情報処理学会 インタラクション2025

小型軽量な腕時計型慣性運動センサデバイスを使用し，和太鼓における利き手側の演奏運動をリアルタイムにて可視化する情報処理システムを製作した．和太鼓の演奏では，リズムを管理するような指揮者が存在しない．さらに，表情や掛け声も演奏で重要な要素であるため，互いの打ち込み動作を確認しづらくリズムを合わせることが困難である．そこで，本研究では和太鼓演奏でリズムキープをすることが多い，最も小型の和太鼓である締太鼓を演奏者に打ち込み，リズムと運動パラメータをフィードバックすることで，安定したリズムを打ち込むことができるか検証した．ここで，演奏者が打ち込むリズムのパラメータとしては上腕ひねり角速度の時間二階微分した角躍度と手首上面鉛直方向の加速度2階微分の値の積の絶対値を用いており，音響と比較結果，時刻差分は強弱に関わらず± 10msec 以内に収まっていた．そして，演奏者の流派が異なっても視認が容易となる画面表示デザインについて，グラフや数値による無機的な表現と，円を用いた感性的な表現を組み合わせた運動診断システムを制作し，演奏者による比較実験を実施した．