情報処理学会 インタラクション2025

文献情報

タイトル
ブルッブルン...「オプティカルフロー歩いて感じる振動で」―光学的流動の触覚的表現―
著者
  • 薙野 智哉(東京電機大)
  • 阿部 伊吹(東京電機大)
  • 下川 隼輝(東京電機大)
  • 戸塚 海太(東京電機大)
  • 武川 直樹(東京電機大)
  • 森田 慎一郎(東京電機大)
  • 小林 春美(東京電機大)
  • 東 孝文(東京電機大)
  • 中村 明生(東京電機大)
アブストラクト
説明画像

本研究では,ユーザの歩行時に,自己の進行方向や回転方向の情報を振動刺激の流れで表現し,ユーザに認識せしめることが可能か,を目的とする.我々は,歩行時に発生する周囲の障害物との距離変化に基づいた振動刺激をユーザに提示する空間知覚支援システム(Vibro-eyesight by Walking; VieW)を開発している.しかし,これまでは,振動による方向情報の表現が不十分であるため,ユーザと障害物との相対的な移動の認知が難しかった.そこで本研究では,視覚における空間認知において重要な役割を果たす「光学的流動」を,触覚に刺激による仮現運動として表現する手法を提案する.ユーザの動きによる障害物を含む空間との相対的な位置変化を振動刺激の流れにより認知できることが期待される.このコンセプトを実現する実験システムを構築し,実験では,歩行中のユーザが提示される振動刺激の流れを知覚できるか,また,移動方向と提示される光学的流動を模擬した振動刺激の流れの方向が一致するかを検証する.実験の結果,移動方向と整合する振動刺激の流れの提示により,歩行中のユーザはその流れを自分の動きと一致していることが知覚できた.すなわち,ユーザは自己の移動方向の情報を振動の流れにより,認識できることが示唆された.一方,実験システムから提示されるパターンの生成精度については課題が残った.ユーザの左右移動に対しては正確な振動刺激の流れを提示できたが,接近,後退した場合,歩行中の体の横揺れ,頭部の回転により,歩行方向に一致する振動刺激の提示できていなかった.ユーザの歩行中の外乱を抑制すれば,正確な振動の流れパターンをユーザに提示することが今後の課題である.

雑誌名
インタラクション2025論文集
© 2025 情報処理学会
論文ID
3A-16
ページ
1071-1076
発行日
2025年2月23日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
住所 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台一丁目5番地 化学会館4F
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