本研究では,遊び場をデザインするための科学的アプローチとして, 子どもの行動計測データから構築された計算モデルに基づく遊びのデザイン方法の確立を目的に,遊具で遊ぶ小学生程度の子どもの行動を,センサを子どもに取り付けることなく計測できる機能と,インタラクティブな遊びを可能にする機能を備えたクライミングウォール型センサ遊具を開発した.開発した遊具の54 個の各ホールド部には,荷重センサとLED 表示装置が取り付けられており,全ての力センサの出力を同期して記録することが可能である.本稿では,開発したインタラクティブ遊具のシステム構成,開発遊具を用いた1226 人の子どもの行動計測,登り行動や落下,発達の分析について述べる.
ウェアラブルコンピューティング環境では従来のコンピューティング環境とは異なり,ユーザは場 所や時間に縛られることなくコンピュータと接することになる,そのため,街で鞄を持っているとき に不意に入力を求められるなど従来の方法では入力することが難しい状況が起こりうる.本研究では, 両手両足のジェスチャ入力でメニュー選択等に入力を行う環境を想定し日常生活の様々な状況におい ても自然で効率的な入力手法を状況に応じて選択するインタフェースを提案する.本研究ではまず予 備実験により,両手両足の加速度センサによる入力が状況に応じてどのような特性をもつのかを明ら かにし,次の状況の変化を考慮したコマンド入力方法を実現する.評価実験により,コマンド入力方 のジェスチャを決定し,歩く,座る,立つの状況で両手が使えないときなどの変化に対応できるよう にした.
家庭用ロボットに対する作業の指示ユーザインタフェースとして「紙カードを置く」というインタラクション手法を提案する.たとえば,「ここを掃除する」という紙カードを部屋において家を出ると,ユーザが家を出ている間にその場所が掃除される.提案手法は,音声を用いたインタフェースに比べて場所の指示に適している他,タッチパネルやリモコンを用いたインタフェースに比べて機械に苦手意識を持っているユーザに受け入れやすいものと考えられる.本稿では,紙カードのデザインとそれらを用いたインタラクション手法,実装したプロトタイプシステムの内容,および簡単なユーザテストの内容について紹介する.
ロボットの操作デバイスとして,ジョイスティックやゲームパッドが広く受け入れられている.しかし,これらのデバイスはボタンとロボットの動きの対応関係が直感的でないため,初心者が自由自在に操作を行うのは難しい.この問題を解決するため,我々はCG重畳表示を用いたロボットの遠隔操作インタフェース「TouchMe」を提案する.TouchMeでは,操作対象の作業空間を三人称視点で捉えたカメラ映像がタッチスクリーン上に映し出される.ユーザは,ロボットの操作したい部位に直接指を触れることによってロボットを操作することができる.我々のシステムはユーザに直感的な操作を提供し,少ない時間で操作を習得することができる.本論文では,TouchMeの概要および実装したプロトタイプについて説明する.また,3種類のタッチインタラクションの手法を提案し,ユーザスタディにおいてそれらを比較した結果を報告する.
本研究では,ヒトの身体あるいはヒトが操作する道具の動きを音響信号に変換し,実時間でフィードバックする「身体運動の可聴化システム」を提案する.このシステムは,体性感覚のみでは明確にとらえにくい身体や道具の状態を聴覚の優位性を利用して利用者に提示することで,身体の状態や動きに対する気づきを促そうとするものである.本稿では,その基本概念について説明するとともに,この概念に基づいてこれまでに実装したシステムの例を紹介する.
電子楽器の発明以降,音色を生成する方法も数多く考案されている.しかしそれらの多くは音色生成のための多くの制御パラメータを必要とし,また各パラメータと音色との対応が複雑であり,直感的な音色の操作が困難である.またそれらのパラメータ操作は一次元的であり,近年普及が著しいタッチパッドなどの二次元操作デバイスを有効に利用できていない.本稿では,解析信号と呼ばれる複素平面上の閉曲線図形と音声信号との対応に着目し,閉曲線に対する形状操作等の直接操作によって周期音声信号を変化させる方式による音色の操作方法を提案する.本手法は,既存の音に対する加工によって音色の発展させる音色生成には有効である.また図形と音を対応付けることにより,視覚表現と融合した音楽パフォーマンスへの応用も考えられる.
