我々は,遠隔地の対話者の接近を強調するシステムとして,同期ズームカメラ,同期移動ディスプレイを開発した.同期ズームカメラは,遠隔地の対話者の前進に連動して,遠隔地のカメラをズームインさせる.同期移動ディスプレイは,遠隔地の対話者の移動に連動して,ディスプレイを前後に移動させる.我々は実験を行い,これらのシステムが社会的テレプレゼンスを強化することを観測した.単なる人の移動と,単なるカメラのズームには効果がなかったが,同期ズームカメラには効果があった.また,同期移動ディスプレイと単なるディスプレイの移動にはどちらにも効果があった.
モバイルデバイス上でリアルタイムで動作する``Augmented Reality''を実現する,高速でメモリ効率の良い特定物体認識手法を提案する.特定物体認識とは,入力画像に映る対象と,同一の物体が映っている画像をデータベース内から探し出す処理のことであり,中でもデータベース中の参照画像と,入力画像との対応点を求めることで画像検索を行う手法がよく知られる.この対応点の情報から,参照画像に対する入力画像の相対位置関係が計算できるため,この手法はマーカーレスARに広く応用されている.しかしながら,計算能力の低いモバイルデバイス上で実現するためには,次の2つの課題が残っている.一つ目の課題は,対応点の探索のために必要な局所特徴量の計算コストが大きい点である.二つ目の課題は,特定物体認識に要するデータベースのサイズや検索時間が大きくなり過ぎる点である.提案手法は,これらの2つの課題を解決する.提案手法を実装し,実行速度,メモリ効率について評価実験を行った.結果,モバイルデバイス上で実装した提案手法は,サーバ側で物体認識を行うタイプの既存のクライアント/サーバ型ARシステムと同等の性能を示した.
紙や布を指で縮めようとしたときに発生する「撓(たわ)み」のメタファを,画面のスクロールおよびズーム操作に適用したインタラクション手法を提案する.この手法は画面上のコンテンツを伸縮性の柔らかい材質と捉えており,通常のスクロールでは画面外へ押し出されていた領域が,コンテンツが歪められることにより画面内に残る.これにより画面内に残った領域を確認しながら次の操作へ移行することができるため,無駄なスクロールを減らすことができる.このインタラクション手法を評価するため,地図上のオブジェクトを比較して獲得するタスクを用いて,通常のドラッグ操作によるスクロールと比較した.その結果,提案手法は単純な移動では通常のスクロールと同様のパフォーマンスであり,元いた場所に戻る場合には,通常のスクロールに比べて操作量が少なく高速であることがわかった.
仮想物体とのインタラクションにおいて、仮想物体により高い現実感を持たせるための拡張現実感の研究が盛んに行われている。視覚情報に加え、聴覚や触覚といった感覚を仮想環境に応じて呈示することで、より高い現実感を得られると考えられる。我々は、特に触感覚に着目し、シースルー型のHMDを装着したユーザの手の上に仮想キャラクタを重畳して表示し、そのキャラクタの動きに対応した触感覚を呈示するシステムを構築した。本システムはユーザの手の姿勢を画像処理によってリアルタイムに認識し、動作に応じた仮想キャラクタの触感覚を、触覚グローブを通して呈示することが可能である。本論文では、ユーザが仮想キャラクタに直接触れた際の多感覚へのフィードバック呈示が可能なインタラクションシステムの構築と、ユーザ実験による評価について述べる。
本研究は、紙の書籍をめくるのに近い感覚で電子書籍をプラウズできるインタフェース「Flip Interface」と、それを用いた新しい読書体験のインタラクションについての提案である。静電容量センシングの電極として銀インクを印刷した複数のフィルムを複数枚積み重ねたものをセンサとし、これをはじくことで紙をめくるようにページをブラウズできる。紙の書籍と人の関係を単に電子書籍において再現するのではなく、両者の関係から抽出した要素を電子書籍ならではのインタラクションとして提案する。プロトタイプを用いた質的調査の結果より、タッチパネルによる電子ブックリーダーよりも指先の感覚に訴え、質感豊かな体験をもたらすインタフェースとなっていることが検証できた。
本稿では,プログラミングの知識や経験が乏しいユーザでも簡単にロボットプログラミングが行える手法を提案する.提案手法は,物理的なロボットをマルチタッチ入力可能なテーブルトップ環境に導入することにより,ロボットへの直接的な入力のみでプログラミングを可能にする.プログラミング経験の無い大学生を被験者とする評価実験を通して,提案手法により被験者がロボットの動きを簡単にプログラムで表現できるようになるなど,直感的なプログラミングを行えることが示唆された.
味覚器に電気刺激を与えると,電気味覚と呼ばれる味覚を呼び起こすことができる.本稿ではこの特性を利用し,通常味覚器では感知できない情報を味覚で感知可能にする手法を提案する.各種センサからの入力信号を出力電圧または電圧提示パターンに置き換えることにより,二酸化炭素の濃度などを味覚で擬似的に受容することができる.また電気を飲食できる装置と組み合わせて活用することで,舌で感知しきれない液体の濃度の違いなどを弁別することができる.
