近年,情報通信の高速化にともない,無料のビデオチャットツールが普及してきている.しかしビデオチャットには相手と距離感を感じてしまうという問題点がある.本研究では,この問題点を解消するためにタンジブルインタフェースを用いたドア型のビデオチャットシステム“ ドアコム”を開発した.本報告では,ドアコムの概要について述べたあと,システムの評価実験とその考察を行う.本研究の貢献は,ドア型のタンジブルインタフェースを用いることにより,ビデオチャットにおける距離感を縮められることを示した点である.
近年,聴覚情報や視覚情報に次ぐ第3 のメディアとして触覚情報が注目されている.特に実世界ハプティクスは,実世界を対象としているために今後の情報技術に大きな発展をもたらすと期待される.触覚伝達を実現することは,人間が空間的な移動を伴わずに感覚だけを送ることを意味している.したがって,電気信号として触覚情報を扱うことができるため情報の加工が容易となり,人間と等しいスケールだけでなく異なるスケールに対しても力情報によるインタラクションを可能にする.従来の視覚情報のみでなく触覚情報を加えることで,操作者により多くの情報を与えることができ,操作の正確性および安全性を向上することができる.本稿ではその有用性を力覚フィードバック付きマイクロマニピュレーションシステムであるナノハプト(Nano-hapto)によって示す.
我々はスマートフォンなどの情報機器の入力インタフェースの拡張としてユーザの手の甲を用いるシステムを提案する.ユーザは手の甲を指先でなぞったりタップしたりすることで機器へのポインティング入力を行う.これによりユーザは入力動作の制御に手の甲に生じる触覚をフィードバックとして利用することが可能になる.提案システムはLEDとフォトダイオードのアレイというシンプルな構成でリストバンド型ウェアラブルデバイスとして実装される.本稿では,提案手法の概要を述べ試作システムについて報告する.
本稿では,不要な部分を削除しながら読書を行える電子書籍インタフェースと,それによって行われるユーザの減算的行為を収集する読書システムを提案する.雑誌や書籍上の不快と思えるような情報は削除できるべきである.また著作者側も読者が不快な思いをしているなら,修正したいと考えているはずである.しかし現在では、そのような意見を知るにはアンケートや意見書以外に方法はなかった.提案するシステムでは,読者は不要な情報を削除できる.さらに削除した部分や読み飛ばした時間など,減算的行為の情報は著作者に送信される.送信された情報の可視化手法として,削除された割合を段階的に変化させた着色を行っている.
新しい料理をいちから生み出すことは難しく,また新しい料理を生み出そうという意識を持つことも難しいことである.本稿では,「決められた手順どおりに作らなければいけない」という料理に対する意識を打破するため,既存のレシピの組み合わせや改変によって新しい料理を生み出すためのツールを提案する.
口笛の演奏では,「あと少し高い(低い)音が出れば」という局面がしばしば生まれる.訓練によって音域を改善できても,自由に扱える音域は2オクターブ程度に留まる.本稿では,そこに立つだけで口笛の音域が拡張される「口笛拡張場」を提案する.システムは演奏者が出そうとしている音をリアルタイムで推測し,口笛の音として出力する.ガンマイクと超指向性スピーカの使用により,何ら道具を装着しない演奏を可能にし,更に演奏者から音が出ているかのような錯覚を聴取者と演奏者自身に与える.本稿ではまた,演奏における支援のあり方とシステムの応用についても論じた.
本論文では自由曲面モデリングとアニメーションのための布製入出力デバイスpSurfaceのデザインと実装,及びアプリケーションについて述べる.pSurfaceはあたかもCADにおける自由曲面のように形状モデリングができるテキスタイルである.過去に提案されてきたキネティックテキスタイルと異なり,pSurfaceは入力と出力の双方の機能を有するため,現在の曲面形状がマイコンにフィードバックされる.これにより,直接的に手で布を変形すると,その形状を維持するようにアクチュエータが働き,あたかも自由曲面を捏ねている感覚でモデリングをすることができる.さらに,一定時間の変形操作を記録し,アニメーションとして再生することも可能である.
近年,視覚・聴覚に次ぐ第3のマルチメディアとして触覚の研究が盛んに行われている.触覚を構成する要素には様々あるが,人間が触覚情報によって環境を知覚する際,なぞり感覚が重要な要素となる.そこで本稿では2軸のリニアモータを用いたハプティックスキャニングシステムによって環境表面情報の抽出・解析を行う.本システムを用いることで広帯域な環境表面の抽出を行うことができる.摩擦力と環境表面粗さの相互関係から相互インピーダンスを定義し,環境表面の識別を行う.また,提案手法の有用性を実験により示す.
