原因の1つとして、メールアドレスや添付ファイルの入力や選択ミスなどによるメール誤送信が問題となっている。従来方法としては、メーラーにてメールアドレス等の重要情報をダイアログに表示しチェックをすることで解決する手法や、複数人で確認を行うといった運用ルールで解決する手法がなされてきた。しかし、いずれも習慣化する中でそれら動作そのものが無意識で実施され、結果として上記問題が再発する事例も出ている。本稿では、メール送信前にメールアドレスや添付ファイル等の重要な情報を確認する手段として、メール送信画面上のこれら重要情報の文字列をなぞることで、意識的に文字の確認を促し、より確実に誤送信を防止する手法を提案している。今回は、Windows上で動作する確認アプリを開発し、なぞり操作の促しに加え、メールアドレスの仮名変換表示、ドメイン名表示、なぞり速度計測、等による無意識化の回避、さらにはシステム管理者向けになぞり操作ログ記録の機能も具備した。

中村 麻奈美,渡邊 英,大木 朱美,井戸上 彰,宇都宮 栄二(KDDI研)
NeighborNote: ユーザ操作履歴に基づくノート連想機能を有するEvernoteアプリケーション (066)
(C4-7) NeighborNote: ユーザ操作履歴に基づくノート連想機能を有するEvernoteアプリケーション

本稿では,Evernoteを利用する際にユーザが行う操作に着目して関連するノートを見つけ出すアプリケーション「NeighborNote」について述べる.「NeighborNote」は,ユーザが同時に開いていたノートに関連性があるかもしれないこと,ノート間のコピー&ペーストがそれらのノートの関連性を意味するという考えに基づいてノート間の関連度を算出する.ユーザがノートを開いた際に関連するノートを併せて表示することによりユーザのノート検索を支援する.本研究では,さらにこのシステムを一般人が便利に使えるよう再設計して仕上げた上でEvernoteの派生サービスとして公開し,その意義と有効性の評価を行うことを目指す.

高橋 悠紀,新堀 道信,鎌田 賢(茨城大)
PushPullSpace: 公衆型情報環境におけるスマートホンを用いた連携インタラクションの提案 (095)
(C4-8) PushPullSpace: 公衆型情報環境におけるスマートホンを用いた連携インタラクションの提案

本報告では,スマートホンを用いて,公衆型情報環境における様々な情報のやりとりを可能とするインタラクション空間PushPullSpaceを提案する.このシステムは公衆型情報環境に掲示板的要素を取り入れ,近年広く普及しつつあるスマートホンによる情報投稿や取得を,直感的なアクションで可能とするものである.本研究では提案に基づいたプロトタイプシステムを構築し,人々が直感的にこのシステムを通して情報交換できる環境を実現した.本研究で検討した基本環境を含め,今後スマートホンを用いた公共空間での情報のやり取りが盛んになることが期待される.

矢野 昭文,外村 佳伸(龍谷大)
Augmented Copy: 自然言語処理を重畳するコピー機 (188)
(C5-2) Augmented Copy: 自然言語処理を重畳するコピー機

紙媒体には紙独特の利点があり,我々の生活から完全に消えることはないであろう.この紙の利点をそのままに情報を付加すべく,我々は,紙を入出力として扱う処理系,すなわち,紙を入力とし,紙に注釈を加える形で言語処理結果を出力することを提案する.この入力紙に情報を付加または削除する技術は,AR技術(Augmented Reality;知覚情報に計算機が作り出した情報を重ね合わせる)を,紙媒体に適用したとも考えられ,本稿では,Augmented Copyと呼ぶ.本稿では,Augmented Copyのいくつかの実装例を紹介し,その可能性を議論する.

荒牧 英治,久保 圭,仲村 哲明,島本 裕美子,宮部 真衣(京大)
日常空間に組み込んだHuman Computation環境によるクラウドソーシングタスク処理 (107)
(C5-3) 日常空間に組み込んだHuman Computation環境によるクラウドソーシングタスク処理

現在,Amazon Mechanical Turkなどのマイクロタスク型のクラウドソーシングによる問題解決が注目を集めている.マイクロタスク型クラウドソーシングにおいては,パターン認識などの計算機では難しいが人間では比較的容易にできる処理(Human Computation)を大量に行う事がしばしば必要となる.これまで,それらで要求されるHuman ComputationはPCや携帯端末などを通じて行う事が一般的であったが,十分小さく,かつ容易なタスクに関しては,それ以外の方法による選択肢も十分に考えられる.我々は,日常空間の中にHuman Computationを行うための仕組みを組み込むことを提案し,本デモンストレーションでは,クラウドソーシングプラットフォームに登録されたマイクロタスクを床に投影し,歩きながらHuman Computationを行う体験を観客に提供する.

品川 有輝(筑波大),森嶋 厚行(筑波大/JST),中村 聡史(明治大),寺田 努(神戸大/JST)
AgencyGlass: 人間の擬人化による感情労働の代替 (151)
(C6-2) AgencyGlass: 人間の擬人化による感情労働の代替

本研究では、人間の感情労働に対する負担を軽減するため、人間の感情表現の代替を行うAgencyGlassを提案する。AgencyGlassによって、ユーザは感情表現を計算機システムに任せることができ、感情労働における認知的な負荷を軽減することができる。



大澤 博隆(筑波大)
手首と体幹部におけるハンガー反射 (168)
(C6-3) 手首と体幹部におけるハンガー反射

針金製ハンガーを頭部に被ると不随意に頭部が回旋するハンガー反射は、コンパクトな装置で力覚を提示する一手法として有力であるが、これまで身体全体で同様の現象が生じるかどうかの検証はなされていなかった。我々はふとん用洗濯バサミで手首及び腰を挟むと同様に不随意に回旋することを見出した。このことはハンガー反射に用いられている手法を体全体に拡張することで、効率的に不随意運動を誘発できる可能性を示唆している。今回は手首及び体幹を圧迫するデバイスを開発しユーザーテストを行い大半の被験者が回旋方向への力を感じさせることに成功した。さらに、ギプスの圧迫によって生じる皮膚のせん断変形が現象発生に関与している可能性が示唆された。

中村 拓人,西村 奈令大(電通大),佐藤 未知(電通大/JSPS),梶本 裕之(電通大/JST)
発泡ビーズの振動伝搬を用いた広範囲触覚ディスプレイ(第2報) -振動知覚実験およびアプリケーション開発- (216)
(C6-4) 発泡ビーズの振動伝搬を用いた広範囲触覚ディスプレイ(第2報) -振動知覚実験およびアプリケーション開発-

身体広範囲へくまなく触覚呈示を行うため,これまでに我々は発泡ビーズの振動伝搬を用いた広範囲触覚ディスプレイを提案してきた.本稿では本研究の第2報として,発泡ビーズを用いた触覚ディスプレイの腕部に対する振動知覚実験およびアプリケーションシステム「からだ花火」について報告する.打ち上げ花火の爆発振動をユーザの足全体にくまなく呈示し,まるでユーザの足の中で花火が爆発しているように感じさせる新たな花火鑑賞の形を提案する.

栗原 洋輔,西村 奈令大,高下 昌裕(電通大),梶本 裕之(電通大/JST)