本研究では撫でる,かきむしるなど様々な動作を想起させる毛状物体の特性に着目し,毛状表面での映像提示とマルチタッチ認識が可能な大画面毛状マルチタッチディスプレイ“FuSA2 Touch Display”を提案する.毛束の表面に提示された映像に対して,触れるだけでなく,毛並みに沿って撫でたり,毛束をかきむしったりする新しいマルチタッチインタラクションを可能としている.このシステムでは,プラスチック製光ファイバを毛状物体として用い,プロジェクタによる映像提示と赤外線を利用したタッチ認識を実現している.ディスプレイはファイバ束と赤外線LEDを含むモジュール単位で構成し,大画面化が可能となっている.今回は,24インチ相当のディスプレイを実装し,表示特性を確認した.
近年,大型ディスプレイやプロジェクタスクリーンなどの出力デバイスが普及し,オフィスや会議室など様々な場所で共有ディスプレイとして利用されている.共有ディスプレイは複数人が情報を共有することに有効であるが,それを用いた協調作業を行うときは複数人での入力に対応した環境が必要な場合がある.本研究では,共有ディスプレイを各ユーザの携帯端末のタッチパネル上にカメラで映し,映された映像上でタッチ操作を行うことにより,共有ディスプレイに対する操作を行えるような入力環境を構築する.本環境では,共有ディスプレイ上に描画されたマーカの位置および姿勢をカメラから読み取り,マーカの位置とユーザがタッチパネル上で操作した位置から計算した画面上での相対的な位置情報を共有端末に送信し,対応する操作イベントを発生させる.これにより,各ユーザは離れた距離にある共有ディスプレイに対してタッチパネルを用いた直感的な入力で協調作業を行える.
本稿では,触覚だけでなく視覚的にも「硬軟感」を変化させることができる毛状の触覚インタフェースを提案する.このインタフェースは,ハリネズミの毛の変化をメタファとして利用している.インタフェースはテグスにビーズを通して連節形状にした「毛」を格子状に配置し、各毛のテグスを裏側からソレノイドで引っ張ることによって、毛の角度や硬軟感を変化させることができる.
認知症患者が,精神症状により常同言語や大声による発声を繰り返すときに,症状の緩和を目的に,患者の感情に寄り添い,静穏化する音楽を奏でる療法がある.しかし,数限られた療法士が常に施設で療法を行うことは難しい.そこで本研究では,患者の発声をドレミなどの音高に変換し,変換された音高をもとに患者の不安定な感情に寄り添うであろう和音から,静穏化するための和音までを自動的に出力するシステムの提案を行う.このシステムにより音楽の知識が乏しい介護者などでも,患者の継続する発声に対して容易に適切な伴奏を奏でることができる.
本稿では,情報の発信に加えて「情報交換の場」としても利用可能な掲示板について考える.これを実現する方法として,筆者らは提示情報量の異なるディスプレイを併用する電子掲示板を提案する.これは,従来の掲示板と同等な機能を持つ提示画面と,情報の操作・トピックの詳細表示を行う操作画面を持つ.前者は,掲示内容を素早く把握できるように,情報量を絞って提示する.また,後者は,詳細な情報の確認や追記を行えるように,必要に応じて多くの情報を提示できるようにする.これらの特徴と機能を備えた電子掲示板システムを,操作画面にジェスチャ入力も可能なタッチディスプレイを用いて試作した.
減算合成型シンセサイザを用いることにより様々な音色を作ることができるが,それらのパラメータの操作と音色の関係は複雑であり,意図した音色を合成するのは容易ではない.本研究では,印象語に基づいて,ユーザの望む音色を減算合成型シンセサイザを用いて合成することを目的とし,音色の印象とシンセサイザのパラメータとの関連を分析した.その結果,音色に関する印象を4つの因子に絞り込むことができ,シンセサイザのパラメータと音色の印象との対応関係を見出すことができた.
自動車内の会話は前後の座席間で話題が分断されやすいことが知られている.著者らはこの会話分断の原因は「各乗員の視野の差異による認知フレームの分割と多重化」にあるのではないかと考える.そこで,運転手以外の乗員の視野が異なる3つの条件を設定し,自動車内会話を記録した.記録した映像および音声の分析や被験者へのインタビュー調査によって,乗員の視野の違いが自動車内会話に与える影響を調査し,前記仮説を検証する.
音声の狭帯域伝送技術として発明されたVOCODERは,特有の品質劣化とクロス合成が簡単にできることを活かして今では音楽におけるエフェクターとしての応用の方が有名になっている.ここでは,元の音声の品質をほとんど劣化させない分析合成を可能とするVOCODERの一種であるTANDEM-STRAIGHTを用いたCross synthesis VOCODERを提案する.会場では,Matlabを用いたプロトタイプとそのGUIを紹介する.