失恋は人に深い悲しみなどの大きな影響を与える.同時に, 失恋を乗り越えることで人間は成長すると言われているが,失恋から立ち直る為には長い時間精神を癒す必要があると言われている.本稿では,失恋に代表される辛い過去からの立ち直りが必要なシチュエーションにおいて,使用者の自立を支援するiPhoneアプリケーションを提案する.
本研究では「自分では身体を思い通りに動かせないが,周囲の人が上手く手助けすれば,上手に動くことができる」というロボット(COLUMN)を構築した.COLUMN は3 人の操作者が上手く協調することで転がり,移動することが出来る.思い通りに動けないという「もどかしさ」を媒介にして操作者たちの協調行動を引き出すことが狙いである.本稿ではCOLUMN のコンセプトとシステム概要,その応用可能性について述べる.
本研究では,RFIDシステムを用いたハングル文字学習のためのタンジブルな文字教育玩具「ハングル ガングル」を提案する.本システムでは,母音と子音のハングルパーツブロックを選び,組み合わせることによって,子供と大人が一緒に楽しみながらハングル文字を学習できる.本稿では,提案システムのコンセプト,実装,及び課題について議論する.
本稿は,片手5本の指先に加えた力とその方向を利用したインタフェースに関する研究報告である.指先を硬物体に対して押し付けると,爪の色模様が変化する.そこで,カメラを用いて手指を撮影し,画像処理により指先の色模様変化を検出することで指先の押下判定を行う.また,押下時の指先重心位置の変化により押下方向を検出する.入力装置としてカメラを用いることで,日常空間のあらゆる面を介してディスプレイとのインタラクションを行うことが可能となり,さらに,指先の押下だけでなく押下方向も検出することで,入力自由度の高いインタフェースを実現する.
本デモでは「いま・ここ」にいる感覚を与える新しいバーチャルリアリティ(VR)システムを提案する. 本システムでは, 透過型HMDによるライブの映像から同じ場所で過去に撮影された映像へと, 視覚・運動系の自然なカップリングを維持したまま切り替えることができる. これによりユーザーは「いま・ここ」の現実を体験しているという信念を持ちつつも, 実際はあらかじめ記録された「代わりの」現実を体験することになる. 今後, 本システムを用いることで, 現実への強い信念が我々の知覚や認知にどのように影響するかを明らかにできると考えている.
日本では現在高齢者が急増しており,孤独死や認知症治療が問題となっている.人との対話コミュニケーションがこれらの予防に有効と言われているが,介護分野の人材不足などにより十分な“話し相手”を得られない場合が多い.このような現状に対し,我々は高齢者の“話し相手”となる対話インタフェースの研究開発に取り組んでいる.対話インタフェースの戦略はユーザにさまざまな話題を提供する「話題提示モード」とユーザの話の聴き手となる「傾聴モード」に分かれる.本稿では「傾聴モード」における発話文生成について検討を行った.話題辞書を生成し,話題辞書中の単語に返答することで,音声認識成功時に67%の自然な発話を生成することができ,83%の適切な発話文を生成することができるという結果となった.
LayeredVisionは展示会などで配布されるパンフレットを活用して,デジタル情報にアクセスできるインフォメーションシステムである.パンフレットをLayeredVisionのスリットに差し込むと,ディスプレイ上に差し込んだパンフレットの画像が表示される.利用者から見ると,ディスプレイ上の画像は差し込んだパンフレットと同じ位置に表示される.ユーザはディスプレイ上の画像にタッチすることで,付加情報にアクセスできる.例えば,文字部分の他言語切替えや画像部分の動画再生,あるいは,お気に入りの画像部分を保存するなどの機能が,簡単に行える.LayeredVisionの実現方法とその機能に関して説明する.