本稿では,プロジェクタ,三軸加速度センサ,距離センサを搭載したヘッドフォンCONCERT VIEWING HEADPHONESについて述べる.従来のライブ映像は,カメラの撮影範囲が狭く,ライブの一部分のみしか見ることができず,自分が見たいときに特定の奏者の演奏を見るということはできなかった.これに対しCONCERT VIEWING HEADPHONESではユーザが左右に頭を動かしたり,耳に手をかざす動作に応じて,プロジェクタから出力される映像とヘッドフォンから出力される音を変化させることを可能にする.
音楽に興味のある人々に手軽に楽器を演奏する機会を与えるため、AR技術を利用した「紙のピアノ」を提案する.「紙のピアノ」というのは、ARToolKitを応用することによって、ただ普通の紙にピアノの鍵盤を印刷し、紙に印刷された鍵盤を指でたたくことで音が鳴り、実際のピアノのように演奏できる仕組みである.Webカメラの映像から多数の鍵盤のon/offを識別することが必要であり、そのためのマーカーの様々なデザインを考案し、プログラム実装してそれらの性能を比較検討した.
子どもにとって絵本は語彙の発達や情操教育に欠かせないものであるため,読書環境の充実が必要である.また,近年電子書籍への関心が高まっており,子どもの読書環境にも電子媒体の絵本が取り入れられてゆくことが考えられる.ウェブ上に無料で公開されている電子絵本を蔵書とすることで,図書室に電子絵本の蔵書を充実させることが可能になる.増えた蔵書を効率的にブラウジングする仕組みも必要となる.ここでは,子ども向けに開発されたブラウズリーダにおける絵本棚の実装法について述べる.視覚化に関する実験を通して,大量の絵本を納めた棚を容易にブラウジングできる環境が構築されることを確認した.ブラウズリーダは現在,大分県立図書館の子ども室に設置され,子どもたちの利用に供されている.
影をモチーフとした映像表現は多くの手法が試されてきたが,デジタル技術を用いた影表現の多くは,影をコンピュータグラフィクス(CG)により模倣することによる表現と位置づけることができる.これに対し,これまで本研究では,単一固定光源から出来る本物の影を物体から分離し,その動きを制御することを可能にする,光学設計によるシステムを提案してきた.本稿では,動く影とのインタラクションに焦点を当て,ユーザの行為に合わせてディスプレイ上の物体の影を動かすために必要な処理およびアプリケーションの実装例について述べる.
本研究では,指向性の高い可視光を用いて,リモコンで機器を狙い操作するだけで複数の機器の中から1つの機器を選択,制御することができるリモートコントロールシステムを設計した.また,リモコンの機能を,機器を操作するシナリオに沿って切り替わるものにし,少数のボタンで多くの機能操作を可能にした.本稿では,複数の種類の機器を狙う動作によって選択,制御可能なリモコンの試作を行い,機器の操作シナリオに合わせた操作メニュを実装する.
通信技術の発達により,昔に比べると遠距離間でもコミュニケーションをとりやすくなっている.しかし時差がある場合,相手の時間等を気にする必要があり,コミュニケーションをとることが難しい.そこで,我々は時差を考慮した遠隔コミュニケーション支援システム”AsyncDecor”を提案する.これは遠隔地の相手の行動をリアルタイムに伝達するのではなく,時差の分だけずらしてその行動を伝達するシステムである.本稿ではAsyncDecorの概要と具体例について述べ,今後の展望について示す.
ロボット開発において,ロボットのシミュレートは重要な要素のひとつであるが,従来のロボットシミュレータでは,ユーザは実際にロボットを動かしたい現実の環境が目の前にあるような場合でも,全ての情報を仮想空間内で再構築しなければならない.また,シミュレーションした結果を3Dグラフィックス等で表示する場合,現実環境との関連性がわかりづらいといった問題がある.そこで本論文では,拡張現実感を利用したロボットシミュレータ「ArOde」を提案する.ArOdeでは,ユーザはPCとwebカメラ,幾つかのマーカを利用するだけで,現実環境下で実際にロボットを配置しているかのようにシミュレートを行うことができ,現実環境下での仮想ロボットの動きを見る事ができる.
本研究は,大量の漫画画像の中から,アニメーションのキーフレームとなる画像をインタラクティブに探し出し,パラパラ漫画風のアニメーションを製作するシステムを提案する.特徴的な線画である漫画画像に適した画像検索手法を提案し,システムを実現する.本システムにより,日頃絵を描かない初心者でもアニメーションコンテンツの製作が可能となる.