従来のウェアラブルコンピューティングのシステムでは,有線式では煩雑なケーブルの問題,無線式では各デバイスへの電源供給問題がそれぞれ存在する.著者らはこれまでに導電性の布を用いた衣服により,電源供給を導電性衣服から行って無線通信を行うことで,双方の問題を解決することができる方法を提案してきた.また導電布は、その高い導電率から人体表面を一定電位に保つ効果があり,ハムノイズ等の外来ノイズの除去に有効である.本稿では,この導電性衣服を用いて,ユーザが筋肉を動かす際に発生する表面筋電位信号を高精度かつ多チャンネルで無線測定するシステムの実装について述べる.また実際に前腕の筋電位を10kHzで4点測定した結果についても述べる.
本稿では,行動解析を目的として開発した大規模行動情報共有システム「ALKAN2」について説明する.ALKAN2では,ユーザが行った行動の3軸加速度データと動画像を収集し,それらを他ユーザにも閲覧できる環境を用意する.ユーザは,他のユーザの行った動作を模倣し,サーバに模倣したデータを送信することにより,その動作がどの程度似ているかを判定することができる.また,他のユーザの行った動作に対して評価を行うことができる.それにより,より多くの行動情報が収集できると期待される.
本稿では遠隔コミュニケーションの為の肩乗りアバタを提案する.遠隔地のロボットを操作して自分の存在感を提示しながらコミュニケーションを可能とするテレイグジスタンスに関する研究が行われている.しかしながら,存在感を提示するロボットのサイズによっては場所をとる一方で,小型のロボットでは手で持たなければならないといった問題が生じる.本研究では,現地のユーザが肩にアバタを装着することにより存在感を提示するロボットを実現する.アバタ装着者と同じ視線映像を共有することで遠隔の操作者がアバタ装着者と一緒にいるような感覚を与え,隣り合わせでの対話や耳元でささやく事によ り円滑なコミュニケーションを実現する.
これまでのスイッチによる複数個の照明の制御は,ユーザの点灯を望むライトに対応するスイッチを押すことにより操作するが,この方法はスイッチの位置とライトの位置の対応関係がわかり辛く,意図しないライトをつけてしまうことがある。また近年LEDや有機ELなどが照明に使われる機会が増し,従来の調光とは異なる操作が求められる。そこで身体動作と照明との対応関係に注目し,多数の照明や機器の操作に関する提案のひとつとしてフィジカルディマーを制作した。身体の動作を抽出するインタフェースとして,フィンガージェスチャコントローラとグリップコントローラの2種類を制作した。またこのシステムは,ひとつのインタフェースでひとつの照明をコントロールするだけでなく,複数の照明を直感的にコントロールすることが出来る。更に照明モジュールは互いの状況に応じて無線通信にて連携し調光できる。
本稿では,他人に知られたくない本音を目に見えない空白文字で表現し,記述者本人あるいは許可されたメンバのみが閲覧できるシステムを開発した.本音を記したテキストや画像・動画は,ローカルのファイルに暗号化されて保存され,その相対パスを全角・半角Spaceの羅列に変換したものがクリップボードに送られる.ユーザはこれをSNSやTwitter等のWebサービスで「建前のあとに」貼りつける.ブラウザの拡張機能によってこれを復元し,選ばれたユーザのみが本音を閲覧できる.
本稿では,ユーザが他者に親近感を感じられるようになることを目指し,感情実況・閲覧インタフェースを実装した.感情と色彩をマッピングしたPlutchikのエモーションホイールモデルを利用したことで,感情実況インタフェースではより直感的に感情を実況できるようになった.また感情閲覧インタフェースでは,感情を色に置き換えることによって1画素にまで感情情報を凝縮することを実現した.なお,相互に感情を閲覧している関係にあった場合のみ,その感情は点滅するようになっている.
本稿第二著者らは紐のメタファでシークバーを拡張したSeekRopeを提案してきた.時間軸を持たない平面上に,時間軸を表すロープを配置することにより直感的な音楽鑑賞を行える.従来の音楽制作ツールは,横軸に一方向の時間軸を持った波形表示のインタフェースであるが,本稿では,このSeekRopeを発展させ,音楽制作の新しいスタイルを提案する.
本稿では携帯端末上でプログラムを編集・実行するシステムを提案する.Android アプリケーションとして実装した提案システムでは,絵文字によるソースコード記述が行われ,一画面あたりの情報量を増やしている.また,プログラム入力インタフェースでは,ジェスチャ認識による関数入力が行える.プログラムをメールとして送信するとインタラクティブなデコレーションメールとなる.
本稿で提案するプログラミング言語HMMMML3における超好意的解釈コンパイラは,スペルミスを大幅に許容するとともに,複数の解釈が成り立つ場合はその全ての解釈を実行し,タブ切り替えによってユーザに選択させる.プログラムの正確さをスコア化しランキングサイトにアップロードする機能も持つ.全てのプログラムはHTML5上で実行されるので,スマートフォンでも実行可能である.これにより,プログラミングする過程においても,その成果を見せるときも,ユーザはより他人を意識し,それがモチベーション向上につながると考えている.
定点カメラによる人の行動分析は長期になるほど得られる情報は多くなる一方で,人間が全てを閲覧することは困難になる.本論文では,映像中変化のあった領域に着目し,「変化のあった領域」「変化のあった時間」「類似映像検索」を実現することにより,長期の映像から,分析すべき映像を絞って閲覧することを支援するインタフェースを示す.