来る未来では、実世界にある多くのインテリジェントなオブジェクトとインタラクションが出来ると考えられ、それらオブジェクトの選択を容易にする手法の開発は重要である。現在までに提案された手法の中では、ダイレクトポインティングが直感的かつ容易な選択手法であると言えるが、ユーザの視界に入らないオブジェクトは選択出来ないという問題がある。我々はこの問題を解決するための手法を用いたプロトタイプを開発した。本システムはユーザのポインティングジェスチャを距離カメラにより認識する。天井に取り付けたPTZカメラは認識したポインティングの方向を向き、取得した画像をユーザのモバイルデバイスに送る。ユーザはモバイルデバイスに表示された画像からオブジェクトの位置をクリックすることで、直接見えないオブジェクトを選択することが可能である。本稿ではこの選択手法と実装したプロトタイプについて詳しく述べる。
本研究では、使い心地と円滑な授業の支援に着目した電子黒板ソフトウェアである「AKI 黒板 Edu」を提案、実装した。本システムはフリーソフトウェアとして歴史のあるドローツールAKI 黒板シリーズの開発経験を踏まえ、電子機器に不慣れな教員にも扱えるように工夫した。リアリティを持たせるために、チョーク機能を使って書き込む際に粉が落ちるようにし、実世界に近い音がなるように、木製の棒をチョークデバイスとして用いる。また、円滑に授業を行えるよう、操作デバイスを利き手ではない手で持ったiPhoneで行えるようになっていて、各種機能の切り換えや事前に準備した授業教材の呼び出しを行える。本研究は、先進的な教師が既存の電子黒板に替わって活用できるようにすることを目指している。
本研究では,カメラ画像による紙楽譜認識を用いた演奏メディアの提案を行う.演奏メディアとは,例えば,レコードやCDのように記録された音楽を用いて演奏できるメディアである.本研究では,紙の楽譜をそのまま演奏に用いる,直感的な演奏メディアを提案する.この演奏メディアでは,紙楽譜の楽譜としての視覚性,素材としての特性を活かし,カメラに対して楽譜を動かすことで記録された音楽を演奏することが出来る.具体的に本研究では,文章画像検索法LLAHを応用し,カメラ画像からマーカレスの紙楽譜に対してその種類や姿勢を検出する楽譜画像検索法を提案し,それを用いて楽譜と音とを対応付け,演奏できるシステムを提案する.また,システムを用いた演奏方法,演奏に必要なビジュアライジングの方法を検討する.今後,楽譜の折れや重なりの認識方法などを検討することで,より直感的な演奏メディアとなり,様々な人の音楽創作活動を支援するプラットフォームとして価値のあるものになる.
本研究では,電子デバイスやマーカを取り付けることなく紙の変形を検知し,その変形を映像操作に利用した入出力インタフェースを提案する.これは,物体に直接映像投影を行うことで拡張現実感を体験する際につきまとう,特殊な装置の装着やディスプレイを介することによる不自由さ・不自然さを解消し,より自然なインタラクションを促す.今回は,アクティブステレオ法を用いて変形を取得し,紙の特性である変形の容易さと,素材の有する張りを活かした映像操作インタフェースを実装した.このシステムでは,紙をつついたり,なでたり,息を吹きかけたりして紙を変形させることで動的に映像が変化する.ただの紙が映像を操作するためのインタフェースとなり,人に情報を直接操作する体験を提供する.
本稿では赤外光の波長の差異を利用して複数の情報を提示することのできるシステムを提案する.提案システムはプロジェクタ,赤外カメラ,異なる 2 波長の赤外 LED ライトを備えた手持ち型の端末である.このシステムを,波長によって異なるパタンを返すマーカに向けて照らすことで画像をそのマーカ上に投影する.このとき,照射する赤外の波長に応じて,投影する画像を切り替えることができる.
本稿はカメラから得られた実画像に対して遠近感や立体感を残したノンフォトリアリスティックレンダリング(NPR)をリアルタイムで実施するシステム「匠深-TAKUMI-」を提案する.これまで静止画に対して多くのNPR システムが提案されてきたが,画面全体に対し一様な輪郭線抽出やトーンの単純化を実施するため,遠近感や立体感が損なわれるという課題があった.そこで,本研究では実画像と対応した現実環境の深度情報を用いることでこの問題の解決を図る.アニメ画における輪郭線の遠近の描き分けに深度情報に基づく平滑化フィルタを用い,トーンの単純化行程における適切な平滑化に被写体の法線情報に基づいた平滑化フィルタを利用する.実画像と深度情報の取得にはKinectを利用し,GPU を利用することでフレームレート30fps でのシステムの動作を確認している.本システムの利用により,実動画像からのアニメ生成等やエンタテインメントへの応用が期待される.