近年,インターネットの発展と共に,様々なコミュニケーションの形が生まれている.見知らぬ人同士で共通の趣味を持ったコミュニティを形成するなど,インターネットの可能性は広がっている. しかしながら,現実世界において,見知らぬ人同士のコミュニケーションは難しい.そこで本研究では,ブログやSNS などインターネット上のソーシャルグラフを用いてお互いの共通情報を可視化することにより,現実世界でのコミュニケーションを支援する環境を提案する.
マイコン(MCU)や表示デバイス,センサデバイスとブロック間通信機能を持つインテリジェントなブロックを接続してシステム全体を構成し,その動作を制御やプログラムできるブロック型のシステムは,その応用分野も含めて広く研究されている.しかしそれらの基本ブロック自身の機能は固定であり,これがブロック型システムの可能性の制限要因の一つとなる. 本稿では,著者が開発した,マトリクスLEDユニットを受光素子と表示素子の両者に用いるパターン描画・表示機能と,ブロック間通信機能による連結拡張性,およびインラクション機能をもつブロック型デバイスをベースとし,デバイスへのパターン描画によってブロック自体の機能を 動的に設定・再構成可能な平面状ブロックデバイス,およびその応用例について述べる.
共有空間は,利用者全員が協力してその維持管理に努めるべきである.しかしながら,集団的無責任の心理作用により,結局誰も維持管理を行わず,共有空間の環境が悪化するケースが多々見られる.本研究では,共有空間の一部を個人作業空間に滲み出させ,個人作業空間に居ながらにして共有空間の状態を主観的に体験可能とする「共有空間滲出」によって共有空間を主体的に維持管理するように促すことを試みる.本稿ではその一例として,共有空間に置かれたテーブルの整頓状況を,類似した体験として個人作業空間に置かれたパソコンのデスクトップ画面に提供するシステムTableCrossを実装し,初期的な評価を行った.
薄く小さい可搬型のディスプレイを多数配置して商空間を構成することができるようになってきた.近傍の状況を反映するディスプレイ「リフレクトアド」を提案する.ディスプレイの前に商品を置くだけでバーコードを読み取り,データベースを検索した結果,最もスコアの高い映像コンテンツが自動的にセットされる.このとき,店舗におけるディスプレイの設置場所によって訴求内容を変える.また,ディスプレイの相互の位置関係が隣接していれば,主画面と副画面として役割分担する.さらに,人感センサによって,人が接近した時に呼びかけ,離れる時に呼びとめることができる.この構成を明らかにし,適用例を示した.
本稿では,クエリとして手描きスケッチを利用した映像検索システムを提案する.近年の映像共有サイトの普及に伴い,容易に様々な映像を視聴することが可能となった.しかしその反面,所望の映像を視聴するためにはそれら大量の映像群から映像を検索する必要が生まれた.そのような状況の中で,著者らは手描きスケッチを利用した映像検索システムの提案を行ってきた.従来のシステムでは映像中の移動物体の形状とその動きに着目してきた.本稿においては,これまでの2つの要素の描画に加えて背景の描画を取り入れ,移動物体の形状と動きと背景という3つの要素を手描きのスケッチで描画することでクエリを作成し映像検索を行うシステムを提案する.また,提案手法をYouTubeから収集した映像に適用し,その結果も示す.
近年,様々な歩行者向けのナビゲーションシステムが提案されているが,その多くは常に情報が提 示されておりユーザが任意のタイミングで情報を見る事ができなかったり,地図やルートなど多過ぎ る情報の提示により認知が大変であったりと,特に観光用には不向きである.本研究では,目的地の 方向を提示する腕時計型のデバイスを用いて,自然な動作で自由に使うことが出来,気ままに歩くと いう観光本来の楽しみを損なわないナビゲーションシステム「ゆるナビ」の提案と試作を行う.
AR技術による人物画の描画支援システムを提案する.従来の絵画創作学習支援は,絵画講師の肩代わりをし,アドバイスをするものであったが,今回筆者らは,手本の提示による手法を提案する.AR技術を用いてデッサン人形を紙上にレイヤー表示することが可能な試作システムを開発した.デッサン人形は,操作用マーカーを用いることで配置や拡大縮小、ポーズの変更といった操作が可能となっている.
本研究では,舞台上の役者とCG映像のインタラクションを行い,CG映像を舞台パフォーマンスの演出に活用することを目的とする.そこで,役者が能を演じながらCG映像をインタラクティブに操作できるシステムを開発した.本システムは,能役者の足に取り付けられた3軸加速度センサから得られた加速度を入力とし,能のすり足と足踏みの2種類の動作を識別する.識別した能役者の動作をもとに,CG映像を出力する.本稿では,開発したシステムおよび,これを使用した創作能パフォーマンスについて述べる.