写真に対しタグを付けて共有することで,他者と写真への意味付けを共有することができる.本稿では,撮影時の端末のセンサデータ(緯度・経度・方位角・仰俯角)と,他者の付けたタグを利用することで,写真に付加するタグを推薦するシステムの提案を行う.更に,適切なタグを推薦するため,システムのタグの推薦精度の評価実験を行った.その結果,およそ30個のタグ付けが行われれば,約90%の精度で正しいタグが推薦されることが分かった.本研究により,写真撮影時に適切なタグ推薦を行うことができるようになると考えられる.
近年、スポーツ学習を扱う教育システムは様々な現場で求められており、数多くの学習支援システムが提案されている。しかし、既存のシステムは、学習者がスポーツを行った後に、システムによって評価された自分のフォームを見ることで認識できるものであり、リアルタイムに評価し、フォームの改善を支援するシステムの開発は行われていない。そこで、本研究では弓道を学習題材とし音を用いて、学習者がフォームのずれをリアルタイムに認識できるシステムの開発を目的とした。具体的には、まず弓道の一連の動作に対し画像処理を行い、学習者の画像から左右の手と肘の座標を抽出した。次に、抽出した画像の座標間で高さの比較を行い、2種類の音が学習者のフォームのずれの程度に合わせて流れるようにした。そして開発したシステムの検証実験を通して、学習者に対しリアルタイムにフォームのずれを認識させることが可能となった。その結果、システムの有用性を示すことができた。
成分の位相は音色に影響を与えないという常識は,第一次近似としては正しい.しかし,ニアフィールドリスニングやヘッドフォンでの受聴等の状況では,成分の相対位相を操作することにより,音の『肌触り』とでも表現すべき属性のバリエーションを元の音色に加えることができる.ここでは,TANDEM-STRAIGHTの拡張機能として実現した,成分の振幅・周波数・位相制御インタフェースを紹介する.
KJ法における活動記録をアノト方式のデジタルペンを用いて効率的に電子化することを目的としたグループKJ法システム(GKJ)が提案されている。従来のGKJシステムではデジタルペン筆記を用いたラベル位置の取り込みや階層構造の編集は行えるが,より高度な編集作業をペン操作のみで行うことができなかった。本研究では筆記情報をパターン認識することにより、ラベルに対する情報付加や高度な編集操作をペン操作のみで行えるようにする。GKJシステムを拡張し,ラベル内の文字の色・拡大・関係線・衆目評価をペン操作を用いて行えるようにした.
本報告では,2Dポインティングデバイスによる3Dユーザインタフェースを提案する.3自由度の回転,2自由度の平面の指定,2自由度の平面上の移動という三つのフェーズによって,3Dダイレクトマニピュレーションが実現している.本方式は,マウス以外の2Dポインティングデバイスや,携帯型マルチタッチタブレットPC,ペン入力携帯型ゲーム機などにも適用できる.セッション当日は,図に示すような回転立体パズルや立体組立パズルをマウスだけで自然に操作できることを示す.
バスケットボールのシュート率を向上させるには,シュートフォームの確立が不可欠なものである.初心者にシュートフォームを教えるためには,熟練者のシュートフォーム姿における身体各関節の角度を測定することが必要となってくる.そこで,熟練者のシュートフォームをウェアラブルなモーションキャプチャシステム(IGS-190)で取得し,身体各関節の回転角を分析する研究を行った.また,同時に初心者のデータも取得し,熟練者のデータと比較分析した.その結果,初心者は熟練者よりシュートフォームの安定性がなく,足や腕の伸展力を利用していないことが分かった.最後に,ウェアラブルなモーションキャプチャシステムを利用した,シュートフォーム学習支援環境の設計についても言及する.
本発表では,ホワイトボードでの作業,特に板書作業を拡張する「ARホワイトボード」を提案する.コンピュータ操作に基づいたものでなく,従来の作業形態を拡張する方針でインタフェースを設計した.ARホワイトボードの機能として,拡張現実感のアプローチによって,ホワイトボードにペンで書かれた「実空間情報のコピー&ペースト」を実装した.磁石とイレイサーを用いたインタフェースで,磁石の貼り付けによって囲んだ領域のコピー,磁石での紙の張り付けを模した動作でペーストが行える.また,イレイサーは,コピーした情報を削除・整理することができる.
本論文では統計分析ツール tailstat を用いた事例として,書籍情報の共有サービスである本棚.org から「あるコミュニティにより大切にされている書籍」を発掘するサービスの開発について報告する.tailstat は母集団分布が既知であり,また中心極限定理が適用できないような小標本の分析に適 する統計分析を可能にするツールである.具体的にはたくさんのコンテンツにユーザがアクセスし, 金銭的対価を支払ったりコメントやレーティングなどを行うような Web サービスにおいて,アクセ ス数ランキング上位ランカーなどのいわゆる「ベストセラー」の陰に埋もれている,「小規模ではあ るが特異な人気を博す」コンテンツの発掘を可能にする.