遠隔間でのコミュニケーションは視覚や聴覚を用いたものが広く普及している.一方我々は相手が間近にいる場合,触覚を用いることで効果的なコミュニケーションを行うことができる.しかし,触覚コミュニケーションは相手が間近にいないと行うことができない.本稿では触覚コミュニケーションを最も頻繁に行うと考えられる夫婦や恋人など親密な者同士を対象とした遠隔触覚コミュニケーションデバイスを提案する.デバイス設計において,我々は親密な者同士の深い愛情表現である接吻に着目し,接吻に基づいた触覚コミュニケーションデバイスを製作する.
本論文では,ユビキタスコンピューティング社会における「ウェアラブル型インターフェース」として,表面筋電位を利用した入力インタフェースの提案・考察を行う.識別器にサポートベクタマシンを利用し,前腕部から計測した表面筋電位信号の各指の信号パターンを基に分離を行う.高い識別結果が得られ,動作毎に力や速度の大きく異なる各指動作においてサポートベクターマシンの有効性を示した.また,このインタフェースの入力を音として出力する筋電楽器のプロトタイプを作成し,リアルタイムにおける精度,操作性の検証を行った.識別精度について各動作においても安定しており,立った状態などでも認識精度に影響はなく場所を問わずに使えることを示した.
本研究では,カメラ情報とデータグローブのセンサ情報を用いてディスプレイ上の手の位置に仮想パペットを重畳し提示する複合現実感システムを提案する.カメラ情報より手の位置情報を検出し,データグローブの加速度センサと曲げセンサから得られる情報を用いて指の屈曲度合いと手の動きを検出する.これにより手の細かな動きを検出しパペットの動作に反映させる.提案システムを用いることで,初心者であっても仮想パペットを直感的に操作できる入力インタフェースを実現した.
机上に置かれた書類の上に携帯型情報端末を重ね,端末内への書類の取り込みを行うシステムAnkiPadを提案する.机の上部に置かれたカメラで机上の画像を記録し,端末を書類の上に置いた場合に,そのディスプレイ領域を認識し,置く前の画像からその領域を切り出して端末に転送することで,素早い取り込みを実現する.
著者らは接近させることで相互にインタラクションをするキューブ型のデバイス群“MixCube”を制作している.それぞれのキューブは赤外線通信によって別のキューブの接近を非接触に認識し,周囲の状況に対応した自らが発光する色を変化させる.その色の変化はJ. H. コンウェイのライフゲームのルールを基にして行われる.並べられた多数のキューブの色が半永続的に移り変わっていく様子すると同時に,ユーザーがキューブをを直接手で触って動かすことで変化のパターンを変えて遊ぶことが出来る.本稿では,MixCubeの設計,実装に関して報告する.
著者らはソレノイド機構によって上下運動をする円柱状の可動ユニットを利用した箱型の動的触覚呈示デバイス「PocoPoco(ポコポコ)」を制作している.PocoPocoは上面に手をかざすことで主に触角のみで情報の入出力ができるデバイスである.このデバイスは様々な用途で汎用的に使用できるインタフェースであるが,本稿では音楽演奏インタフェースとして用いることを提案する.
我々は手すりを伝うような感覚で直感的に目的地に導く触覚ナビゲーションの研究に取り組んでいる.本発表では無線によりコントロールができるプロトタイプを設計及び構築し,ユーザーによる評価実験を行った.その結果,被験者をルート通りに誘導することに成功した.
ビデオを用いてアウェアネス支援を行うと,プライバシー侵害の問題が発生するが,それ以外の従来の方法では身体動作を細かく伝えることができず,人としての存在感に乏しい.そこで,本稿では,ユーザの動作を再現するアバタによって,存在を共有するシステムについて提案する.このシステムでは,ユーザの顔や手を細かくトラッキングして得た身体動作の情報をCGのアバタで再現し提示する.身体動作のみを抜き出しアバタで提示することで,プライバシー侵害の問題を軽減できる.提案したシステムを日常的に運用した結果,存在感をビデオに近い形で伝えられる可能性があることが分かった.
本研究では,没入空間内の観察者と遠隔地の移動者との間に,共に外出している感覚を与えるシステムを提案する.ヘッドマウントディスプレイによって実現される没入空間内で観察者が首振り,移動等を行うことで移動者側のヘルメットに搭載されたカメラが回転,ズームする.これにより,観察者は移動者と共に外出している感覚が持てる.また,顔の向きに合わせて,移動者のヘルメットに搭載されたLEDバーが発光することで,観察者は移動者に対し直観的な方向指示や感情を表現することができ,移動者側も観察者と共に行動している感覚が持てる.