本論文は赤外線LEDを埋め込んだ透明なシリコーンゴムを入力面に利用するタッチパネルについて述べる.マルチタッチの検出方法としてアクリル板内の赤外線の全反射を用いた FTIR 方式が用いられる.従来 FTIR 方式によるタッチ検出にはアクリル板が用いられるのに対し,我々の製作したタッチパネルには形成したシリコーンゴムを用いた.シリコーンゴムを用いた FTIR 方式は,アクリル板を用いた FTIR 方式よりも感度が高い.また,アクリル板を用いたものでは困難であった,スタイラスを介したタッチやパネル上に置かれた固い物体の検出ができる.更に,FTIR方式に必要である赤外線LEDをシリコーンゴムに埋め込むことにより,赤外線LEDモジュールとタッチパネルを一体化することができる.我々はこの方式に基づくタッチパネルを製作し,アプリケーションを作成した.
近年の動画共有サイトの趨勢に伴い,今までコンテンツの消費者側の立場にいた人たちがコンテンツの発信者となる機運が高まりつつある.特に,アニメキャラクタに対する人気は高く,アマチュアが利用できるデザイン支援が待望されている.デザイン支援の一つとして,キャラクタの絵から見て取れる印象に焦点を当てたアプローチがある.描画熟達者が描くような「淑やかさ」や「力強さ」といった設定された印象が見て取れるような絵を,アマチュアが描けるようにするという支援方法である.このようなデザイン支援を実施していくためには,印象と実際に描いたキャラクタ(絵)を結びつける知識が形式化されている必要がある.本論文では,アニメコンテンツの中でも特に人気の高い女性キャラクタのうち体つきの表現を題材とし,キャラクタデザイン支援システムの提案を行った.また,キャラクタの人物像を表現するために描き分けを行うべき部位(制御点)についての定性的分析を行い,その分析に基づいてキャラクタデザイン支援システムを構築した.
家族の中で新たに生まれた幼児には,人と人の社会的関係をとりもったり,その関係自体を変容させるような「ソーシャルメディエータ」としての役割がある.本研究では,地域ブランド再生プロジェクトの一環として「Gamagori-Mikan Robot」を地域の人たちや観光に訪れる人たちの関係をとりもつソーシャルメディエータとして構築している.ロボット同士が構成する多人数会話の場に基づき,対象に地元地域の情報を提供することをねらいとたもので,本稿ではそのコンセプトおよびシステム概要,今後の展望について述べる.
人の瞬目(まばたき)時には視覚抑制が働き,我々はまぶたによる遮蔽を知覚しない.もし瞬目にあわせて特定の情報を提示できるなら,それを瞬目した人に見せず,周囲の人に見せることができる.つまり,スイカ割りのような,周囲の協力が必要なインタラクションを目隠しなしに実現できる.本論文では,その可能性を示す.まず作成した眼鏡型の瞬目検出装置を紹介し,瞬目中に視覚情報が提示できることを示す.つぎに,可能となるインタラクションの例として,もぐら叩きゲームを紹介する.
1816年にDavid Brewsterが万華鏡の仕組みを考案し,以来、万華鏡は今日まで多くの人に親しまれている.また,映像の撮影は,携帯電話やデジタルカメラ等の動画撮影機能の普及により,身近なものになっている.そこで,我々は映像の加工経験がない人でも、加工を加えたような映像を作成できる万華鏡映像ツールを提案する.
本論文では,紙上での動的な色彩表現を実現するPolychrome Paper Computing という新しい技術を紹介する.この技術は,紙とコンピューティングをシームレスに融合させる新しい発色技術であり,人間が創造してきた紙上の芸術作品,及びその制作手法を保存しながら,紙というマテリアルの進化を促進することが期待できる.ANABIOSIS は,人が紙上に描かれた蝶に触れることにより,蝶の色彩が動的に変化するインタラクティブな絵画作品である.紙とコンピューティングがシームレスに融合することにより,紙上での動的な表現,新しいインタラクションを提供している.