プログラム動作を理解させるための,実行時における関数呼び出しの構造を音楽的な表現手法を導入して可聴化するシステムを提案する.ここでは,音楽のリズム表現を導入することで,可聴化した結果がエンタテインメントとして楽しみながら,かつプログラム動作の理解を支援できるようにすることを目指している.今回は,関数呼び出し構造に対し,異なる観点でリズムパターンの適用ができるようにし,その効果を確認できるようにした.
近年視覚,聴覚に次ぐ感覚の記録,再現を行う試みとして,嗅覚に対する研究が行われている.遠隔地による匂い再現の概念は以前から提案されていたが,実際に実現したのは著者らのグループが最初である.著者らは,匂いセンサで匂いをセンシングしてその種類を判別し,結果を映像とともに遠隔地へ送ってリアルタイムで匂いと映像を再現するシステムを既に開発した.しかし,外乱による誤判別が起きやすく,ロバスト性を向上させる必要があった.さらに以前の方法では匂いと映像を同期させるために画像の更新速度を落としており,映像としての品質が不十分であった. 本研究では,匂い判別のロバスト性の向上および匂いと同期させながら滑らかな映像を表示する方法を検討し,実際に実現した結果を示す.さらに大学祭にてデモを行い,344人の体験者より得たアンケート結果を報告する.
人手で付与する主観的なメタデータは,自動的に付与することが難しい人の価値判断や意志のような情報を反映することができる特長を持つ.しかしその反面,付与行為がユーザに大きな負担になるため,負担をできるだけ意識させないメタデータ付与手法が重要になる.そこで我々は,写真撮影・閲覧行為の中にメタデータ付与行為を緩やかに統合したRefleCamという新しい写真インタフェースを提案する.RefleCamは,撮影直後の写真,閲覧中に選択した写真といったユーザの注目している写真の属性に基づくフィルタリングによって,所有する写真を多様な視点で閲覧できるようにする.そして,写真同士の関係を示すメタデータ(リンクメタデータ)の付与をこの閲覧や写真共有の過程に組み込むことで,人手による継続的なメタデータ付与を実現する.
高齢者が自宅から病院等の施設に移動する際の生活支援情報として,忘れ物アラーム,乗車ルートナビ,駅構内ナビ,降車アラームの4種類を提示するエージェントシステムを試作した.このシステムは,センサ情報から推定される移動状況,現在地と,時刻から,ユーザの生活シーンを示すユーザ属性を決定し,ユーザ属性に応じて提示する生活支援情報を切り替えることで,情報検索にかかるユーザの負担を軽減して生活支援情報の提示を行う.また,視力が低下していても使いやすいようユーザインタフェースの設計を行った.加えて,ロボットシステムと連携して,高齢者の日常生活を支援する仕組みについても触れる.
これまでの学習支援システムでは,人物描画の自習システムの開発が進められていなかった.そこで本研究室では以前に人物が保持する関節間の距離・角度を正しく認識させることで人物描画の精度を向上させるシステムを構築が行われた.しかし先行研究では,描ける構図の数に制限があり,また描かれた人物画の一部分のみの診断しか行えなかった.本研究では視点を自由に設定できるようにし,身体全体の診断を行った.本システムが人物の輪郭線スケッチにおいて学習効果があるのかどうかを,評価実験を通して,検証した.そして評価実験で得られた情報を基に新たにシステムを構築している.
近年増加したコンテンツ投稿型SNSでは日々膨大にコンテンツが増え続ける傾向があり,嗜好に合っているもののユーザが見逃してしまうコンテンツが少なくない.この問題を解決するために,多くの推薦技術が提案されているが,これらは精度を重視するあまり,その推薦結果に面白みがないという課題がある.筆者らはこのような観点から,コンテンツ投稿型SNSにおける未知性,意外性を考慮した推薦システムを開発した.未知性のあるコンテンツを推薦するNovelty部,意外性のあるコンテンツを推薦するSerendipity部の2つの処理部からなる推薦システムについて既観し,推薦結果を効果的に表示する三次元インターフェースを示す.
本研究では携帯電話の身体上での格納場所判定機能のスマートフォン上への実装と応用システムの開発を行った.これは歩行中にGoogle社Android端末の格納場所を判定するものである.端末内蔵の3軸加速度センサが示す加速度変動を解析することにより,端末は自らが身体上の5カ所の既定の場所のうちどこに格納されているかを判定することができる.これにより,電話の着信方法の最適化や,行動認識や環境計測の精度の向上を期待することができる.そしてこのようなアプリケーション開発を容易にするためのAPIを定義した.判定器に関して10名の被験者の歩行データによる評価を行った結果,学習を行った歩行データについて100%の正解率を得た.
インターネットの普及に伴い,Web上には商品やサービス(対象物)に対する多くの評判情報が蓄積されている.これらは個人や組織における意思決定に役立つ可能性がある.しかし,誰でも発信できるが故に,情報は膨大となり,それら全てに目を通すことは利用者にとって多大な負担となる.そのような背景から,本研究では評判情報を自動的に抽出し,提示するシステムを提案する.本システムでは,ユーザが商品を比較する場面を想定し,シーソーを模したインタフェース等を用いることで比較を支援する.
