情報処理学会 インタラクション2025

文献情報

タイトル
HMDユーザの探索行動支援に向けた目立たない両眼相補的色振動による視線誘導
著者
  • 沈 有方(東大)
  • 土佐 凜斗(筑波大)
  • 畑田 裕二(東大)
  • 廣井 裕一(クラスターメタバース研)
  • 平木 剛史(筑波大/クラスターメタバース研)
  • 苗村 健(東大)
アブストラクト
説明画像

VR コンテンツにおいて,没入感を損なわずにユーザの探索行動を支援できるため,コンテンツの見た目を知覚的に大きく変化させずに視線誘導を行うことは重要である.そこで,高速な色度変化は知覚できないという人間の視覚特性を利用した,色振動による視線誘導が研究されてきた.しかし,これらの研究はディスプレイ環境でのみ行われており,HMD 環境での有効性は未検証である.本研究では,グレースケール画像において,ディスプレイ環境下にて用いられた色振動による視線誘導の HMD 環境への適用可能性を検証した.また,新たに HMD の左右ディスプレイにおいて逆位相で振動する相補的色振動を提案し,視線を誘導するための適切なパラメータおよび探索タスクにおける効果を検証した.実験の結果,HMD 環境下においても色振動による視線誘導は誘導のない条件と比較して有意に探索時間と探索領域を減少させ,コンテンツの自然性を保つことができた.また,相補的色振動は従来の同期的色振動と比較して有意にコンテンツの自然性を保つことができた.これにより,色振動による視線誘導を用いた探索行動支援は HMD 環境下においても有効であることが示され,相補的色振動は従来の同期的色振動に比べて目立たないことが明らかとなった.

雑誌名
インタラクション2025論文集
© 2025 情報処理学会
論文ID
3B-40
ページ
1183-1188
発行日
2025年2月23日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
住所 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台一丁目5番地 化学会館4F
TEL. 東京 (03) 3518-8374 (代表)
E-mail