本研究では,不随意で,日常生活で自覚されにくい活動による信号を計測し提示することで,被計測者や観察者が知覚可能になり,新たなインタラクションを誘発する拡張生体メディア技術の提案を行う.ここでは,人の生体信号の一つである心拍を,光電脈波計により計測し,実時間で体表上での提示を可能にする,装着型光提示インタフェースの開発について報告する.また,このような生体信号の提示には情報の秘匿性も考慮する必要がある.そこで,可視光・不可視光による提示インタフェースの開発についても述べる.
我々は、補色多重化偏光投影を利用した映像情報隠蔽手法を提案し、ユーザのつくる現実の影にのみ情報が浮かび上がるインタラクティブテーブルトップを構築する。 このとき、影以外の領域(影を作る遮蔽物・テーブルに置かれた書類・影以外のテーブル表面等)には、単一白色光が投影表示される。これは、3台のプロジェクタ(2台はテーブルトップ上方に、残り1台は背面に設置)より補色画像を投影することで実現する。上方の2台のプロジェクタの前面には偏光フィルタを、それぞれの偏光方向が直交するように配置する。さらに、スクリーン上にも偏光フィルムを、上方プロジェクタの内の1台の偏光方向と一致するように接着する。一般的に、インタラクティブテーブルトップを日常空間に導入する場合、ユーザの意図しない行動によってアプリケーションが起動しないよう留意する必要がある。しかしながら、ユーザのテーブルトップ上でのアクションが意図したものかそうでないかを完璧に識別することは困難である。提案システムでは、認識処理を全く採用していないことから、このような問題が生じないという利点がある。本稿では、プロトタイプを用いて行った提案手法の実証実験について報告する。
本研究では,受動歩行の原理に基づいた,人間と協調して二足歩行する乗物を提案する.受動歩行の仕組みを利用し,自転車やバイクのように人間のバランス維持能力を積極的に利用する二足歩行型の乗物の基本構造について述べ,試作機の試乗結果を報告する.
著者らは今までに身体接触による楽器演奏インタフェースや,二つのコンデンサマイクによる音源位置検出を利用した音楽演奏インタフェースの提案をしてきた.本稿ではこれまでの知見を利用し,一次元状での音源の位置情報を特定することで,ユーザにおける手合わせ位置の左右を検出する.これを応用したアプリケーションとして,プレイヤー同士の手拍子の音を入力に利用する「触れ合い」に注目した手遊びゲームの提案を行う.
本研究では, 波紋・水滴を用いた音楽演奏の為のインタラクティブ・アート作品, “On The Waves”を制作した. 水滴の落とされた位置, および発生する波紋により, 音響表現を実現し, 複数の波紋同士の干渉により, リズム音が生成される. “On The Waves”は, 複数の体験者が水滴を落とすという単純な行為によって, 即興的なアンサンブル演奏体験を可能とする.
本研究では,マルチモーダルなインタフェースによって冬の憧憬を想起させるような雪の仮想体験システムを構築する.雪との触れ合いは,冷たさなど特に感覚的な記憶に残る体験であり,雪の仮想体験には感覚的なインタフェースが重要であると考えた.本作品では,雪の体験を感覚の観点から分析して,視覚(映像体験)・触覚(冷温感覚)・身体性(全身を使った動作)に着目した.これらの体験を実現するために,指先に装着した小型ペルチェ素子をPWM方式で制御する「指先冷感デバイス」と,床面のクッション型スクリーンを雪原に見立て,ビジョンベースでユーザの動作を観測し,手を振ると雪が降り,クッションに倒れこむとシルエットが残るインタフェース「雪原クッション」を開発した.雪国出身者も,あまり雪に触れたことのない人でも,雪をイメージして楽しめる体感的なコンテンツを目指した.
掌をタッチパネルとして利用するための手法を提案する。スマートフォン等の小型タッチパネルの急速な普及に伴い、これまで様々な入力方式のタッチパネルが提案されてきた。例えば、画面の裏面や両面から入力する手法、画面を振動させて触覚フィードバックするもの等である。これらの手法は画面に触れて操作するため、その界面は画面と指先であると言える。対して我々は、画面の背面に電気触覚ディスプレイを貼付し、画面の視覚情報(ボタン・アイコン等)と前面への接触を触刺激に変換し、デバイスを把持した掌に提示する。これによって界面は掌と指先になり、あたかも指先で掌に触れながら操作するタッチパネルが制作できる。