本稿では,ベース音とMIDIドラム音を伴奏として再生しながら,それに同期して,楽曲の歌詞,コード,ビート位置,小節区切り位置を横スクロール表示することで,ユーザーが曲に合わせて歌唱,演奏することを支援するインタフェースSong Prompterについて述べる.歌詞・コードの時間情報と伴奏音は,元楽曲の音響信号から自動的に計算される.さらに,ユーザが楽曲の構造を把握し,演奏したい区間に簡単にアクセスできるように,楽曲の区間構成と各区間の名前を表示する.Song Prompterにより,ユーザは楽曲の歌詞やコードを暗記したり,楽譜のページをめくったりすることなく,元楽曲のタイムラインと同期して歌や演奏を楽しむことができる.また,コードと伴奏音は異なる調に移調して表示,再生することができ,楽曲の再生スピードも変更することができる.
近年,スマートフォンやTwitterが非常に流行してきており,多くの人々が毎日のように,PCやスマートフォンからTwitterを利用している.だが,現状のTwitter利用では,Twitterの大きな特徴であるリアルタイム性やコミュニケーション性を維持しようと思うと,常にタイムラインを追うことになり,非常に時間を取られてしまったり,Twitterを利用することに疲れてしまう人々も出てきている. そこで,本研究では,スマートフォンのジェスチャー操作と音声入出力を利用することにより,リアルタイム性やコミュニケーション性を重視しつつ,手軽で疲れないような新しいマイクロブログのシステム提案する.そして,提案手法に基づくTwitterクライアントVoiTwiの実装をおこなった.
ハンドジェスチャは近年,入力方法として普及してきているが,細かい調節に伴う入力作業が未だに困難とされている.本研究では,この課題を解決するためにハンドジェスチャと拡張現実感(AR; Augmented Reality)との併用による新しい入力インタフェースの検討を行っている.提案したインタフェースでは,マーカを印刷した円盤を装着したリストバンド(「ARdisk」と呼ぶ)を用意し,これらのマーカの移動をカメラで追跡することによって, ARdiskの回転量の計算を行う.主観評価により,提案インタフェースはユーザに不快感を与えることなく,細かい調節に伴う入力作業が可能であることが明らかになった.
本稿では,ベルト型インタフェースを使用した移動ロボット操作のためのテレプレゼンスシステムについて述べる.本システムはロボットと環境中の障害物との接近情報を操縦者にフィードバックすることで環境を正確に把握でき,ロボットを安全に操縦可能なシステムである.本システムではロボットに搭載したレーザ距離センサ(LRF)により,ロボット周辺の最近障害物とその形状の検出,さらに移動障害物の追跡を行い,これらの情報をロボットの操縦者が装着するベルト型インタフェースにより振動としてフィードバックする.また,インタフェースは同時に操縦者の上体の姿勢を測定してロボットの移動を操作する.このようなロボットシステムには,高次元の没入感を得られ,移動ロボットの操作を容易にする大きな可能性があると考えている.
われわれは,マルチメディアコンテンツ制作のための音素材データベースとその検索システム,「電子音色辞書」を構築している.本稿では,システムの概要を述べる.最初にWebアプリケーション型でシステムを構築し,さらにデスクトップアプリケーション型へ拡張したため,これらについて報告する.また,システムの使用機会を増加させ,利便性を向上させるため,携帯端末を用いアプリケーションを構築した.同システムは音録音,電子音色辞書データベースの閲覧,登録などの他,従来の再生機能を超え,楽器ともなりうる合成機能についても紹介する.
携帯端末によって心理的,物理的な距離感を身体性を用いて表現することを目的としたmailTravelellerを紹介する.メールを送信する前に携帯端末に対して,紙飛行機を飛ばすような動作を行う.その動作によって取得される傾き,加速度を元に仮想的なメールの位置情報を取得し携帯端末上の地図に描画する.この飛ばす動作を複数回行うことによって,メールはメールの受信者に近づいていく.また,メールの仮想的な位置情報を元に画像共有サービスFlickrの中から写真の検索を行い,仮想的な位置情報の近隣で撮影された写真をメールに添付する処理を行っている.
会話中ではしばしば一人の発話が完結点を迎えるよりも前に,別の誰かがその発話と連続するような発話を開始することがある.本稿ではこの「引き取り」と呼ばれる現象が状況説明的な会話中で起こるとき,発話と同時にジェスチャ形態の引き取りが行われている事例について分析し,この現象が会話を構成するうえでどのような役割を果たしているかを考察することを目的とする.
降臨という言葉がある.現代では2ちゃんねる等に有名人が書き込みする事が降臨と呼ばれており,降臨の場では普段雲の上の存在である有名人が,その場の人々と親しく交流する事ができている.我々はこのネット上の降臨を実世界に再現することで研究室OBと現役学生の円滑な対話を実現できるのではないかと考えた.さらに,小型のロボットを用いることでOBと学生の心の壁を軽減できると考え,これを制作した.OBはこのロボットを用いて研究室に降臨し,学生の様子を見たり,会話をすることができる.
