情報処理学会 インタラクション2025

文献情報

タイトル
UltrasonicWhisper+: 超音波によるヒアラブルデバイスへの可聴音生成攻撃手法の提案
著者
  • 渡邉 拓貴(はこだて未来大)
  • 寺田 努(神戸大)
アブストラクト
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多くのイヤホン型デバイス(ヒアラブルデバイス)は,外部の音を取り込んでユーザに提示できる外部音取り込み機能を有している.一方で,近年の研究によりマイクの非線形性を利用することで,スマートスピーカ等へ超音波を用いて不正に音声入力できることが示されている.同様の攻撃が,外向きマイクを有するヒアラブルデバイスに適用可能と考えられる.つまり,攻撃者から超音波で送信された情報がヒアラブルデバイス内部で可聴音に復調され,内向きスピーカを通してユーザに情報提示できる可能性がある.この攻撃により,攻撃者はヒアラブルデバイスからの指示を装った虚偽の指示をユーザへ提示したり,空間からの音を装った虚偽の音情報を提示できる可能性がある.本研究では,提案手法による超音波攻撃の可能性を評価した.5種類のヒアラブルデバイスにより提案手法で復調された音質を評価した結果,平均MCD(Mel-Cepstral Distortion)は7.90,MOS(Mean Opinion Score)は2.53であった.また,ヒアラブルデバイスからの指示を装った超音波攻撃により実験参加者がどの程度騙されるかを評価した結果,14.9%の虚偽の指示に従うことが確認された.さらに,周囲空間からの音を装った超音波攻撃により実験参加者がどの程度騙されるか評価した結果,4種類の音源で平均28.4%の虚偽の音を受容することがわかった.なお,上記実験では実験参加者は超音波攻撃があり得ること,それがどのような音かは事前に知っていた状態であり,超音波攻撃の危険性を軽減する対策が必要であることがわかった.

雑誌名
インタラクション2025論文集
© 2025 情報処理学会
論文ID
INT25008
ページ
70-79
発行日
2025年2月23日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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