SyncEggは身体感覚を利用した入力方法でLEDによる光の色のフィードバックを操作し、遠隔地におけるコミュニケーションを支援する新しいインタフェースである。SyncEggは縦8cm、直径5cmの卵型小型無線デバイスで、デバイスを傾けた方向と角度に対応してLEDの色と明るさのフィードバックを制御することができる。赤、緑、青の光の3原色を基準として、傾きの方向によってフルカラーがマッピングされており、対応した方向に傾けると、目的の色を直感的に出力することが可能である。SyncEggは、ユーザの操作がデバイスの上部に色の変化としてフィードバックされ、また他ユーザのデバイスと通信することで,デバイスの下部には他ユーザの操作によるフィードバックが出力される。インターネット通信によってリアルタイムに操作した色の情報を遠隔地で通信することができ、色の選択・変化・一致・不一致を用いてユーザの意図や感情といった非言語のメッセージを交換することができる。また、照明装置と通信し光の色を同期させると、SyncEggを傾けるという単純な操作方法で照明の色の制御を実現することができ、自在に部屋の雰囲気を演出することができる。SyncEggは卵型の単純なデバイスを身体感覚を用いて直感的に操作し、光の色の制御と遠隔地コミュニケーションにおける情報の入出力を実現する。
本稿では,小型軽量化した携帯型力覚デバイスの開発について述べる.また,開発した2台の力覚デバイスを用いる映像コンテンツと,力覚情報の双方向通信について述べる.
書き置きと実世界の映像を用いたビデオメッセージとを組み合わせることにより,机などの平面を介した非同期コミュニケーションを可能とする手法を提案する.書き置きのように手を使った実世界上でのメッセージ記録・閲覧操作を可能とすると共に,カメラ映像を用いて離れた居室の机を宛先として選択可能にすることで,居室内・居室間における直感的なメッセージ伝達の実現を目指 す.本稿では,テーブルトップシステムとして実装したプロトタイプにおけるインタラクションについて述べる.
本研究では,2人のユーザーが協調して演奏するコミュニケーション型の楽器デバイス「EmotionTuner」を提案する.EmotionTunerの両端には可動式のポールがインタフェースとしてついており,2人のユーザーで同時に操作することができる.お互いのユーザーはそれぞれのポールを前後に移動させることで,EmotionTuner上面のフィードバックエリアに表示される光のラインの長さを双方向から制御することができ,光のラインを接触させたタイミングでその都度サウンドを生成することができる.また双方向から伸びる光のラインが接触する位置によって音程が変化する.EmotionTunerは,2人のユーザーの気持ちの掛け合いによってリズムとメロディーを制御するため,ユーザーが演奏の間違いを許容できる偶発的なサウンドを生成できる楽器デバイスである
歩行者が入り乱れる建物内や駅構内では混雑を緩和させる目的で記号や音声による案内を設置し,歩行者に片側通行等を呼びかけている.しかし案内の見落とし・無視により混雑は緩和されていない.そこで我々は,これらの意味解釈を必要とする案内に置き換わる手法として,床面に設置したレンチキュラレンズより歩行者にベクションを生じさせる視覚刺激を呈示する歩行誘導手法を提案した.本手法によって歩行者は自然に片側通行を行い,公共施設内の歩行者の混雑を緩和できると考えられる.本稿では歩行者にベクションが生じるように設計したレンチキュラレンズによる歩行誘導効果の評価を行った.
AR-Breakerは、曲げセンサを用いたデータグローブにUSBカメラを装着したものである。これは、AR技術を用いたアプリケーションでの利用や、複数人での同時利用等を想定して開発された。グローブ上のカメラからAR用のマーカを撮影することでマーカ座標系に対するグローブの相対的な位置姿勢情報を得る。これと指の曲げ情報を組み合わせることで、手の動きを獲得することができる。一般のデータグローブ製品と比較して低コストであることも特徴である。今回は当デバイスを利用してARオブジェクトとして表示させたピアノを演奏するというデモを作成した。
我々の周りには,ぬいぐるみやクッション,ソファなど柔らかいもので溢れているが,多くの電子機器の入出力インタフェースは固いもので作られている.そこで本研究では,ふわふわした柔らかい触感に着目した入力インタフェース「ふわもにゅインタフェース」を提案する.本システムでは,ぬいぐるみなどで使われるフェルト羊毛の間に,導電性の糸を縦3×横3本忍ばせることで,柔らかい触感を保った多数のタッチセンサを構築する.本論文では,ふわもにゅインタフェースのプロトタイプを試作した.
本研究では、携帯端末を用いて、実世界にあるチラシや雑誌、看板などのドキュメントに含まれる画像を認識し、それに関連する情報をWeb 上から取り出してきて、スクリーン上に透過的に表示させることによって、実世界のドキュメントに、動的な情報を付加して表示するシステムを提案する。