ユーザの検索目的,検索結果, および検索行動の関係を明らかにすることは,Web検索の有効性を向上させるために非常に重要である.最近のユーザの検索行動マイニングに関する研究は,主にユーザの検索行動履歴やサーバ側のログなどに焦点を当ててきた.また,ブラウザ側からのユーザの検索結果に対するユーザのインタラクションに注目した研究もあったが,インタラクション間の関係を考慮する研究はまだほとんど行われていない.そこで,我々は検索エンジンの検索結果に対するユーザのインタラクション・シーケンスに着目して,ユーザの商品検索目的(購入目的,情報収集目的か)を抽出する手法を提案する.本手法は,ユーザのクリック動作(Click),スクロール動作(Scroll),マウスオーバー動作(Hover)と読む動作(Read)の順序と時間を利用し,ユーザの商品検索の目的を抽出するためのユーザの行動シーケンスモデルを用いた.実験により,本研究の手法は先行研究の手法より10%以上の高精度の結果が得られ,本手法の有効性を示した.
写真撮影と写真への書き込みを実時間で共有できるコミュニケーション支援ツールPhotoChatを利用した体験共有型ワークショップを支援することを目的とし,PhotoChat上で状況に応じた話題提供を行うエージェントの実現を目指す.博物館説明員による展示ガイドを通して蓄積された会話シーンを,コンテキスト(場所,注目対象,参加者の会話状況,PhotoChatの利用状況など)に応じて再利用する方法を提案する.
博物館における展示説明員は,見学者の見学体験を豊かなものにする役割として重要な存在である.展示説明員は見学者の興味や学習意欲を見ながら話題を選び,興味を引き出し,展示見学の満足度を高める必要があるが,説明行動のノウハウがきちんと言語化されて説明員同士の間で共有されているとは言い難い.本論文では,特に説明員と見学者との間の立ち位置の関係に着目し,非言語行動への影響を観察する.その結果,身体配置の違いによって説明行動における指さし行動や展示移動の際のふるまいが異なることが分かった.
近年,自然食や環境への意識の高まりから野菜作りやインテリアグリーンに注目が集まっている.しかし,都市の限られた環境で緑を育てるのは容易ではなく,また,インテリアとしては周辺環境との調和が気になるが,成長後の姿を想像するのは素人には難しい.そこで本論では,携帯電話のセンサーと拡張現実機能を用い,植栽スペースの環境(日照,気温等)に適した植物を推薦するシステムの開発について述べる.本システムでは,成長した姿を3DCGで表示することで周辺の景観とマッチするかどうかを視覚的に確認することができる.
曲がり角など見通しのきかないに場所における出会い頭の衝突回避を目的として,従来から様々な装置が制作されてきた.最も身近なものはカーブミラーであるが,死角の先の情報を得るためにはミラーを注視する必要がある.そこで本研究では,注視せずとも衝突に関する警告を知覚出来る装置を製作する.この目的を達成するために,曲がり角の壁から歩行者に対して接近感を提示することで,衝突を回避出来るのではないかと考えた.本稿では,接近感生起に関する実験によって実装上の設計指針を考察し,これを元に装置を製作した.
実世界の物体と情報世界の知識を接続し,大学の研究室内での情報共有を便利にするシステムを作成した.ユーザははかりに物を乗せる事で,物体とwebページを関連付けられる.またweb上で文書を編集し,その更新をデバイス毎に最適な形式で受信できる.
本論文では、全方位映像を直感的に操作することのできるソフトウェア「セカイカンヅメ」を提示する。遠隔作業などにおいて、全方位映像の利用は有効であると考えられるが、設備の問題や、実世界での志向の共有の問題から、実際の現場に取り入れることは難しい。この問題を解決するため、複合現実感技術を用いて全方位映像を操作する手法を考案し、デスクトップとモバイル環境で実験を行った。その結果、全方位映像を複数人で協力して読み解き、円滑に作業を進めるような行動が見られ、本手法の有効性が確認された。
本研究では,ユーザの意識に基づき使用形態をシームレスに切り替えられるランプ型情報表示インタフェースInfoLanternを構築した.InfoLanternは,日常の生活空間においてWeb上の情報の手がかりをさりげなくユーザに提示する.そして,ユーザの意識が情報を捉えた場合,本体にタッチする事でその情報を保存しPCで詳細を表示することを可能とする.これにより,普段PCに触れる機会の少ない高齢者なども,より自然にWeb上の情報に触れ,取得することができると考える.
本のページをめくるときの紙の触感をユーザの指に提示する本型デバイス「パランガ」を実装する.パランガでは,複数の紙片を取り付けたローラを本の曲げ具合などに応じて回転させ,そのローラをユーザの親指で触れることにより,触感を実現している.また,ローラの回転に応じたアニメーションをディスプレイに表示させることで,パラパラとページをめくる行為を無限に体験可能にする.さらに,パランガの特徴を生かしたインタラクティブなパラパラ漫画アプリケーションも提案する.実際にパランガを体験してもらい,体験者からフィードバックを得たところ,パランガは本をめくるときの指の触感を十分に提示できていることが分かった.
本稿では,複合現実感技術を応用したエンタテインメント・コンテンツ『百鬼面』について述べる.百鬼面は,プレイヤが特殊な忍者となり,ビデオシースルーHMD (Head-Mounted Display)を装着することで現実空間の中に出現する仮想の鬼を視認し,ジェスチャ・インタフェースで手裏剣を発射して鬼を撃退する複合現実型アクション・シューティングゲームである.両手に磁気式位置センサを装着し,左右の手のひらを上下に合わせて構えると仮想のレーザポインタが照準となり,鬼に狙いをつけて右手を前方にスライドさせると手裏剣が発射される.本研究では,複合現実感の特質を活かしたコンテンツのデザインと実装について説明する.
本研究では,カードから色を読み取り,その読み取った色同士を混色するシステムを取り入れた着せ替えゲームを提案する.ファッションコーディネートは、色彩の組み合わせがとても重要となってくる.この着せ替えゲームは,着せ替え遊びの中に,色彩の混色を利用したシステムを強く取り入れることによって,ユーザ自らが色を作りコーディネートを楽しみながら,加法混色の原理に関する理解を促進するためのアプリケーションである.
Amazonのような一般的なオンラインショッピングサイトでは,商品の検索結果をリストや表で表示するが,これらは「複雑・曖昧な条件で探しにくい」「商品同士の比較がしにくい」「商品ごとの値段の開き具合,相場や価格帯が分かりにくい」といった問題がある.本研究ではこれらの問題を解決するXYグラフ型商品検索を提案し,その実装としてWebアプリケーション「XYzon」を試作した.XYzonは「XYグラフを用いた視覚的に分かりやすい検索UI」「目星をつける比較インタフェース」「Webブラウザ上で利用可能」という3つの特徴を持つ.
近年,スマートフォンを代表とする携帯型通信機器は目覚しい発展を遂げている.中でも音声認識技術の進化は,自然言語インターフェイスの実用化に大きく寄与し,モバイルアプリケーションの設計手法に大きな影響を与えるものと期待される.本稿では,筆者らが開発中の自然言語インターフェイスを備えたアプリケーションフレームワーク「YouBot」を用いて,冷蔵庫の内容に関する問い合わせに答えるアプリケーションを作成する方法について述べる.
住空間における人の嗜好や環境の特性は多種多様であり,これらを的確に把握し柔軟に適応できる技術が快適な住空間の実現に必要不可欠である.個人や空間の特性の差異が特に大きい音環境に着目し,実環境コーパス化技術とインタラクティブ映像ナビゲート技術に基づく住空間チューニングシステムを設計・構築した.音環境測定支援機能とチューニングナビゲーション機能により,住空間を柔軟にカスタマイズできる見通しを得た.
本研究では,Webサービスなどの情報世界における「他者の存在」に着目し,無意識的・非言語情報を用いることで実世界的な体験を共有できる動画鑑賞システムを開発した.Excite Viewerは,映画館で映画を観るように他者の存在を感じながら動画を鑑賞することが出来るシステムである.
保育者が抱える悩みは千差万別であり,家庭により子育ての方針も異なる.そのため,各家庭の状況に合わせて子育てを支援するコンテンツが重要となる.そこで,子育て支援としてニーズの高い,幼児間・親子間のインタラクションにおけるトラブルに着目をし,Minskyの提唱する問題解決方法論である「批評家‐選択家モデル」1)を基に,幼児の思考の発達モデルを構築してきた.このモデルを用いて,幼児がどのような思考で行動を決定しているのか,発達に伴い社会性がどのような過程で発達するのかを表現し,トラブルに悩む保育者に向けた子育て支援コンテンツを構築した.視聴評価の結果,子どもへの対処を考え直すキッカケとなったなどの意見を得られ,子育ての方針に応じた解説が有効であることが示せた.
人と機械の円滑なコミュニケーションにとって「感情」は欠かせない行動ナビゲーションシステムである。しかし人間の感情を捉える事は難しく、未だ心理学や認知科学でもその定義は曖昧である。そのため機械に組み込む人工感情も実用化には至っていない。我々は、個性と性格を疑似的に備えた、特定のシステムに特化しない汎用的な人工感情システムの開発を試みた。
本研究では,iPhoneによる画像の特徴を用いたメロディ自動生成システムを開発する.いつでもどこでも思いついた時に操作可能な携帯端末の利点を生かした,エンターテイメント性のある自動作曲システムを目指す.手始めに,システム構築および動作テストの行いやすさを考慮した環境により,自動作曲アルゴリズムの模索を行う.本稿では,主に自動作曲アルゴリズムの模索に関する内容を述べる.なお,色情報と画素の連なり方,今回はこの2つを画像の特徴として用いた.
ユーザはお気に入りの写真を高画質で印刷した際,徐々に印刷されて出来上がっていく状態を見て,わくわくしたり,うれしさを感じていると考えた.本研究では印刷が完了するまでの印刷中の時間を利用し,印刷プロセスを光や音で演出し,真っ白な紙からインク描画された紙がパレードのように出てくるかのように演出するプリンターHappyPrinterを提案し試作した.本論文では試作について紹介し,それ基づき考察および議論する.